2018.05.22

新卒歯科衛生士の有効求人倍率は20倍を超えると言われており、歯科衛生士養成学校の就職課には大量の求人票が届きます。歯科衛生士の就職率は100%を誇る養成学校もあります。

高い就職率はよいことですが、一方で就職後に早期での退職となってしまうケースも少なくありません。

折角、歯科衛生士資格を取得したのに、退職を機に歯科医療から離れてしまう人もいます。これでは歯科衛生士の人材不足は解消されません。

現在の就職活動の課題・見直すべき点について、医療法人 翔舞会 事務局長 森田英明さんにお話を伺いました。

医療法人 翔舞会 事務局長 森田英明さん


翔舞会は、東京・神奈川でエムズ歯科クリニックを9院展開しており、歯科衛生士の新卒採用も毎年行なっております。

衛生士向け卒後研修プログラムとして、3年間で一人前の歯科衛生士として必要な技術・知識を身につけることのできるオリジナルカリキュラムを作ったり、他院でも導入されるレベルの体系化された教育マニュアルや人事制度を持つ歯科医院として有名です。

新卒歯科衛生士の就職活動は、年間スケジュールを見直すべき

「新卒 歯科衛生士の就職活動の遅さが一番の問題です」と指摘する森田さん。

特に東京・神奈川の新卒 歯科衛生士の就職決定の時期が遅く、3年生の1月時点で40%〜50%程度、国試が終わって卒業するまでの3月中に就職活動を行う学生が非常に多いそうです。

限られた期間での就職活動となるものの、現在の有効求人倍率だと内定を獲得できる確率が高いです。

しかし、余裕を持って複数の医院を見学することができず、歯科衛生士として目指したいキャリアを考えないまま就職活動を行ってしまうこととなります。

その結果、イメージと違った…などの理由で、就職後早期に離職するリスクが高まってしまいます。


その解決策の一つとして「就職活動のスケジュールを見直すべき」と森田さんは言います。

学生に対して早期の就職活動を促し、歯科衛生士としてどういうキャリアを築きたいのか、そのためにファーストキャリアとしてどのような歯科医院を選択すべきか、それを考えるには今の就職活動のスケジュールでは遅過ぎるためです。

理想的な就職活動のスケジュールは?

それでは、森田さんが考える理想的な就職活動のスケジュールとは「どの時期に」「どういう判断軸で」「何医院くらい」なのでしょう。


理想的なのは、「7月から応募先の検討を開始し、タイプの異なる4〜5件の医院を見学、12月までに就職先を決定すること」

国試の勉強や実習に時間を使いたい時期かもしれませんが、余裕がある早いタイミングで就職先を検討することでミスマッチを減らせると森田さんは言います。

国試が終わってから就職活動を始めた場合でも、就職は決定する可能性が高いです。

しかし、就職活動の期間が短く、医院の比較や将来目指したい姿を十分に検討することができません。

また、見学時にチェックすべきポイントは、第一に「直感」その次に「福利厚生」「勤務後の目指す姿を含めたイメージが描けるか?」。

多くの歯科衛生士が国試に合格することに気を取られ過ぎて、本当に重要な歯科衛生士として目指す姿を考えられていない、と言います。

訪問診療を行いたい、審美に特化したい、臨床経験後にメーカーや講師というキャリアパスもありえます。

そのイメージを持つことができるか、それを見学時に考えておくとミスマッチを減らすことができます。

もし、目指す姿が明確ではないのなら、幅広く経験できる中規模以上の歯科医院がおすすめとのことです。幅広く経験していく中で、考えることも一つの選択肢です。



選ぶべき歯科医院については、それぞれの考え方にもよりますが、共通して言えることは就職活動を前倒しすることで、余裕をもって医院を比較・検討することができます。

その結果、ミスマッチが減り、医院・歯科衛生士にとってのwin-winが生まれるのではないでしょうか。