歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント PART2 ひな祭り編

歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント PART2 ひな祭り編

こんにちは。歯科衛生士の岡崎と申します。

歯科食育士やホワイトニングコーディネーターなどの資格も有しており、歯科界だけでなく幅広い方と情報共有ができれば幸いです。

口腔の健康は身体の健康のはじまりといわれています。そして、なにを食べるかの選択も等しく大切です。

患者指導においても、食に対する意識が高まれば、身体に対する意識も高まり、それは口腔環境への意識の高まりにもつながります。

この連載では、食品にどんな栄養素があり、どのような調理方法や組み合わせが効果的かなどについて、歯科食育士の視点からお伝えします♪

歯にいい食事のポイント PART2 ひな祭り編

歯にいい食事のポイント PART2 ひな祭り編

歯にいい食事のポイント、第2回目のテーマはひな祭りです。

ひな祭りの由来は諸説あります。

その中には中国から伝わった行事がもとになっているという説があり、その行事というのが中国の五節句です。ひな祭りは、そのうちの上巳の節句にあたります。

  • 1月7日「人日(七草がゆ)」
  • 3月3日「上巳(桃の節句)」
  • 5月5日「端午(菖蒲の節句)」
  • 7月7日「七夕(星祭)」
  • 9月9日「重陽(菊の節句)」

中国では、上巳の節句(3月3日)に禊をして、穢れをはらっていました。そのため、日本に伝わった当初も同じようにおはらいをしていたそうです。

時が経つにともない、平安時代の貴族階級の子どもたちの間で流行していた「ひいな遊び」と呼ばれる人形遊びと融合し、人形に厄を移して流す「流し雛」に変化したそうです。

その後、人形が豪華になり、川に流さずに家に飾るという風習が定着していき、現在のひな祭りの形になったといいます。

そんな由来のあるひな祭りの定番の食べ物にも意味があります。

その説明と、歯科食育士がおすすめするメニューやポイントをあわせてご紹介します。

歯にいい食事のポイント PART2 ひな祭り編

歯科食育士の視点から考えるひな祭りおすすめメニュー

① ちらし寿司

ちらし寿司には、生涯食べ物に困らないようにという意味が込められています。中に入っている具にも、それぞれに意味があります。

えび

腰が曲がっていることから、長寿の意味が込められています。

えびの体の9割は水とタンパク質でできており、品種によりますが糖質や脂質が少なく、コレステロールの減少をうながすタウリンも豊富です。

身も殻も栄養が豊富なので、特にカルシウムが豊富な殻ごと食べられるように揚げたり、殻からだし汁をとったりする調理法もおすすめです。

れんこん

先の見通しが良くなるようにという意味が込められています。

根菜は歯ごたえがあり、顎の発育やだ液の分泌につながります。また、れんこんに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくい特徴があります。

ゆでる時間に注意して、食感と栄養素をどちらも残せるようにしましょう。

錦糸卵

財産や富の象徴とされています。卵は最強の栄養食品ともいわれているほど栄養素が豊富です。

卵黄と卵白、殻、カラザのそれぞれに栄養素があり、卵黄は主に歯の形成などに関わるビタミン類、ミネラル、脂質が豊富です。

卵白は歯肉の形成などに関わるタンパク質とカリウムが多く、殻にはカルシウム、カラザには抗がん作用や免疫力増加を促進するシアル酸が含まれています。

殻はなかなか難しいですが、他の部位はなるべく一緒に使うと、効率よく栄養を摂取できるでしょう。

ちらし寿司

② 菱餅

中国から伝来した当初は、母子草を使用した緑一色でしたが、次に白色、最後に赤色の菱餅が加わりました。

この三色の菱餅には縁起が良く、春の情景が連想されるような意味合いが込められています。

また、効能もそれぞれあるので、風情を感じつつ栄養を摂取することができます。(* 着色料を使用していることもあるので、効能には差があります。)

菱餅はひな祭りが終わった後も、焼き餅にしたり、お雑煮やかき餅にして食べるなど、さまざまな食べ方ができます。

お餅は食後口腔内に残りやすいので食べた後は入念に歯みがきをしましょう。

  • 赤(魔除け):桃の花を表現しており、血圧降下作用や抗炎症作用、血流改善の効果があるクチナシで着色されています。
  • 白(子孫繁栄、長寿、清浄):純白の雪を表現しており、生理活性作用や抗酸化作用のある菱の実が含まれています。
  • 緑(健康や厄除け):新芽の吹き出を表現しており、整腸作用、免疫力向上作用がある蓮で着色されています。その他、増血効果もあります。

③ はまぐりのお吸い物

はまぐりは二枚で一対になっており、他の貝同士ではぴったり合うことはないことから、一人の相手と生涯仲良く添いとげられますようにという、女の子ならではの願いが込められています。

はまぐりはビタミンB12やタウリン、特に骨や歯の形成などに使われるカルシウムと、そのカルシウムの働きを助けたり、代謝機能を向上させるマグネシウムが豊富です。

お吸い物にすることで、それらの栄養素をあますことなく食べられるのでおすすめです。

はまぐりを選ぶときは、貝がぴったりくっついていて、つやのあるものが良いです。

はまぐりのお吸い物

④ ひなあられ

ひな祭りの代表的な和菓子です。

関東ではポン菓子を甘く味つけしたもの、関西ではおかきを砂糖醤油などしょっぱい味つけにしたものをひなあられと呼んでいるようで、地域によって異なるようです。

いずれにしても砂糖を使用した和菓子になるので、食後の歯みがきやうがいは忘れずに行いましょう。

また、ひなあられに使われる色には四季が表現されています。

桃=春、緑=夏、黄=秋、白=雪の4色から構成されているひなあられが多く、一年健やかに成長できるようにという願いが込められています。

ひなあられ

最後に

今回は、ひな祭り(桃の節句)の代表的なお料理とその栄養価をご紹介いたしました。

可愛らしい雛人形は、女の子の厄を引き受け守ってくれるもので、代表的なひな祭りの色鮮やかなお料理にも、厄除けや長寿の願いが込められています。

そんな日本ならではの繊細な感性や文化に触れながら、お口や身体の健康につながる食事を意識してみてはいかがでしょうか。

最後に

歯科食育士の視点から考える、歯にいい食事のポイント

PART1 クリスマス編
PART2 ひな祭り編