2018.09.07


「治療が終わった途端、患者さんの来院が途絶えてしまった…」
「予防のために定期健診を一生懸命勧めているのに、ほとんどの患者さんが来てくれない…」

誰でも、一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

疾患を“治す”から疾患を“生ませない”歯科医療へ

 ● なぜ、ほとんどの患者さんが、痛い・つらいなどの症状が出てから治療を受けに来るのか?
 ● なぜ、ほとんどの患者さんが、主訴の治療が終わった途端に来なくなってしまうのか?
 ● なぜ、ほとんどの患者さんが、定期健診やメインテナンスに消極的なのか?

このような疑問に悩んでしまう前に、定期健診の一番の目的とは何なのかを、考えてみましょう。

予防大国・スウェーデンでは、定期的なPMTCが予防の成果を上げたことに関して「定期的なプラーク除去も重要だが、定期的に歯科健診を受けることで、患者自身のセルフケアへのモチベーションが上がったり、自身の口腔内への理解を深めたりしたことも、有効だったのでは?」と、いわれています。

つまり、私たち歯科衛生士が徹底したPMTCさえ行っていれば、それだけで予防が達成されるということではないのです。

では、定期健診の一番の目的とは何か?…それは、患者さん自身によるセルフケアの確立です!

しかし先に述べたように、私たちと患者さんとの間で価値観や健康観を共有できていなければ、定期健診の大切さについていくら熱弁したとしても、思うようには伝わらないこともあります。

患者さんの、定期健診に対するモチベーションを高めるためには、

① 定期健診の一番の目的は、〇〇さま(患者さん)ご自身による、セルフケアの確立なんです
② セルフケアをしっかりできていなければ、いくら私たちが頑張ってPMTCをしても、予防は達成されないんです…
③ 〇〇さま(患者さん)に健康で幸せな生活を送っていただきたいから、予防のために私たちと一緒に頑張ってみませんか?

というように、定期健診が最終的に何を目的としているのかを患者さんに自覚してもらえるような、順序立てたわかりやすい説明を心がける必要があります。

では、次の中ではどの説明の仕方がベストでしょうか?

このように、予防はもはや、疾患治療の延長線上にあるオプションではありません!

今日では歯科医療の体制自体が、

 ● 予防を出発点に、患者さんの健康づくりの支援をする
 ● 疾患を見付けて治療する医療 → 疾患そのものを生ませない医療へ

という、新しいコンセプトにもとづいたシステムづくりへと、変化しつつあります。

言い換えれば、定期健診を「SPTやメインテナンスの一環」としてでなく「患者さんの健康づくりのための、サポートシステム」へと切り替える、ということです。

予防プログラムもまたオーダーメードのものであるので、患者さんの数だけ予防の目的や目標レベル・内容などが異なります。加えて、予防の目的や目標レベルはプロケア/セルフケアの状況や口腔内環境に応じて経年的に変化していくものなので、いつまでも同じままとは限りません。

そのため、毎回の定期健診で必ず入念なカウンセリングを行い、患者さんのそのときどきの口腔内環境を把握するとともに、歯科衛生士と患者さんとで予防の目的や目標レベルを、更新&共有し続けていくことが、とても大切です!



著者



「健康」を「財産」へ変えられる歯科衛生士を目指して

第1回 歯科衛生士の世界へようこそ!
第2回 患者さんのニーズについて
第3回 スウェーデンが予防大国と呼ばれるまでに
第4回 予防大国・スウェーデンの診療スタイル
第5回 プライマリケア・デンタルハイジニストとは
第6回 健康観の共有について
第7回 疾患を“治す”から疾患を”生ませない”