歯科医院内の感染管理システムを見直そう!改善のアイデア その2

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歯科医院内の感染管理システムを見直そう!改善のアイデア その2
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2019.07.04

こんにちは、歯科衛生士の長谷川雅代です。

私は、現在臨床現場で実際に感染管理を行いながら、一般社団法人DHマネジメント協会のインストラクターとして、定期的に感染管理対策講座を開催しています。

スタンダードプリコーションとよばれる「標準予防策」が、世界的にも定着した現在、すでに医科の分野ではあらゆる医療機関で実践されています。

とりわけ歯科においては、 血液や唾液との接触が日常であり、感染リスクが高い環境です。そのため、感染管理に対するマネジメント能力が求められるようになってきています。

この連載では、歯科医院における感染管理システムの見直しと、環境改善に必要な解決策をわかりやすく解説します。皆さんにも共感していただきたいと思い、リアルな写真を掲載しています。

院内のメンバー全員で共通認識をもち、安心安全な医療に取り組む指標としてお役立てください。
(前回はこちら:歯科医院内の感染管理システムを見直そう!改善のアイデア その1

歯科用ユニット


感染管理の現状確認を行う方法

院内で感染管理を行う際に、「なにからはじめれば良いかわからない」という相談を多く受けます。

毎日の診療を行いながらだと、「どこから着手すれば良いか」「そもそも従来の感染管理の方法は適切なのか」「どこの改善が必要なのか」が、わかりにくいのも事実です。

そのため、まずは現状を確認していくこと提案しています。

ひとつ目に確認することとしては、院内のメンバーがどれぐらい正確に手指衛生を行えているかを確認することをおすすめしています。

手指衛生は感染管理の基本であり、接触感染による患者間での感染予防と、自分自身を守る基本事項になります。

具体的には、洗浄法であれば30秒以上かけて手洗いを行えているか擦式法を取り入れているかの2点を確認しましょう。
洗浄法(スクラブ法):洗浄剤を配合した手洗い用消毒薬を使ってよく泡立ててこすったあと、流水で洗い流す方法。洗浄と消毒が同時に行える。

擦式法(ラビング法):アルコール擦式製剤を手のひらにとり、乾燥するまですり込んで消毒する方法。特別な手洗い設備を必要としないため、簡便に手洗いができる。

健栄製薬株式会社「病院感染対策における手指衛生について」より抜粋)
万が一、グローブを着用するからといって手指衛生が不完全になっているのであれば、感染管理の基本が院内のメンバーにまだ周知されていない可能性があります。

そのため、手指衛生を正確に行えているかどうかを確認するだけでも、院内のメンバーの感染管理に対する理解度について確認できます

手指衛生を行う様子
手指衛生を行う様子


効率性を重視したときの落とし穴

前回の記事(歯科医院内の感染管理システムを見直そう!改善のアイデア その1)でお伝えしたように、私たち歯科衛生士や歯科助手は、患者対応と並行して器材処理も行います。その忙しさゆえに、限られた時間内に手早く器材処理を行いたい気持ちが優先されることもあります。

いかに効率良く器材処理を行うかと工夫することは良いことです。しかし、正しい知識を持たずに、効率性だけを優先的に考えてしまうと不適切な処理になってしまうことがあります。

器材処理には省くことができない工程があります。

よくある悪い例が、洗浄したものを乾燥せずに、濡れたまま滅菌器に入れている例です。

なぜ乾燥させる工程を省いてはいけないのかというと、器具に残った水分により、滅菌器の温度が規定まで上昇せず滅菌不良が起こるからです。器材を乾燥させる工程を軽視して効率性を求めてしまうと、器材は正しく処理されません。

また効率性を求めて作業をしたいはずなのに、不要な工程を入れてしまっている場合もあります。

たとえば、器具の洗浄後にさらに薬液消毒を行い、水洗してから滅菌を行っている例です。滅菌可能な器材であれば事前の消毒は不要なのです。消毒か滅菌かどちらかのみを行えば効率性はあがります。

誤った効率性を求めてしまうと、治療を受ける患者にとっては感染のリスク、歯科医療従事者にとっては感染のリスクや生産性のない作業を負うことになります。

さらに、不適切な処理によって、器具の劣化が早く起こってしまう可能性があります。また、不要な処理工程があるために、ムダな経費の出費になることも考えられます。

歯科医院に適した器材処理のためにも、正しい知識をもって効率性を考えることを実践してみてください。

器材の滅菌を行う様子
器材の滅菌を行う様子


大切にするのは根拠を見つけること

つぎに、現在の歯科医院で行われている感染管理について、「なぜこのように行われているか」の根拠を確認していきます。

「◯◯さんが言ってたから」や「昔からこうしていた」としか返答できない場合は見直しが必要です。

見直しを行うことで、今までの作業が、根拠に基づいた方法なのかを確認することができます。

確認の方法は、日本医療機器学会日本環境感染学会などの各学会のガイドラインや厚生労働省からの通達、CDC(米国疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機構)の指針の他、医薬品メーカーや書籍を参考にします。




まとめ

歯科医院で働く多くの歯科衛生士や歯科助手は、患者の対応だけでなく、医院の感染管理も求められ、一人で何役も行っていることが現状です。

その中で、安全で効率よく、一定レベルの清潔な環境を維持するためには、院内のメンバー全員で、感染管理を行うことの目的を再確認しておくことが必要です。

確認方法はさまざまですが、まずは正確に手指衛生が行えているかどうかによって、歯科医院内の現状を確認することができます。

さらに、日頃の器材処理方法が根拠に基づいたものかを確認していきます。それが、感染管理を見直す第一歩になります。

次回からは、改善点の取り組み方についてお伝えします。ぜひ参考にしてください!


歯科医院内の感染管理システムを見直そう!

改善のアイデア その1
改善のアイデア その2
この記事を書いた人
長谷川 雅代 | 歯科衛生士

歯科衛生士資格を取得後、さまざまな臨床の現場を経験。臨床現場で実践的な感染管理に携わりながら、一般社団法人DHマネジメント協会のインストラクターとして、定期的に感染管理対策講座を開催している。 感染管理を通じて、長期にわたり、安全に働ける歯科医院の環境づくりを支援する。



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