『肺炎は「口」で止められた! 健康寿命が延びる1日5分の習慣』書評

近年、口腔ケアの重要性が社会的に見出され、医療・介護の世界において大きなムーブメントとなってきており、在宅や介護施設のみならず病院においても浸透しはじめています。

この流れを受け、2025年からはじまる地域包括ケアシステム時代において、口腔ケアの重要性は、医療従事者のみならず一般人にとっても当たり前のこととして浸透しているのではないでしょうか。

著者の米山武義先生は、高齢者における口腔ケアの価値がほとんど見出されていなかった1990年代初頭より、介護施設で口腔ケアと誤嚥性肺炎の関連を調べる研究を行い、情報発信を続けてきた、歯科医師の先生。

平成という時代を通して、口腔ケアの概念そのものを作り上げ、日本社会がその価値を見出すまでにいたらせてきたその歯科医療人生の功績は大きく、短期的には日本社会において、中長期的には人類の医療福祉に大きな影響を与えるものでしょう。

WHITE CROSSでは、米山先生のインタビューを通じて、その軌跡を語っていただいています。本書と併せてご覧ください!

WHITE CROSSインタビュー動画へ
WHITE CROSSインタビュー動画へ

書評『肺炎は「口」で止められた! 健康寿命が延びる1日5分の習慣』

こちらの本は、米山先生の “「口」を活かしケアすることは、全身の健康につながるということを知ってもらいたい”という願いに基づいて執筆されています。

一般人向けの書籍でありながら、歯科医師・歯科衛生士をはじめとする歯科医療従事者にもおすすめの一冊です。

2017年に、日本国民の2人に1人以上が8020を達成したことがニュースになりました。
(参照:8020達成者 2人に1人以上で過去最高へ 厚生労働省

その一方で、老化や病気に伴い人体の機能が低下する中で、歯を「良い状態」で残すことの重要性、そこにおいて口腔ケアがもたらす素晴らしい価値について、様々な研究データをもとに示されています。

本の中では、介護施設のみならず病院のICUにおいても、口腔ケアにより肺炎が抑制されているという事実や、インフルエンザや日常的な風邪に対する影響などにも触れられています。

また、どのようにすれば「食べる力」、そして「飲み込む力」を鍛えるか。噛むことの重要性や、食べる姿勢、そして「飲み込む力」を鍛えるトレーニングなど、一般向けの情報でありながら、在宅医療や病院歯科に関わる歯科医療従事者として知っておくべき知識もたくさん書かれています。

肺炎をはじめ、全身の健康状態に密接に関わっているのが「口腔」です。「歯科医療」という「歯」を診る時代から「口腔医療」へシフトする転換期が今訪れようとしています。

開業前から現在まで続けている老人ホームでの治療、在宅訪問治療で、多くのお年寄りのお口を診て、そして人生の終焉に寄り添って思ったこと。 それは日本のお年寄りの「口」を守らなければという信念です。

現代を生きる歯科医療従事者への提言ともいえる言葉の一つひとつから、米山先生がその半生をかけて紡ぎあげてきた医療人としての思いの深さを感じさせられます。

「食べる力」が「生きる力」となり、「幸福感」につながる。

すべての歯科医療人に読んでいただきたい、これからの時代において花開く歯科医療について知ることができる一冊です。

ご購入はこちら
ご購入はこちら

日本老年歯科医学会第30回学術大会

2019年6月6日(木)から8日(土)に、宮城県仙台市にて米山先生が大会長を務める日本老年歯科医学会第30回学術大会が開催されます。

現代の歯科医療において、もっとも注目されるべき学会のひとつです。ぜひご参加ください!

日本老年歯科医学会第30回学術大会HPへ
日本老年歯科医学会第30回学術大会HPへ