2018.11.05

前回までは、スウェーデンの衛生士学校のカリキュラムについて紹介しました。

今回からは、私がスウェーデンで実際に働く歯科衛生士の方々に教えてもらった、興味深い文献について紹介しようと思います。

私はスウェーデンで、歯間ブラシや歯ブラシで有名なTepe社の工場を見学し、その後現地の歯科衛生士の方々によるレクチャーを受講しました。

この研修において、私たちが普段何気なく使用している清掃用具の製作工程を見学することや、スウェーデンで働く歯科衛生士の方々が持っている知識を共有してもらえたことで、より患者さんにセルフケアの重要性を強くすすめることができるようになりました。


エントランスには歯間ブラシの原料が展示されていました

その中で印象的だった文献を紹介します。
フロッシングは、歯間ブラシを入れることができない隣接面以外には推奨されない。歯間部のプラーク除去には歯間ブラシを選択する。
Flossing cannot be recommended other than for sites of gingival and periodontal health, where inter-dental brushes (IDBs) will not pass through the interproximal area without trauma. Otherwise, IDBs are the device of choice for interproximal plaque removal.
こちらは2015年にJ Clin Periodontolによって書かれた『歯周炎の基本的な予防:歯肉炎を管理すること(Primary prevention of periodontitis: managing gingivitis)という論文の中の一文です。

この文献には、う蝕の予防については記載されていませんが、歯周病の予防を目的としている人が選択すべき歯間部清掃用具として、歯間ブラシを推奨しています。

毎日のセルフケアにおいて、歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間部清掃用具が、プラークコントロールの向上に役立つことは、私たち歯科衛生士がよく理解していることだと思います。

しかし、日本には歯間部清掃を習慣的に行えていない患者さんがまだまだ多く、そのような患者さんにどの清掃用具をすすめるべきか悩むこともあります。

厚生労働省が2000~2012年度まで実施していた『健康日本21』の中で、「40、50歳における歯間部清掃用器具を使用している者の割合 それぞれ50%以上」という目標が掲げられていました。

しかし、平成28年度の歯科疾患実態調査では、歯間部清掃を行っている者の割合は 全体の30.6%という結果でした。
ましてや、デンタルフロスと歯間ブラシのどちらを選択すればよいかを、自分自身で理解した上で使用している方の割合となると、さらに低くなることが考えられます。


テペ本社のレクチャールーム

患者さんに対して、個々のリスクに応じた清掃用具を処方できるのは、口腔衛生のプロフェッショナルである私たち歯科衛生士です。

目の前にいる患者さんがどのような歯科疾患のリスクを抱えているのかを、よく考え把握した上で、本当に使ってもらいたい清掃用具を処方することが、歯科衛生士の大きな役割だと私は思います。

なんとなく、もう必要なことは知っているからという理由だけで口腔清掃指導をしてしまいがちです。
しかし、このような文献で示されていることを自分の中の知識としてとりいれた上で指導するということは、歯科衛生士にとって、とても重要であり、必要なことだと感じました。

次回は、プラークの除去に有効な歯間ブラシの形状について調べた文献を紹介します。
第6回は2018年12月5日公開予定です。




予防大国、スウェーデンの歯科衛生士事情

第3回 マルメ大学のカリキュラム①
第4回 マルメ大学のカリキュラム②
第5回 スウェーデンの歯科衛生士が読んでいる文献紹介①