歯科医院のチーム力を高めよう!vol.1 目標達成の方法『OKR』とは?

みなさんが働く歯科医院には、どのような目標がありますか?

歯科医院の中には、毎日の売り上げや新患数、キャンセル率など、さまざまな情報を数値化して目標を立てるよう指示されている医院もあれば、とくにこれといった目標を立てることなく診療している医院もあるかもしれません。

一方で、目標を立てたいと考えていても、「どんな」目標を「どうやって」立てればいいかわからない方もいるのではないでしょうか。

世界的に有名な大企業やスタートアップ企業が、会社全体またはチーム、個人の目標を設定する際に使用する「OKR」。

この連載では、OKRについて詳しく解説し、歯科医院におけるOKRの活用方法をご紹介します!

歯科医院のチーム力を高めよう!

そもそも「OKR」とは?

OKRとは、組織マネジメントの一環で行われる目標管理の方法。

OKRは、ObjectiveとKey Resultsの略で、Objectiveは「目標」、Key Resultsは「主な結果」と訳します

個人やチームで目標を設定することで、お互いが目指すベクトルを合わせたり、その達成感をともに味わったりすることで、仕事のやりがいにつなげることができます。

OKRは、アメリカにある世界第一位の半導体メーカー『インテル』から生まれたシステムで、元々インテルに勤めていた投資家がスタートアップ企業に次々と導入し、広まっていきました。

Googleやfacebookといった世界的な有名企業や、日本でもメルカリやヤフー株式会社などの企業がOKRを導入しています。

OKR

OKRでは、3ヶ月程度を目安として、その期間に達成したい目標を立てます。

そして、毎週月曜日に目標に向けてやることの1週間の計画を立て、金曜日にはその週達成できたことをお祝いする!というのがOKRの流れです。

1週間の目標設定と振り返りには、以下のようにノートやメモ帳を4つのマスに区切って使用します。それぞれのマスに記載する事柄は、以下のように決まっています。

OKRの4つのマス

まず、右上のマスにはObjectiveとKey Resultsを記入します。

続いて、左上にはOKRを達成するために今週やるべきこと、左下には4週間後に起こってほしいこと、右下のマスには健康・健全性という項目を書きます。

それぞれのマスについて、詳しく解説します。

Objective・Key Results

右上のマスには、OKRの肝である「Objective」と「Key Results」を記入します。

Objective

むこう3ヶ月で成し遂げたいことや達成したいことを設定します。

Objectiveには人をワクワクさせるようなこと、そして数字で表せないことをひとつだけ設定する必要があります。

ダイエットを考えている女性を例にして考えると、以下のような目標です。

痩せてキレイになって、たくさんオシャレをする!

Key Results

目標であるObjectiveを実現できたかどうか判断する指標のことを指します。

Key Resultsは、Objectiveとは反対に数字で表せることを3つ設定する必要があります。

ここで設定する指標は、達成できるかどうか少し心配な、でも達成したら自分やチームがハッピーになれるような数値を考えます

毎週の振り返りでは、それぞれの項目を達成できそうかどうかについて、自分の自信度を1〜10で表します。

そのうち、5くらいの自信度であれば良いKRです。これを、通常より強気に設定する思い切ったゴールという意味で、“ストレッチゴール”とよびます。

例としては、以下のような項目が考えられます。

体重を−7kgにする
体脂肪率を20%以下にする
ウエストを60cm台にする

P1・P2

左上のマスには、OKRを達成するために今週やるべき最重要事項を設定します。

P1・P2

P1は「やらなければいけない(must)」こと、P2は「やるべき(should)」ことで、これらをあわせて3〜5つ設定します。

例としては、以下のような項目が考えられます。

P1→スポーツジムに入会する、ランニングシューズを買う

P2→甘いものは1日1個までにする、朝のランニングをはじめる

今後4週間のプロジェクト

右下のマスには、来週から4週間のうちに起こってほしいことや、今後進める予定になっている最重要事項を設定します。

今後4週間のプロジェクト

例としては、以下のような項目が考えられます。

ジムに週2回通う
連続で5km走れるようになる
甘いものは週に1個にする
腹筋を毎日50回行う
着られるようになりたい服を買う

健康・健全性

最後の左下のマスでは、結果を出すための行動によって、OKRを実践している人たちの健康や健全性が保たれているかを客観的に評価します

客観的な評価といっても、これはOKRを実践している人たちの肌感覚でジャッジすればOKです。

例で挙げたようなダイエットに取り組んでいる女性が、無理なダイエットによって体調を崩していないか、甘いものを我慢していることでストレスがかかりすぎていないかというようなことです。

体調→良好
ストレス→なし

これらの項目を埋めると、このような表が完成します。

OKRの4つのマス

この表をもとに、次の週の計画を立て、また金曜日にはその週達成できたことをお祝いする!というのがOKRの流れです。

1週間をしめくくる金曜日には決して厳しい話をせず、達成した仕事を祝ってビールで乾杯する!というスタンスが、私はとても気に入っています。

歯科医院で乾杯することはできなくても、お茶でも飲みながらお菓子でも食べながら、リラックスした雰囲気でミーティングできるといいのではないでしょうか。

歯科医院でのミーティング

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今まで私は10軒ほどの歯科医院に勤務した経験があり、同時期にさまざまな医院を掛け持ちながら働いていました。

その中でも、院長先生とスタッフの関係が良好だと感じた医院では、そこで働くスタッフが医院の目標をしっかりと理解し、院長先生と同じ方向を目指しながら日々診療していました

来院する患者さんに安心して治療を受けてもらうためにも、歯科医院で働くスタッフがひとつのチームとなって診療に取り組むことは非常に重要です。

ぜひOKRを活用し、まずは歯科医院の目標を決めることからはじめてみましょう♪

次回は、歯科医院におけるOKRの活用方法について解説します。

参考文献:クリスティーナ・ウォドキー著, 二木夢子訳, 及川卓也解説(2018)『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』日経BP