歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント PART7 お正月/人日の節句編

こんにちは。歯科衛生士の岡崎と申します。

歯科食育士の資格を活かして、歯科界だけでなく幅広い方と情報共有ができれば幸いです。

口腔の健康は身体の健康のはじまりといわれています。そして、なにを食べるかの選択も等しく大切です。

患者指導においても、食に対する意識が高まれば、身体に対する意識も高まり、それは口腔環境への意識の高まりにもつながります。

この連載では、食品にどんな栄養素があり、どのような調理方法や組み合わせが効果的かなどについて、歯科食育士の視点からお伝えします♪

歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント PART7 お正月/人日の節句編

歯にいい食事のポイント PART7 お正月/人日の節句編

歯にいい食事のポイント、第7回目のテーマは1月の行事食です。

お正月といえば、おせちですよね。

おせちとは『御節』と書くことから、五節句の影響も受けているといわれ、年の初めを祝う節句です。おせち料理は本来、歳神様にお供えする料理でしたが、現在はお正月の時期に食べるように変化したようです。

そして、五節句の初めにあたる「人日の節句」。

1月は今では寒い冬の時期ですが、暦の上では春でした。人日の節句とは春の訪れを感じ、1年間の無病息災を祈る大切な節句です。

  • 1月7日「人日(七草の節句)」
  • 3月3日「上巳(桃の節句)」
  • 5月5日「端午(菖蒲の節句)」
  • 7月7日「七夕(星祭)」
  • 9月9日「重陽(菊・栗の節句)」

人日の節句は中国から伝わってきたといわれています。

中国では1月1日に鶏、2日に狗(いぬ)、3日に羊、4日に猪、5日に牛、6日に馬、7日に人を占う風習がありました。そのことから、1月7日が人日の節句となったようです。

また人日の節句といえば七草粥ですが、それは日本にあった7種類の穀物の粥を食べて五穀豊穣を祝う風習と、中国から伝わった人日の節句が混じり合い、現在の人日の節句になったといいます。

今回は歯科衛生士がおすすめするおせち料理と、人日の節句の料理や調理のポイントをご紹介します。

歯科衛生士の視点から考えるおせちおすすめメニュー

歯科衛生士の視点から考えるおせちおすすめメニュー

① 筑前煮

地域によって使用する食材は違いますが、こんにゃく、にんじん、れんこんといったように『ん』がつく食材が多く使われていることから、『運』がつく縁起の良い料理として知られています。

よく噛める食材であるれんこん、ごぼう、こんにゃくを入れられる筑前煮は、顎を鍛える料理としてもってこいです。

より歯応えを残したいときは、繊維に沿って切ることや、乱切りやぶつ切りで大きめに切ることを意識すると良いでしょう。

干し椎茸は使用する前に1時間ほど天日干しすると風味が上がり、骨や歯を強化するビタミンDが増加するのでおすすめです。

冬場はカルシウムの吸収を促進するビタミンDが不足しがちなので、積極的にカルシウムとビタミンDを合わせて食事に取り入れましょう。

② 八幡巻き

八幡巻きとは旧八幡町(現在の京都)の郷土料理が発展したもので、ごぼうやにんじんを肉類、もしくは鰻、穴子で巻いた、ごぼうが主役の料理です。

ごぼうの見た目から、細く長く幸せが続くようにという願いがこもっています。

ごぼうは食物繊維が多く、満腹感を与えてくれ、血糖値の上昇を防いでくれます。

特にごぼうの皮は香り成分と、ポリフェノールが豊富に含まれているので、完全に皮を剥かないほうが美味しく健康的に召し上がれます。その上、高血圧の予防や唾液分泌の促進の作用も期待できます。

③ 鰤の照り焼き

鰤は12月から2月の冬の時期が旬の魚です。鰤は成長にともなって名前が変わることから「出世魚」と呼ばれ、縁起の良い魚として知られています。

  • 関東では『もじゃこ』→『わかし』→『いなだ』→『わらさ』→『ぶり』
  • 関西では『もじゃこ』→『つばす』→『はまち』→『めじろ』→『ぶり』

鰤の栄養素として有名なのが、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった脂肪酸です。体内ではほとんど作り出すことができないため、食物から摂取する必要があります。

EPAは血流を良くし、DHAは脳の活性化に役立つといわれています。両者とも抗炎症作用があり、摂取量の少ない人は多い人と比べて歯周病発生、進行リスクが1.5倍になるという研究結果も出ています。

また、歯や骨を形成するカルシウム、リンに加えて、カルシウムとリンの吸収を助けるビタミンDも含まれており、栄養摂取に最適な食材です。

④ 栗きんとん

栗きんとんは、おせちの定番料理であり、子どもにも喜ばれる一品です。

きんとんは「金団」と書き、色鮮やかな黄金色であることから、金運上昇や豊かな一年を願う料理として親しまれています。

栗のデンプンにはビタミンCが豊富に含まれており、熱しても壊れることなく摂取できます。また、骨や歯の形成を促進したり、代謝を促す効果を持つマンガンも含まれています。

さつまいもは、甘味の強い紅あずまや、鳴門金時がおすすめです。クチナシを使うと栗きんとん特有の黄金色が再現できるので、ぜひ使ってください。

栗もさつまいもも糖度が高いので、お砂糖は少なめ、もしくは糖アルコールを使うことをおすすめします。

ついつい美味しくて食べ過ぎてしまうのには注意してくださいね。

歯科衛生士の視点から考える人日の節句おすすめメニュー

① 七草粥

七草粥とは、春の七草を粥に入れたものです。

お正月のご馳走で疲れた胃腸を休め、不足しがちな冬に必要な栄養素をたっぷり補うことができます。

  • 芹(せり)
  • 薺(なずな)
  • 御形(ごぎょう)
  • 繁縷(はこべ)
  • 仏の座(ほとけのざ)
  • 菘(すずな)
  • 蘿蔔(すずしろ)

ところでみなさんは、『春の皿には苦味を盛れ』という言葉を知っていますか?

この苦味とは、七草や山菜などの春野菜のことです。春の季節には春の旬の食材を食べましょうという考え方です。

春野菜には独特の苦味、えぐみがありますが、その栄養素が新陳代謝を活発にし、冬の間溜め込んでいた老廃物や毒素を出します。

この苦味は植物性アルカロイドといい、腎臓の濾過機能を高めることで新陳代謝を高める働きがあります。また、ポリフェノールも多く含まれており、解毒作用や新陳代謝の向上も期待できます。

最後に

今回はおせち料理と、人日の節句におすすめの料理をご紹介いたしました。

おせち料理にはさまざまな願いと、日本人の知恵が詰まっています。

食べて美味しい、見て楽しい豪華なおせち料理だけでなく、冬の行事食には、年越し蕎麦や七草粥など多くあります。

ひとつひとつの料理に込められた願いを感じながら、年の初めを家族と過ごしてみてはいかがでしょうか?

歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント

PART1 クリスマス編
PART2 ひな祭り編
PART3 こどもの日編
PART4 七夕編
PART5 重陽の節句編
PART6 ハロウィン編
PART7 お正月/人日の節句編