歯科衛生士向けおすすめ論文 No.6「プラーク除去に有効な歯ブラシの形状は?」

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歯科衛生士向けおすすめ論文 No.6「プラーク除去に有効な歯ブラシの形状は?」
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2019.08.08

歯科衛生士のみなさんは、日頃どんな方法で勉強していますか?

歯科衛生士向けの月刊誌や本を読む、講演会やセミナー、学会に参加するなど、さまざまな方法があると思います。その中にはたくさんの「参考文献」が記載されているかと思います。

ところで、その「参考文献」について調べたことはありますか?

「文献」や「論文」と聞くと、むずかしそうなイメージがあると思います。
しかしよく調べてみると、私たち歯科衛生士にとって興味深い資料がたくさんあります。

このシリーズでは、歯科衛生士の方に役立つおすすめの論文を紹介していきます!

歯科衛生士さんに役立つおすすめの論文


形状が異なる4種類の歯ブラシによるプラーク除去率を比較した論文

今回解説するのはこちらの論文です。
さまざまな形状の歯ブラシによるプラーク除去率の比較
『Journal of Clinical Periodontology』
この研究では、形状が異なる4種類の歯ブラシによってプラーク除去率が変化するかどうかを調べています。


どんな方法で調べている?

36人の被験者に通常の歯ブラシを用いて60秒間ブラッシングを行わせ、その後48時間ブラッシングを中止させました。

その状態でプラークスコアを記録し、さらに被験者を4グループにわけました。

その後、それぞれの種類の歯ブラシを各グループに割りあて、60秒間ブラッシングを行わせ、ブラッシング後に再度プラークスコアを記録しました。

その結果、ブラッシングを行う前後のプラークスコアに、4種類の歯ブラシ間で有意差はないことがわかりました。

また、頬側よりも舌側の方にプラークが残りやすいことも明らかになりました。

*有意という言葉については、前回の記事で説明しています。こちらをご覧ください!
(参照:歯ブラシとフロス、どっちから先に使うべき?〜歯科衛生士さん向けおすすめ論文 No.1〜

さまざまな形状の歯ブラシ
さまざまな形状の歯ブラシ(実際に研究で使用されたものではありません)


この研究に対する考察

この研究では、どんな種類の歯ブラシを使用しても、プラーク除去率に変化はないといった結果がでました。

たしかに、私たち歯科衛生士がブラッシングを行う際、よほど変わった形でなければ、どんな歯ブラシでも大抵は問題なくブラッシングができるかと思います。

弘法筆を選ばず」といったことわざにもあるように、技術の高い人がブラッシングを行えば、歯ブラシの形状にこだわらなくても、ある程度のプラークが除去できるのではないでしょうか

最近では、ドラッグストアや量販店に行くと、何十種類もの歯ブラシがならんでいます!そして、歯科医院で患者さんに使用中の歯ブラシを持ってきてもらうと、「こんな歯ブラシあるの?」と思うような形の歯ブラシに出会うこともあります。

患者さんの開口量や嘔吐反射の度合いによって、歯ブラシを変更する必要がでてくることはもちろんあります。

しかし、この研究結果から読みとれるように、歯ブラシの形状はプラークの除去率に直接影響しません。そのため、どんな形状の歯ブラシであっても、プラークさえ除去できていれば、患者さん自身が使っているものをわざわざ変更する必要はないのかもしれません。

歯科医院で取り扱っている製品が、かならずしも患者さんにとってベストなセルフケア用品であるとはかぎりません。

患者さん一人ひとりのPCRを把握し、その患者さんが無理なく、効果的にブラッシングできるセルフケア用品をおすすめできるといいのではないかと私は考えます。

また、この研究では、頬側よりも舌側にプラークが多く残存していたとのこと。

「頬側はきれいに磨けているが、舌側や口蓋側にプラークが残ってしまう患者さんが多い」となんとなく感じていた歯科衛生士さんもいるのではないでしょうか。

この文献を知っておけば、ただ「裏側をしっかり磨いてください」というよりも、「歯の裏側は汚れが残りやすいというデータがあるため、より丁寧に磨いてください」というような説得力のあるアドバイスができるはずです!

舌側や口蓋側にプラークが残りやすい患者さんに、ぜひ紹介してみてください♪


***


いかがでしたか?

毎日同じ環境で働いていると、「歯科医院での当たり前」が、自分の中の「歯科衛生士としての当たり前」になっていることがあります。

自分が行っている業務に自信を持つため、客観的な視点で、臨床現場に活かせる知識を身につけられるよう、日々学んでいきたいものです!


参考文献:Claydon N, Addy M.(1996)「Comparative single‐use plaque removal by toothbrushes of different designs」『Journal of Clinical Periodontology』1996 Dec;23(12):1112-6. John Wiley & Sons Ltd
弘岡 秀明・中原 達郎・加藤 典(2010)『Dr.弘岡に訊く臨床的ペリオ講座1 歯科医師と歯科衛生士に必要なエビデンス』医歯薬出版.



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この記事を書いた人
森 寛子 | 歯科衛生士

大阪出身の歯科衛生士歴10年目。歯科医療の社会的価値を高めるビジョンに強く魅力を感じ、WHITE CROSSへ参画。勤務先の歯科医院では、臨床実習生の指導を担当し、約3年間、歯科衛生士学校で非常勤講師を務めた。現在も歯科医院で、スタッフ教育と担当患者のメインテナンス業務を行なっている。



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