日本歯科医師会推薦図書『マンガでわかるオーラルフレイル』dStyleおすすめ歯学書レビュー

ここ数年で、「オーラルフレイル」という言葉が、歯科にすっかりと浸透しました。

食事中にむせることが多くなったり、硬いものが食べにくくなったりするなど、口腔機能が虚弱化(=フレイル)することを表す「オーラルフレイル」。

身体機能や社会性の衰退にもつながり、要介護リスクや死亡リスクが高まるという報告もあるため、国を挙げて予防の重要性が叫ばれています。

そんなオーラルフレイルについてわかりやすく解説しているのが、『マンガでわかるオーラルフレイル(大久保満男・飯島勝矢著、株式会社主婦の友社)』。

こちらの書籍は、公益社団法人 日本歯科医師会元会長の大久保満男先生と、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢先生によって手がけられた、日本歯科医師会の推薦図書です。

物語の中に登場する医療従事者はすべて実在する人物であり、医師や歯科医師の先生だけでなく、歯科衛生士の方も登場します!

一般の方向けの書籍ですが、オーラルフレイルについてよく理解できていない、知識を身に付けたいと思っている歯科医療従事者にもぜひ読んでいただきたい内容です。今回はこちらの書籍をご紹介します♪

『マンガでわかるオーラルフレイル』dStyleおすすめ歯学書レビュー

dStyleおすすめ書籍レビュー『マンガでわかるオーラルフレイル』

こちらの書籍は、タイトルの通り、マンガのストーリーに沿ってオーラルフレイルのことをわかりやすく解説しています。

おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、娘、息子という、日本の一般的な三世代家族の家庭を舞台にしたストーリー。

「喋りづらい」「むせやすい」「食べ物が噛みにくい」というオーラルフレイルの代表的な症状をもつおじいちゃんをきっかけに、周りの家族も一緒になって口腔機能のことを詳しく学んでいきます。

日本の一般的な三世代家族

まず、全身的なフレイルに関与するといわれる「サルコペニア」の状態かどうかを確認する「指輪っかテスト」や、オーラルフレイルの兆候を確認する「パタカラテスト」が紹介されます。どちらもとても簡単なテストなので、臨床現場でもすぐに活用できますよ!
(参照:サルコペニア-WHITE CROSS

また、オーラルフレイルは、男性と女性とで発現する症状が異なるといいます。その違いや、オーラルフレイルになりやすい人の特徴も詳しく紹介しているため、具体的な想像がつきやすく、患者さんにもわかりやすいです。

そして、本文中にでてくるデータは、日本で行われた大規模調査である「柏スタディ」や「久山スタディ」から引用されているのものが多く、歯科医療従事者の知識としても頭に入れておきたい内容ばかりです。

本書を読み進めると、オーラルフレイルの段階や、評価項目についても詳しく記載されており、さらには改善方法まで紹介されています。中でも、オーラルフレイルと口腔機能低下症の違いは、曖昧になりやすい部分でもあるため、本書でしっかりとおさらいしておきましょう!

最後の章は、一般の方にもよく知られている「8020運動」について。8020運動が発足したきっかけや、基準とする残存歯数が20本になった理由など、歯科医療従事者として気になる、貴重なエピソードがたくさん紹介されています。

8020運動

この一冊を通して、「食べること」と「生きること」がダイレクトにつながっていること、私たち人間にとって「食べること」がどれだけ大切なものかということを、あらためて学ぶことができました。

マンガ部分が多く非常に読みやすいため、高齢者の方だけでなくどの年齢層の患者さんに読んでもらいたい内容です!歯科医院で働くスタッフのみなさんも、ぜひご一読ください♪

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