歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント PART3 こどもの日編

歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント PART3 こどもの日編

こんにちは。歯科衛生士の岡崎と申します。

歯科食育士やホワイトニングコーディネーターなどの資格も有しており、歯科界だけでなく幅広い方と情報共有ができれば幸いです。

口腔の健康は身体の健康のはじまりといわれています。そして、なにを食べるかの選択も等しく大切です。

患者指導においても、食に対する意識が高まれば、身体に対する意識も高まり、それは口腔環境への意識の高まりにもつながります。

この連載では、食品にどんな栄養素があり、どのような調理方法や組み合わせが効果的かなどについて、歯科食育士の視点からお伝えします♪

歯にいい食事のポイント PART3 こどもの日編

歯にいい食事のポイント、第3回目のテーマはこどもの日です。

こどもの日は、前回のひな祭り編でご紹介した五節句のうちのひとつである「端午の節句」または「菖蒲の節句」とも呼ばれる行事。

1948年に祝日法で『こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する』ことを主旨として、端午の節句である5月5日をこどもの日と制定しました。

こどもの日にはかぶとを飾り、鯉のぼりをあげ、ちまきや柏餅を食べてお祝いすることが多いです。

  • 1月7日「人日(七草がゆ)」
  • 3月3日「上巳(桃の節句)」
  • 5月5日「端午(菖蒲の節句)」
  • 7月7日「七夕(星祭)」
  • 9月9日「重陽(菊の節句)」

旧暦では、こどもの日は6月ごろで、菖蒲の季節でもありました。そんなことから菖蒲の節句とも呼ばれ、「尚武」と音が同じことから、武士の間で盛んに。

こういった背景から、こどもの日は“男の子のお祝いの日”というイメージがついたようです。

お子さんが喜ぶ見た目や味はもちろん、歴史や背景を感じながら楽しめるように、歯科食育士がおすすめするメニューや食べ方のポイントをあわせてご紹介します。

歯科衛生士の視点から考えるこどもの日おすすめメニュー

歯科食育士の視点から考えるこどもの日おすすめメニュー

① こいのぼりおいなりさん

農耕をつかさどる神様として有名なお稲荷様へのお供えものとして有名なおいなりさん。

今回は鯉のぼりのように可愛らしくアレンジしたレシピを紹介します。

おいなりさんを構成するのは、ごはんと味付き油揚げです。

今回のポイントは酢飯!お酢には、だ液分泌を促す作用に加え、殺菌作用により食品の保存性を高める作用があります。

また、お酢は大まかに次の3種類に分けることができます。

  1. 穀物酢
  2. 米酢
  3. 果実酢

キレのある穀物酢は加熱調理に向いており、マイルドな米酢はちらし寿司やおいなりさんに使われる酢飯向き、果実酢はドリンクやドレッシングに最適です。

また、味つき油揚げは大豆由来なので、必須アミノ酸のひとつであるリジンが豊富に含まれています。

リジンは免疫力をサポートしたり、肝機能を強化したりする働きがある成分で、大豆製品や肉、魚に多く含まれています。

ご飯と一緒に食べることによって、不足しているリジンを賄うことができ、バランス良く必須アミノ酸を摂取することができます。

具材は、今回は歯応えを楽しめるきゅうり、歯の形成に重要なカルシウムを含むチーズ、お子さんの好きなシャケフレーク、魚肉ソーセージなどを使用しましたが、お好みで味や食感を楽しめるものにしてみてください!

① こいのぼりおいなりさん

② 鯛の甘酒味噌漬け焼き

お祝いの席の定番のお魚、鯛。良質なタンパク質が豊富で、歯周組織の健康の維持はもちろん、免疫力向上や疲労回復に最適です。

5月ごろの鯛は脂がのって特に美味しいので、ぜひこどもの日のメニューに取り入れてください。

また、この時期に産卵期を迎える鯛のうち、特にオスの鯛は鮮やかな体色になることから、「桜鯛」「花見鯛」とも呼ばれるそうです。

春の終わりかけの時期に、最後のお花見も楽しめたら素敵ですね!

そして、今回のレシピのポイントは甘酒です。ビタミンB群やアミノ酸などが豊富で、飲む点滴とも呼ばれるほど最近注目されています。

米麹から作られる甘酒の甘味は、砂糖ではなく、分解酵素の働きで糖化されたお米に含まれるでんぷんの甘さです。アルコールも入っていないので、お子さんでも安心して食べられます。

鯛の旨味を引き立てるやさしい甘みを出すのに、甘酒はおすすめです。

鯛の甘酒味噌漬け焼き

③ 海老しんじょのお吸い物

シンプルですが、手の込んでいるお吸い物。丁寧に作れば作るほど、おいしくなります。出汁だけで作るので、ムダがありません。

中でも海老は脂質や糖質が少なく、胃腸に負担をかけにくいです。

また、コレステロールや中性脂肪を減らしたり、肝臓機能に働きかけるタウリンも豊富です。

血中悪玉コレステロールが過剰だと歯周病原菌との関連で、動脈硬化や脳梗塞を引き起こすリスクがあるので、コレステロールが気になる方は、適度に海老を摂取することをおすすめします。

海老しんじょは一見作るのが難しそうに思いますが、フードミキサーなどがあればよりお手軽に作れます。

あえて海老のプリプリ感を残すことで食感も楽しめるので、そういった工夫をするのも良いと思います。

海老は腰が曲がるまで元気に過ごしてほしいという縁起の良い食べ物でもあります。

海老しんじょのお吸い物

④ かぶと春巻き

男の子が喜びそうなメニュー!春巻きを折り紙のように使って、かぶとの形を作りました。

具材は王道なたけのこ、豚肉、春雨を使用しました。

たけのこはこの時期旬であり、栄養素も高いです。特に食物繊維は腸内環境を整えたり、唾液分泌を促したりという役割があり、よく噛むことで天然の歯ブラシの役目にもなります。

また、カリウムが豊富で、高血圧の予防にも効果があります。

高血圧剤は副作用として歯肉増殖が出やすく、結果的に口腔清掃が行き届きにくくなるので、炎症が起こりやすいです。

また、お祝いの席で食べるたけのこは、竹にあやかり、すくすくと真っ直ぐ成長してほしいという願いも込められています。

さまざまな食感を楽しめることに加え、旬のたけのこを味わえるのが今回選んだおすすめの具材ですが、お子さんに人気なツナやコーンを入れたり、大葉やシソを入れたりなど、アレンジは無限大です!

ぜひお子さんと一緒に作ってみてください。

かぶと春巻き

⑤ ちまき

ちまきは餅やお米を葉で巻いて、蒸したり茹でたりする食べ物で、中国から伝わりました。

ちまきを食べることは、無病息災を願うことから続いているようです。

具材はアクセントになる焼き豚や、低カロリーかつ歯や骨などの硬組織を形成するのに重要なカルシウムが豊富な干しエビ、干し椎茸などがおすすめです。

もち米を利用するので、よく噛むことができ、甘味もその分感じられます。

ちまき

⑥ 柏餅

代表的に使われている柏の葉は、新芽が出てから古い葉が落ちるという特徴があり、そのことから子孫繁栄の願いが込められたといわれています。

ちなみに、柏の葉の表側が内側に包んである時は小豆餡、反対の時は味噌餡です。

小豆には解毒作用や疲労回復を促すビタミンB群や鉄分、カルシウムが豊富です。

味噌は、コレステロールの上昇を抑制するサポニンが含まれています。また、抗酸化作用に加え、骨量の維持に関係するエストロゲンと同様の働きをする成分として注目されている、イソフラボンなどが豊富です。

味噌餡を調理するときのポイントは、50度以下での調理を心がけることです。味噌は高温だと栄養素が破壊されてしまうため注意しましょう。

また、米粉と甘酒を使用したお餅であれば、砂糖不使用で餡の味を引き立てる優しい味になります。

柏餅

最後に

今回はこどもの日の代表的なお料理と栄養価、調理のポイントなどのご紹介をいたしました。

お子さんの健やかな成長を願い、感謝する日として、こどもの日は大切にしたいお祝いの日ですね。

ぜひ素敵なお料理と、新緑に包まれて、気分転換をしてみてはいかがですか?

最後に

歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント

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