こんにちは、渡邉ひかりです。
訪問歯科診療に従事しているみなさんの中に、患者さんやそのご家族とのコミュニケーションでお悩みの方はいませんか?
この記事では、5年間、訪問歯科衛生士として働く中で培った、訪問診療における会話や説明のポイントをご紹介いたします。
1.主訴を伺う
主訴を伺う際は、介助者、付き添いの方と同様に、患者さんご本人にも伺うようにしています。
どうせ耳が遠いだろう、認知症でコミュニケーションが取りづらいだろうと決めつけずに、声かけを行いましょう。
声かけのタイミングとしては、最初に声をかけることをオススメします。その後に、介助者、付き添いの方などに主訴を伺います。
高齢の方だと、主訴に関連して色々なお話をしてくださる方がいますが、まず、いちばんの主訴を聞き出すことが大切です。
注意点として、関係なさそうな話の中に大切なヒントが入っているときがあるので、話を切るというよりは、重要そうなことを選別して、まとめることがポイントです。
- いつから
- どこが
- どのように
- どういう風にしてもらいたいか
「どういう風にしてもらいたいか」は、なんでもかんでも希望通りにするという意味で聞くのではなく、希望と現実を結びつけるために伺います。
介護認定を受けている方の場合、可能な範囲の中で、ご本人と介助者の双方にとってよいものにすることが大切です。
「これしかできない」と強制するのではなく、しっかりとした理由を説明した上で提案するようにしましょう。
2.体の状態を確認する
高齢の方なら、何かしらの基礎疾患をお持ちのことが多いです。すべての方に現病歴既往歴の問診をしましょう。
対診を取る時に必要な情報でもあるので、しっかり聞き出します。食べ物、薬などアレルギーの有無も忘れずに!
- いつ発症したのか
- オペなど治療の有無
- 薬の有無
- かかりつけ医
- 通院の頻度 など
他にも、入所の有無や、その他介護サービスの有無、担当のケアマネの確認をします。
また、生活の記録を介護士の方や看護師が記入しているので、そういった書類も確認してみましょう。
本人やご家族からすべて聞くことが難しいこともあるかと思いますが、ほとんどの場合、介護保険証や利用調査表のコピーが施設カルテの中に入っています。
施設カルテにもさまざまな情報が記載されてるので、もしコピーなどをお持ちの場合は見せてもらいましょう。
そして、要介護認定を受けている方なら、介護度や移乗可能かどうか、コミュニケーションを取ることは可能かについても確認します。
これらの情報は、ドクターの治療内容の判断にも役立ちます。また、もし介護認定を受けている方が診療室にみえた場合に、ユニットで診療するか、車椅子のまま診療するかの判断にもつながります。
しかし、訪問歯科を利用される方はほとんど、ユニットに移動できたとしても、健康な人のようにフラットな状態で診療することはありません。
少しリクライニングはつけますが、むせたり、腰や首への負担などを考慮する必要がありますので、ほぼ座位で診療を行います。
3.生活の様子について問診する
つづいては、普段の口腔ケアについて、義歯の清掃、管理方法などを聞いておきます。
普段の様子を聞くことは、保健指導を行う上でもヒントになることが多いです。
これはご本人に聞いた後、介助者や付き添いの方にも再度聞きます(相違がある場合もあるので)。
また、ひとことで認知症があるといっても、段階があります。
ちょくちょくご本人と介助者、付き添いの方など双方に同じことを聞くことで、現状どのくらいの状況判断能力があるか、コミニュケーションを取ることができるかなどを、予想することができます。
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いかがでしたか?
今後ますます需要が高まる訪問歯科。
患者さんやそのご家族から信頼を獲得し、スムーズな処置が行えるよう、コミュニケーションのポイントをチェックしてみてくださいね。