左利きのDHがSRPを成功させるポイント~左右両利きの私からのアドバイス〜

こんにちは、歯科衛生士の柿沼八重子です。

人には右利き、左利きと“利き手”がありますが、日本のみならず、どこの国でも人口の約10%が左利きといわれています。

そのため、生活の中で使う道具は当然のことながら右利きが前提に作られています。

たとえば、はさみは通常販売されているものは右利き用です。

洋服のジッパー、カメラのシャッター、鉄道の自動改札機など、周りを見渡しても、多くの道具は右利きの人が使いやすいようにできています。

ところが左利きの人はというと、その不便さにあまり気づかずに生活しています。

左利きの人は生まれてからずっと使いにくい道具を工夫して、時には右手を駆使しているので、本来左手では不便な道具でも、いつの間にか慣れてしまっているのです。

左利きに器用な人が多いと言われるのは、この試行錯誤の結果からきているのかもしれません。

また歴代のアメリカ合衆国大統領に左利きが多いとか、レオナルドダヴィンチやアイザックニュートン、ビルゲイツなど左利きの人には、歴史の流れの中での影響力の大きい人物が多いことも事実です。

私が感じる左利きのイメージでは、右で行うことを脳の中で左用に変換しているので、想像力が自然と鍛えられているのではないかと思います。

左利きの歯科衛生士だからできること

私は元々左利きですが、幼稚園のころから右手を使うように祖母より矯正されたため、今では都合よく両手が使えます。

文字を書くことやお箸を使うことなど、大抵のことは右手を使っています。しかし、はさみや包丁などの細かい作業は左手を使ってしまいます。

診療においては、ユニットなどのポジショニングはすべて右利きを前提として定められていますので、診療もほとんど右で行っています。

しかし左手が使えると、便利なこともたくさんあります。

たとえば、下顎の前歯部をSRPする際では、両手を使うことでポジショニングを変えなくてもキュレットのエッジを当てられます。

また右上の大臼歯部の歯周外科などでは、右側から術者の先生がSRPを行うと同時に、私は口蓋側からキュレットを左手で持ちSRPを行うということもできます。

しかし両利きとはいえ、硬い歯石の除去などは、元々の利き手である左の方が力が入ります。

右利きの術者が頬側、左利きの筆者が口蓋側のSRPを同時に行っている様子
右利きの術者が頬側、左利きの筆者が口蓋側のSRPを同時に行っている様子

SRPを成功させるポイント

SRPの上達のためには、キュレットや解剖学的な歯根の形態を熟知することが大切です。

また、SRPを成功させる上では、よく切れるキュレットが必須です。

そのためにはキュレットの構造を知り、特徴や種類を理解し、シャープニングができるようになることからはじめる必要があります。

キュレットの持ち方、砥石の種類や角度、動かし方をもう一度確認しましょう。

自分でシャープニングを行ったキュレットは、テスターで確認するようにしています。

確認を行うときのポイントは、テスターを垂直に持ち、キュレットは第一シャンクをテスターに対して平行にします。

テスターを垂直に持ち、キュレットは第一シャンクをテスターに対して平行にする
テスターによるキュレットの確認

そして、キュレットの刃先をテスターに1秒ほど軽く食い込ませるようにして離します。

この時に引っかかる感じやピーンという音があればきちんと砥げています。

SRPを行うにあたり、歯根の状態にあった適切なキュレットを選択できる知識も必要です。

歯の部位にあったキュレットは誰でも選ぶことができます。しかしSRPを行うその歯の状態に適切なキュレットを選択するのは、結構難しいものです。

各歯の解剖学的な特徴、歯周ポケットの深さ根面の状態や歯石の沈着状況などSRPを行う歯の状態をよく分析してその歯の状態に合ったキュレットを選択しましょう。

左右両利きの歯科衛生士がお伝えする、シャープニング&SRPセミナー

人口の約10%が左利きであるならば、歯科衛生士専門学校のクラスにおいても、100人生徒がいたら10人は左利きがいるという計算になりますよね。

しかし、日本の教育では左利きの方も右手で実習をしているようです。

以前、歯科衛生士専門学校の校長先生とお話しする機会がありました。

校長先生のお話では、全歯科衛生士専門学校共通の指導要綱において、手技は右手で行うことになっているようです。

その理由のひとつとして、左利きの学生に左手で教えられる教員がいないそうです。

利き手でない手を使いキュレットなどの練習を行うことはとても難しいことです。

そのため、左利きの歯科衛生士の方の中には、学校では右手で習っても、社会に出てからは長年使い慣れた左手を主に使っている方もいます。

そういった方は、自己流で何となく診療しているのではないでしょうか。

そのような中、歯科衛生士校の実習先として、左利きの学生を送ってくる機会もあり、またセミナーなどで左利きの歯科衛生士の方から左手で教えてほしいとの依頼を受けることが増えてきました。

現在、左利きだけではなく右利きの人も一緒に行うセミナーとして、歯科衛生士の実習付きのセミナーを開催しています。

今まではシャープニング、SRPに絞った1回のセミナーでしたが、2021年からはパワーアップして、メインテナンス、PMTCも含めた年4回のコースとして開催することになりました。

SRPの上達のために必要な知識をわかりやすく学べる、充実した内容になっています。

新人衛生士の方々にもぜひ受講していただきたいセミナーです。

セミナーのお問い合わせはこちら:03-6893-2331