小児の口腔機能発達不全について学ぶ!東京都歯科衛生士会主催セミナーが開催

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小児の口腔機能発達不全について学ぶ!東京都歯科衛生士会主催セミナーが開催
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2019.10.31

10月20日、日本歯科大学生命歯学部にて、東京都の委託事業である公益社団法人 東京都歯科衛生士会主催の第2回フレッシュアップセミナーが開催されました。

今回のセミナーに参加した歯科衛生士は約170名。参加費は無料で、歯科衛生士会の会員だけでなく、幅広い年齢層の歯科衛生士の方々が集まりました。

講師は、日本小児歯科学会専門医指導医で、医療法人社団守徳会 とのぎ小児歯科の理事長兼院長を務める外木徳子(とのぎのりこ)先生。

口腔機能の発達に重要な、乳幼児期の咀嚼・発音・呼吸機能について詳しく学ぶことができるセミナーです。

それでは早速、当日の会場の様子をお伝えします♪

会場の様子
会場の様子


口腔機能発達不全症について

平成30年の診療報酬改定により、口腔機能発達不全の小児の診断や治療が保険診療で行えるようになりました。これは、口腔機能の異常を早期に発見することの重要性が認められたためです。

外木先生は、はじめに口腔機能発達不全症の管理計画書について説明。その中でも、とくに重点が置かれている「咀嚼・嚥下」の評価項目について詳しく解説しました。

つづいて、とのぎ小児歯科における口腔機能発達不全の指導対象人数をグラフで示し、年齢ごとに起きやすい問題を述べました。

とのぎ小児歯科における口腔機能不全の指導対象人数
とのぎ小児歯科における口腔機能不全の指導対象人数

講演では、咀嚼・嚥下の動作に異常がみられる小児患者さんの3症例を、動画で紹介。そして、それぞれの患者さんが抱える咬合の問題や特徴について解説しました。

「食べ物が食べられる」ということが、かならずしも「正しい口腔機能を習得して食べている」とは限らない、と外木先生は言います。そして、私たち歯科医療従事者は、口腔機能の育成を考えた哺乳の仕方や離乳食の進め方から指導していく必要があると話しました。


哺乳期に注意すること

次に外木先生は、哺乳期の注意点について詳しく説明しました。

まずは、正しいおっぱいの飲ませ方や、哺乳時に起こる口唇や舌の運動について解説し、哺乳の重要性を伝えました。

乳児は哺乳することで口腔機能が発達するため、哺乳瓶を倒すだけでミルクが出てくる人工乳首は使用しない方が良いとのこと。人工乳首の使用によって出現する習癖や不正咬合についても話しました。

さらに、正しい授乳姿勢や抱っこの仕方など、乳児が安定する体勢について解説。ここでも外木先生はさまざまな症例を紹介し、授乳姿勢や抱き方のクセによって、う蝕や不正咬合が起きうることを伝えました。

添い寝授乳によって片側性のう蝕が起きた症例
添い寝授乳によって片側性のう蝕が起きた症例


離乳食期をステージ別に解説!

現代ではさまざまな育児本が販売されており、中には離乳食の開始時期や種類を、乳児の月齢によって決めるように書かれているものもあります。

しかし、日本小児歯科学会の全国調査によると、乳歯の萌出時期は、切歯部で約1歳、臼歯部では約2歳の個体差があるとのこと。そのため、月齢によって離乳食のステップを判断するのではなく、赤ちゃん一人ひとりの口腔や全身の発育状態に合わせて判断するべき、と外木先生は言います。

そして、外木先生は離乳食期を以下の5つの時期にわけ、それぞれのステージの特徴や適切な食事内容について説明しました。
① 口唇食べ期
② 舌食べ期
③ 歯ぐき食べ期
④ 手づかみ食べ期
⑤ 歯食べ期
加えて、歯の萌出がゆっくりである乳幼児への対応や、飲み物の与え方についても解説。育児を行う上で推奨される、さまざまな事柄を詳しく紹介しました。

外木先生の著書『歯と体の発達に合わせた赤ちゃんと幼児のごはん』
外木先生の著書『歯と体の発達に合わせた赤ちゃんと幼児のごはん


構音や呼吸について学ぶ

つづいて外木先生は、構音の発達段階や構音障害にみられる特徴について解説しました。構音障害を診断するテストとその判定基準を説明し、歯科が介入することで症状が改善した症例を動画で紹介しました。

その後は、呼吸機能について。まずは、鼻呼吸の役割や口呼吸によって起こる弊害を伝え、鼻呼吸を促す方法や口腔周囲筋を鍛えるトレーニングがいくつも紹介されました。

また、外木先生は、「小児のいびきは異常である」と話し、小児のいびきや睡眠時無呼吸について学会発表した内容を詳しく解説しました。

小児の睡眠時無呼吸は、脳に不可逆的なダメージを与えてしまい、学力などに大きく差がでるおそれがあるといいます。中には、ADHDの診断を受けてしまう患者さんもいるとのこと。

さらに、いびきがある3〜5歳の小児には反対咬合が多く8歳以上になると逆に上顎前突が多いなど、とても興味深い研究結果について聞くことができました。

最後に、「発達には飛び級がない」と外木先生は話し、一人ひとりの心身の発育状態をみて、口腔機能の育成をすすめていくことが大切であると締めくくりました。

講演中の外木先生
講演中の外木先生

今回のセミナーを通して、小児の口腔機能の発達において、私たち歯科医療従事者たちにできることはたくさんあるということを学びました。

月齢で離乳食の種類を決めてはいけないことや、小児のいびきの危険性など、一般的にあまり知られていないことがまだまだ多く、歯科衛生士としても、一人の女性としても必要な知識を学べる貴重なセミナーでした。

現代は、本だけでなくインターネットで簡単に子育てについての情報が得られます。だからこそ、その中から良質な情報を吟味し、正しい知識を身につけることが必要です。

今後は、外木先生の「一人でも多くの子どもが幸せな笑顔で過ごせますように」という言葉を胸に、小児患者さんへの指導を考えていきたいと思います。


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この記事を書いた人
森 寛子 | 歯科衛生士

大阪出身の歯科衛生士歴10年目。歯科医療の社会的価値を高めるビジョンに強く魅力を感じ、WHITE CROSSへ参画。勤務先の歯科医院では、臨床実習生の指導を担当し、約3年間、歯科衛生士学校で非常勤講師を務めた。現在も歯科医院で、スタッフ教育と担当患者のメインテナンス業務を行なっている。



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