2018.04.04

2000年を過ぎて以降、「患者中心の医療」という言葉が、当たり前のように交わされるようになりました。

しかし中には、その肝心な定義を歯科医師・スタッフ間で共有できていない歯科医院も、残念ながら存在しているようで、言葉だけが一人歩きをしているように感じることも、しばしばです。

私たち歯科医療従事者が最も重視すべきことは、患者さんのニーズ(目的・要求)にほかなりませんが、ここで見落としがちなのが「ニーズには、個々に異なる患者背景(バックグラウンド)が反映されている」ということです。

ニーズ=主訴の治療、と考えていませんか?


…果たして、本当にそれだけでしょうか。
「○○を治してほしい」という訴えは、広く捉えれば「健康で、充実した生活を送りたい」という希望・期待につながっているはずです。

それを受け止め、“その人なりの健康”を目指したオーダーメードな診療プランを提案・実行する、ということが、患者中心の医療における最大のテーマといえます。

患者中心の医療を実現する必須条件として、まずは「どの患者さんに対しても接遇の精神を忘れず、誠心誠意対応すること」「施術を通して患者さんに安心・安全・満足を提供すること」が挙げられますが、ここまでは、ほんの“はじめの一歩”でしかありません。

大切なのは、
 
 ●  その患者さんのパーソナリティーを尊重すること=「患者さん」ではなく「○○さん」
 ● その患者さんの考え方や価値観に共感すること=“その人なりの健康”を治療のゴールに設定
 ● 患者さんに「また来たい!」と感じさせること=“定期通院する価値”を実感してもらう

です。

私たち歯科医療従事者が目指すべきところは、患者さんが自らの口腔の健康に興味・関心を持ち、セルフケアを含めた予防歯科に意欲的に取り組んでいただくようになることです。



そのためには、通常の疾患治療(キュアゾーン:歯科医師中心)だけでなく、メインテナンスや定期健診など、疾患を未然に防ぐサポート=予防(ケアゾーン:歯科衛生士中心)に積極的に取り組む必要があり、
この先「疾患を生ませない」ことを、歯科医院の最終目標として設定する必要があります。

患者さんの「健康」を「財産」へ変えられる歯科医院こそが、患者さんから選ばれ、喜ばれる“オンリーワンの歯科医院”なのではないでしょうか。

患者さんが自発的に、予防のために定期通院するようになっていただければ理想的ですが、そのためには私たち歯科衛生士が、患者さんに“定期通院する価値”を感じてもらえるような「後味」を残せるかどうかが、大きな課題となってきます。このコラムでは、その課題解決のヒントとして、

 ● 歯科衛生士として、予防について考えておきたいこと
 ● 今日から始められる、予防マネージメントの極意
 ● PMTC/PRTCの臨床テクニック

などを、次回以降で紹介していきます。

日本の予防の未来はまさに、私たち歯科衛生士の“ウデ”に掛かっているのです!

著者



「健康」を「財産」へ変えられる歯科衛生士を目指して

第1回 歯科衛生士の世界へようこそ!
第2回 患者さんのニーズについて