dStyleをご覧のみなさんこんにちは。
はじめまして、福岡市で口腔外科治療に特化した歯科医院、いりえ歯科口腔外科クリニックに勤務して5年目を迎える歯科衛生士、長部蘭子と申します。
当クリニックに勤務する前は、一般歯科にて十数年、治療介助や歯周治療、特別老後施設への口腔ケアなど、さまざまな歯科衛生士業務に携わってきました。
これから数回にわたって、歯科衛生士としての口腔外科診療への関わり方や働き方についてご紹介していきたいと思います。
私がお伝えする内容が、みなさんにとって口腔外科診療に興味をもつきっかけになれば嬉しく思います。
口腔外科診療とは
まず、「歯科口腔外科」とは標榜できる歯科の診療科目の一つです。他には「歯科」、「小児歯科」、「矯正歯科」が挙げられます。
口腔外科とは、顎関節や口唇、頬粘膜、唾液腺などの口腔周辺の病気の治療を行う科目です。
それに加え、智歯や嚢胞、良性または悪性腫瘍、口腔周辺の外傷に対する治療、さらにはインプラント治療における一次手術も口腔外科で行う場合があります。
また、近年の超高齢社会において、口内炎や口腔乾燥症、舌痛症などに関しては、患者さんが何らかの既往歴がある場合も少なくありません。
現在治療中の疾病や内服薬の状況によっては、口腔外科のみの診療ではなく、医科との連携を図りながら治療にあたります。
一般の歯科医院では、う蝕治療や歯周治療、補綴治療など、治療内容は多岐にわたりますが、私の勤め先のように、口腔外科にまつわる治療を専門的に行っている医院も存在します。
口腔外科診療に特化している歯科医院というのは、まだまだ珍しいのではないでしょうか。
口腔外科診療を歯科医院で行う必要性
口腔外科診療と聞くと、大学病院や総合病院での治療を想像される方が多いかもしれません。
しかし実際には、大学病院や総合病院を受診することにハードルを感じる患者さんも存在します。
また、一般歯科で智歯の抜歯が困難と診断され、口腔外科で智歯の抜歯をすすめられた患者さんがいるとします。
しかし、診療時間や曜日が限られている総合病院へは、お仕事の都合や家庭の事情によって、すぐに受診できない場合があります。そういった患者さんの相談窓口となることがあります。
このように、口腔外科診療に特化したクリニックでは、口腔疾患の早期発見や早期治療を行うことができるため、患者さんの命や健康を守ることに貢献していると感じることができます。
もちろん、当院で処置を行うことができない治療や検査もあります。
そういった場合は、患者さんへの説明を行い、総合病院などへの紹介を行っています。
歯科口腔外科クリニックへ勤務する歯科衛生士の1日
それでは簡単に、私の一日の勤務スケジュールをご紹介します。
9:15 | 出勤 | |
9:30 | 診療開始 | ● スタッフみんなでラジオ体操 ● その日一日の患者さんの確認や申し送り |
9:40 | 診療準備 | 診療室の清掃や滅菌物の管理 |
10:00 | 午前の診療開始 | ● 水平埋伏抜歯術の補助 器具の準備や術前術後の注意事項、PTC、抜歯のアシスタント、使用器具の洗浄作業など ● 智歯抜歯を行う予定の新患対応 ● 後日抜歯予定の患者さんの歯周治療 |
13:00 | お昼休み | 院内のスタッフルームで食事 ※ 食事後は、お昼寝やカルテの確認など、各自自由に過ごします |
14:30 | 午後の診療開始 | ● 口内炎が主訴の新患対応 歯科医師の診察で悪性腫瘍が疑われる場合は、細胞診検査の準備 ● 抜歯後の消毒、抜糸のアシスタント ● 矯正治療のための抜歯術のアシスタント ● 水平埋伏抜歯術のアシスタント ● 口腔内に水泡をもつ新患対応 ● 定期的なメインテナンス処置 |
19:00 | 診療終了 | ● 器具の洗浄や片付け
● 院長とスタッフ同士で、その日起こった問題点について確認 |
19:30 | 帰宅 |
上記以外にも、さまざまな準備があるので、スタッフ一人ひとりが助け合って、診療がスムーズに行えるよう行動しています。
歯科衛生士として口腔外科に関わること
一見、口腔外科で働く歯科衛生士は、外科治療のアシスタント業務のみを行っているイメージがあるかもしれません。
しかし実際は、外科処置前の予防処置としてスケーリングやPMTCを行ったり、診療補助として歯周治療を行ったりすることも多々あります。
また、保健指導としては、外科処置前後のTBIや生活指導を行うなど、歯科衛生士の三大業務すべてを担って働くことができます。
そのため、歯科医師と協働する重要な役割を果たせていると感じます。
口腔外科に関わる知識を増やすことは、歯科衛生士自身の活躍の場が広がるきっかけの一つになるかもしれません。
ここまでお読みいただきありがとうございました。次回は、小手術のアシスタントについてお伝えします。