海外の歯科事情を知る!イギリスの小児におけるう蝕予防について No.1

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海外の歯科事情を知る!イギリスの小児におけるう蝕予防について No.1
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2019.05.22

現在日本では、8020運動や健康日本21などといった、さまざまな口腔の健康に対する政策が立てられています。

また、WHOにおいても、2003年に「2020年までの口腔保健に関する国際目標」が提示されるなど、世界中で口腔疾患を予防するための動きがみられます。

他の国ではどういった政策が立てられているのでしょうか?

この連載では、イギリスの保健省のひとつであるPublic Health England(英国公衆衛生庁)から2017年6月14日に発行された、イギリスの「Health matters: child dental health(健康問題:小児の口腔衛生)」というガイダンスについて解説していきます。

この取り組みから、イギリスの歯科事情について一緒に学んでいきましょう♪

海外の歯科事情を知る


このガイダンスについて

ガイダンスの冒頭では、
この資料は、すべての子どもが人生においてベストなスタートを切るために、医療従事者の働きかけが、5歳以下の子どもにおけるう蝕予防にどのように役立つかを述べている。
と示し、イギリスの小児におけるう蝕罹患率やその影響、対策について説明しています。


5歳児の4分の1がう蝕に罹患

2015年にイギリスの公衆衛生サービスPublic Health England’s (PHE)が発表した、「5歳児の歯科疫学調査の結果」では、5歳児の4分の1にう蝕の経験があり、平均3〜4歯が感染しているとのこと。

また、膨大な数のう蝕が未処置のままであり、う蝕が原因で1本以上の抜歯をする症例が多くみられたようです。

さらに、2013年にPHEが発表した「3歳児の口腔衛生調査」では、3歳児の12%がう蝕を経験しており、平均3歯がう蝕に罹患しているとのことでした。


イギリス政府のホームページより d.Style編集部改変

う蝕罹患率の高い地域、低い地域

イギリス国内におけるう蝕罹患率には、地域によって大きな差があるとのこと。北西地方の33%から南東地方の20%まで幅があり、地方自治体が貧しい北側の地域の方が、口腔衛生状態が悪い傾向がみられるようです。 


中でも、もっとも高い罹患率がみられたのはブラックバーン地区とダーウェン地区では、5歳児の56%がう蝕に罹患しているとのこと。それと比較して、もっとも低い罹患率である地域は、南グロスター地区の4%でした。

つづいて、0歳から4歳までの子どもが歯科医院を利用する割合をみると、ロンドンの15%から、58%のハイピーク(ダービーシャー州)までと、各地で異なっています。
 
最新のデータによると、それらの差の41%が貧困によるものと説明することができるようです。

また、5歳から9歳までの子どもが歯科医院を受診する理由として、もっとも多い処置は抜歯でした。


日本との比較

先ほどのPHEによる「5歳児の歯科疫学調査の結果」と「3歳児の口腔衛生調査」を、平成28年度(2016年度)に日本で実施された「歯科疾患実態調査」のデータと比較してみます。

国/年齢 5歳児 3歳児
う蝕罹患率平均dft指数う蝕罹患率 平均dft指数
イギリス 25.0% 3.0〜4.0本 12.0% 3.0本
日本 39.0% 1.7本 8.6% 1.6本


調査結果によると、イギリスの5歳児は4分の1(25%)にう蝕の経験があり、平均3〜4歯が感染していました。

日本では、5歳児の39.0%にう蝕が認められています。しかし、一人平均う歯数(dft指数)は1.7本と、イギリスの半分程度の値です。

また、イギリスの3歳児は、12%がう蝕を経験しており、平均3歯がう蝕に罹患していましたが、日本では、8.6%にう蝕を認め、一人平均う歯数(dft指数)は1.0本でした。

いずれの年齢も、一人平均う歯数については日本の方が低いですが、5歳児のう蝕罹患率では、日本の方が高い結果となりました。


まとめ

歯科疾患実態調査によると、日本の全国平均としては、う蝕罹患率やdft指数およびDMFT指数は減少傾向にあります。

しかし、まだまだう蝕に罹患してしまう子どもたちも多く存在しているのが現実です。

先日、北海道大学より、乳歯列をもつ小児についてはとくに、「夜型の生活習慣がう蝕のリスクを高める」という調査結果が発表されました。
子どもは大きくなるにつれて、大人と同じような生活リズムになってしまう傾向があります。

乳歯列の時期のお子さんを持つ家庭では、夜遅くに食事や間食をさせることは避け、早寝早起きをさせて規則正しい生活を送れるよう心がけた方がいいでしょう。

次回は、イギリスの小児う蝕がもたらす影響についてお話しします。


参考文献:GOV.UK Public Health England(2017)「Guidance Health matters: child dental health」
この記事を書いた人
森 寛子 | 歯科衛生士

大阪出身の歯科衛生士歴10年目。歯科医療の社会的価値を高めるビジョンに強く魅力を感じ、WHITE CROSSへ参画。勤務先の歯科医院では、臨床実習生の指導を担当し、約3年間、歯科衛生士学校で非常勤講師を務めた。現在も歯科医院で、スタッフ教育と担当患者のメインテナンス業務を行なっている。



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