みなさんはじめまして、歯科衛生士の石田恵子です。
12月14日に東京国際フォーラムにて開催されたシンポジウム『誰もが幸せに暮らせる「ソーシャルインクルージョン」って何だ? 改めて「地域共生社会」を考える』に参加してきました。
このシンポジウムは、24時間対応の在宅医療ネットワークを取りまとめる医療法人社団悠翔会と、在宅医療に関する定期勉強会グループ在宅医療カレッジによる合同企画です。
(参照:facebookページ『在宅医療カレッジ』)
医療法人社団悠翔会は、代表医師である佐々木淳先生が中心となって在宅クリニックを開設されています。
その中には歯科チームもあり、在宅患者さんの“胃ろう離脱”のケースが相次いでいるそうです。
パネリストは以下の10名。(順不同・敬称略)
- 西村 周三(医療経済研究機構所長/前国立社会保障・人口問題研究所所長)
- 浅川 澄一(ジャーナリスト/元日本経済新聞編集委員、日経トレンディ編集長)
- 大熊 由紀子(国際医療福祉大学大学院教授/元朝日新聞医学記者・論説委員)
- 唐澤 剛(前 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部・地方創生総括官)
- 藤岡 雅美(厚生労働省健康局健康課・課長補佐)
- 井階 友貴(福井大学医学部地域プライマリケア講座教授)
- 雄谷 良成(公益社団法人青年海外協力協会 代表理事・社会福祉法人佛子園 理事長)
- 加藤 忠相(株式会社あおいけあ代表取締役・慶應義塾大学客員講師)
- 下河原 忠道(株式会社シルバーウッド代表取締役)
- 佐々木 淳(医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長)※モデレータ
それぞれ政策や研究、ジャーナリズム、そして実践の現場で活躍するオピニオンリーダーです。彼らによって、以下の3つのサブテーマに沿って議論が繰り広げられました。
- 日本が直面する社会課題
- 日本が取るべき今後の方向性
- 地域共生社会の実践モデル
世界的に進む超高齢化の先頭を走る日本。
現在28%である高齢化率は、将来的に40%を超え、2040年には高齢者の34%、実に日本人の7人に1人が認知症になる可能性があると言われています。
そして現在も、全人口の15%が、何らかの障害とともに暮らしています。また、認知症患者の中には、受け入れ先である精神科病棟に入院し、拘束された状態で生活している高齢者も存在しています。
今回のシンポジウムを聞いて、医療従事者として取り組むべき課題は山積みだと感じました。しかし、それらの課題解決に取り組んでいる自治体があることも知りました。
福井県高浜町では、地域医療体験ツアーなどの地域医療教育の取り組みを強化した結果、全国各地から年間120名を超える学生や研修医を誘致することができています。
併せてホームスティプロジェクトも行っており、研修後、町に残る医師が増えているというのです。
(参照:facebookページ『夏だ!海と地域医療体験ツアーin高浜』)
このような、地域共生のために行政を巻き込んだ井階先生の取り組みや、加藤氏・下河原氏の認知症ケアに対する取り組みは、これからの日本の方向性の指針となると考えます。
歯科衛生士である私が、このシンポジウムに参加して自分にできることは何かと考えさせられます。やはり、人々の健康には口腔内が大きく関係しているということを、声を大にして訴え続けること、担当患者さん一人ひとりへ啓発し続けることが大切ではないでしょうか。
口腔機能は、ただ単に、食べることだけがその役割ではありません。大切な人とのコミュニケーションの手段、話すことや笑うことにも密接に関わっています。
患者さんの口腔の健康を守る方法を伝えることは、予防の概念が浸透している歯科衛生士だからこそできることだと考えました。
訪問歯科診療が普及しつつある今、在宅医療は私たち歯科衛生士にとって、より重要な位置づけになってくると考えています。
今回のシンポジウムは、診療室での歯科衛生士業務には、直接関係しないお話でしたが、非常に白熱しており、濃い内容のお話を短時間で聞くことができました。
また、これからの日本の医療の方向性が見えたように思います。
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