皆さま、こんにちは。H.M’s COLLECTION 公認インストラクターで、歯科衛生士の玉置まゆです。
今回は、とある歯科医院でのチーフ歯科衛生士のエピソードをご紹介します。
この歯科医院は、地域の患者さんから愛されて急速に拡大し、そのタイミングで若いメンバーがチーフになりました。
臨床経験が豊富な歯科衛生士もいましたが、「患者数も多いこの歯科医院では、あえて自分はプレーヤーとして活動して歯科医院を守る。」と宣言してチーフの座を譲ったのです。
今回、私がインストラクターに入った際の院長からの依頼は、
- 若いチーフを育てること
- 歯科衛生士の技術の質の向上
のふたつでした。
まずは、設計した研修以外の時間を使って、メンバーが臨床の現場で不安を感じているところから解消していきました。
基礎知識の習得・確認と同時に、実習や日ごろの臨床の状態も把握するなど、いろいろな情報をやりとりする必要がありました。
その過程で、このチームの素晴らしさを特に感じたところは…
特徴① なりたてのチーフがとても謙虚で仲間を尊重している(一番右)
特徴② 歯科医師と私たち・歯科医師と仲間・歯科医師と患者のパイプ役を積極的にする
特徴③ 先輩であっても仲間がチーフを尊重し協力する
というところでした。
自信はなくても、自分ができることを積極的にしていることは、すべてのインストラクターが感じていました。
「謙虚でいる」「お互いを尊重する」ことは簡単に聞こえますが、実際にできていないことも少なくありません。
「自分のことじゃないからと協力しない」
「自分のほうが経験が上だと尊重しない」
「チーフだからと傲慢になる」
もったいないですね。
研修内容と人財育成計画は代表の濱田が立案し、日米ダブルライセンスの藤森直子を中心に研修されました。私は診査テクニックの基礎コースを担当していました。
当初のスタッフからの要望もすべてクリアし、約束の契約も残すところ数回になった頃、チーフより、
「実は、この研修の終了のあと結婚をするため、勤務を継続することができなくなりました。なので、私が不在でも、みんなが引き続き研修で学んだことを継続できる仕組みを残してほしいです。」
というお話がありました。
日々の診療に一生懸命で、チーフの仕事に必死な方が多い中、残る人の事を考えているそのチーフの言葉に、チームエムズのメンバーもとても温かい気持ちになりました。
創業1994年の弊社は、2003年より全国各地で訪問の研修を実践してきました(濱田は1997年より実践)。そこから約15年が経過し、院内研修を実施する歯科医院は以前より増えました。
大事なのは、教わっているうちに教育を仕組み化するということです。
いつまでも同じ技術研修を受け続けているというのは、歯科医院にとって決して良いことではありません。
私たちの理想は、私たちが去ったあともその歯科医院の誰かが自分たちで新人に教えられるようになることです。
それが自立であり、私達が目指すところです。
そして、私達との再会や再研修の時間は、
「新しい情報の更新」
「実践していることが合っているか?の確認のための時間」
「嬉しい悲鳴で歯科衛生士の採用の人数が多すぎるので応援をお願いしたい」
となることが理想だと考えています。
院内で院長先生が経験させてくれているその学びを、次の新しい誰かに継承していけますように。
玉置 まゆ
歯科衛生士の生きる道
第1回 歯科医院で働き続ける覚悟を自ら持って働く
第2回 どんな辞め方をするかが大事
第3回 同業から学び続けるということの大切さ
第4回 教わる立場のうちに教育の仕組み化を考えた若いチーフ
第5回 歯科医院を信頼することの大切さ
第6回 歯科医院の歴史を知る