歯科衛生士向けおすすめ論文 No.8「抗うつ薬服用患者はインプラントのリスクが高い?」

シリーズ

歯科衛生士向けおすすめ論文 No.8「抗うつ薬服用患者はインプラントのリスクが高い?」
歯科専門求人メディア TOPへ戻る > 記事 > シリーズ > 歯科衛生士向けおすすめ論文 No.8「抗うつ薬服用患者はインプラントのリスクが高い?」
2019.10.10

歯科衛生士のみなさんは、日頃どんな方法で勉強していますか?

歯科衛生士向けの月刊誌や本を読む、講演会やセミナー、学会に参加するなど、さまざまな方法があると思います。その中にはたくさんの「参考文献」が記載されているかと思います。

ところで、その「参考文献」について調べたことはありますか?

「文献」や「論文」と聞くと、むずかしそうなイメージがあると思います。
しかしよく調べてみると、私たち歯科衛生士にとって興味深い資料がたくさんあります。

このシリーズでは、歯科衛生士の方に役立つおすすめの論文を紹介していきます!

歯科衛生士向けおすすめ論文


インプラント脱落に影響する因子を調べた論文

今回解説するのはこちらの論文です。
早期のインプラント脱落に影響する因子
『Journal of Dental Research』
こちらの論文は、歯科論文誌の中では、非常に信頼性が高いといわれている『Journal of Dental Research』に掲載されています。

この研究は、二次オペを行うまでにインプラントが脱落した症例を集め、それに影響したと考えられる因子について調べています。


どんな方法で調べている?

1980年から2014年の間に、インプラント治療を受けた2,670人の患者さんの、10,096本のインプラントを対象に調査が行われました。

その中でも、期間内に脱落した症例をピックアップし、さまざまな統計を用いて、インプラント脱落に関わる因子を分析しました。

インプラント喪失に関わる因子を分析


早期のインプラント脱落に影響する因子は?

今回の調査では、10,096本中642本のインプラントが脱落する結果となりました。そのうち、139人の患者さんに埋入された176本のインプラントは、アバットメントを装着する二次オペまでに脱落しました。

そして、このような早期のインプラント脱落には、「喫煙」と「抗うつ薬の摂取」が統計的に有意な因子であるという結果が明らかになりました。


この研究に対する考察

二次オペまでにインプラントが脱落してしまうということは、インプラント体の埋入後、適切なオッセオインテグレーションが得られなかったということが考えられます。インプラント体への負荷がかかっていないため、骨代謝や歯周組織の治癒力が大きく影響していることをあらわしています。

歯周病のリスクファクターとなる「喫煙」が、インプラント治療のリスクファクターにもなるということは、多くの方がご存じかと思います。

これは、日本歯周病学会のガイドライン『歯周病患者における口腔インプラント治療指針およびエビデンス2018』にも、全身疾患や生活習慣、免疫能、局所因子といったリスクファクターについて詳しく述べられています。

しかし、「抗うつ薬」がインプラント治療のリスクファクターになるということは、あまり知られていないのではないでしょうか?

抗うつ薬がインプラント治療に及ぼす影響については、姉妹サイト「WHITE CROSS」でも取り上げており、骨の代謝、とくにに治癒力に対して影響を与えるといわれています。
(参照:抗うつ剤服用のインプラントへの影響

全身疾患や服用薬の種類によっては、外科処置そのものが困難になるだけでなく、予後が悪くなる可能性もあるため、術前の問診が非常に大切です。問診票に記載していることがすべてとは思わず、とくに全身疾患や服用薬の有無については、口頭でもかならず確認しましょう

また、高齢者の方は、通院期間中に服用薬が増えたり変更されたりすることも多いため、メインテナンス時には再度確認を行う必要があります。

それぞれの患者さんに合わせた最適な治療を提供する第一歩として、「患者さんの背景をしっかりと把握する」ということは非常に大切なことではないかと思います。

全身疾患や服用薬をしっかりと把握しましょう


いかがでしたか?

毎日同じ環境で働いていると、「歯科医院での当たり前」が、自分の中の「歯科衛生士としての当たり前」になっていることがあります。

自分が行っている業務に自信を持つため、客観的な視点で、臨床現場に活かせる知識を身につけられるよう、日々学んでいきたいものです!


参考文献:Chrcanovic BR, Kisch J, Albrektsson T, Wennerberg A.(2016)「Factors Influencing Early Dental Implant Failures.」『Journal of Dental Research』2016 Aug;95(9):995-1002.  International Association for Dental Research and the American Association for Dental Research


歯科衛生士向けおすすめ論文

歯科衛生士向けおすすめ論文 No.1「歯ブラシとフロス、どっちから先に使うべき?」
歯科衛生士向けおすすめ論文 No.2「ストレートVSアングル どっちの歯間ブラシを使うべき?」
歯科衛生士向けおすすめ論文 No.3「スケーリングで削られてしまうセメント質はどれくらい?」
歯科衛生士向けおすすめ論文 No.4「スケーリング前に行うブラッシングの効果は?」
歯科衛生士向けおすすめ論文 No.5「歯磨剤の使用はプラーク除去に本当に効果的なの?」
歯科衛生士向けおすすめ論文 No.6「プラーク除去に有効な歯ブラシの形状は?」
歯科衛生士向けおすすめ論文 No.7「う蝕予防に効果がある歯磨剤のフッ化物濃度は?」
歯科衛生士向けおすすめ論文 No.8「抗うつ薬服用患者はインプラントを喪失しやすい?」

この記事を書いた人
森 寛子 | 歯科衛生士

大阪出身の歯科衛生士歴10年目。歯科医療の社会的価値を高めるビジョンに強く魅力を感じ、WHITE CROSSへ参画。勤務先の歯科医院では、臨床実習生の指導を担当し、約3年間、歯科衛生士学校で非常勤講師を務めた。現在も歯科医院で、スタッフ教育と担当患者のメインテナンス業務を行なっている。



×
北海道・東北
関東
中部
関西
中国
四国
九州・沖縄
時給
円以上
日給
円以上
月給
円以上
応募要件
待遇・福利厚生
勤務時間
休日・休暇