2018.12.05

“予防歯科の先進国”と呼ばれ、歯科衛生士が憧れる国の一つでもあるスウェーデン。

スウェーデンの歯科衛生士資格保持者は約4,000人ほぼ全てが現役で就業しています。
国としての医療制度が整備されているだけでなく、歯科衛生士が一生働き続けていきたいと思える魅力はどこにあるのでしょうか?

前回に引き続き、今回もスウェーデンで実際に働く歯科衛生士の方々に教えてもらった、興味深い文献について紹介しようと思います。

今回はプラークの除去に有効な歯間ブラシの形状について調べた文献です。


レクチャー受講中の様子

こちらは、2016年にInt J Dent Hygによって書かれた『円錐形と比較した円柱形の歯間ブラシの有効性-ランダム化対照臨床試験(The effectiveness of conically shaped compared with cylindrically shaped interdental brushes- a randomized controlled clinical trial.)』という論文です。

舌側の隣接面のプラーク除去に関しては、円錐形の歯間ブラシは円柱形の歯間ブラシと比較して効果が低いということが示された。したがってSPTを受けている患者は、天然歯の歯周組織の健康を獲得し、継続させるために、円柱形の歯間ブラシを第一選択とするべきである。
…the conical IDBs are less effective than cylindrical IDBs with respect to lingual approximal plaque removal. Thus, in patients receiving supportive periodontal therapy, the cylindrical shape should be the first choice of IDB to obtain and maintain gingival health around natural teeth.
文献によると、円錐形と円柱形の歯間ブラシでは、全体として差異はないものの、円錐形の歯間ブラシは舌側の隣接面においてプラークとBOPのスコアが高かったそうです。
私はこの結果について、円錐形の歯間ブラシの根元部分(最も隣接面に接触する部分)は、舌側部の隣接面には届きづらいためではないかと考えます。

患者さんによって、唾液の自浄性に違いがあるので、どの患者さんにも共通して言えることではないかもしれませんが、舌側部の隣接面や隅角部にプラークが残りやすい患者さんには、円柱形の歯間ブラシを薦めてみるのも一つかもしれません。

私はこの文献を読むまで、歯間ブラシの形状の違いでプラークの除去率が変化するということは知りませんでした。
しかし、日々様々な口腔ケア用品が開発されていく中で、新しい情報を取り入れ、歯科衛生士としての知識をアップデートすることは、とても大切なことだと思います。

スウェーデンの歯科衛生士は学生時代から色々な文献を読んでおり、患者さんに口腔衛生指導を行う上で必要な、エビデンスに基づいた知識を身に付けています。

日本で働く歯科衛生士は、もともと歯科医院に置いてあるもの、先輩から薦められたものを、患者さんにもそのまま日々のセルフケア用品として薦めることが多いのではないかと思います。

日頃、自分が疑問に思っていることや、歯科雑誌を読んでいて興味をもったトピックの参考文献など、まずは日本語の文献からでも読んでみると、新たな発見があり、ブラッシング指導もより楽しいものになるのではないかと思います。


工場見学、レクチャーの受講が終わった後、参加者全員で記念撮影

第7回は2019年1月7日公開予定です。


予防大国、スウェーデンの歯科衛生士事情

この記事を書いた人
森 寛子 | 歯科衛生士

歯科衛生士歴9年目。大阪府の歯科医院2軒に勤務するかたわら、なにわ歯科衛生士学校で非常勤講師を務める。2016年11月にクロスフィールド株式会社が主催するスウェーデン研修旅行に参加し、“予防歯科の先進国”スウェーデンの歯科医療制度に感銘を受ける。