歯科衛生士の鯨岡紀子です。
衛生士歴34年目の現在、歯科医師の主人とともに診療所を経営し、働きやすい環境づくりにつとめています。
11月22日、オンラインで開催されたBly’(ブリー)歯科チームキックオフミーティングに出席しました。
Bly’とは、Twitterで情報発信されている歯科衛生士の母neoさんが率いる歯科チーム。
以下のような活動理念で活動を行っています。
【Bly’の活動理念】
新卒からベテランまでの全ての歯科衛生士に向けて、正しい知識と技術、それを活用していく術を各分野のスペシャリストが伝えていきます。
基本に沿った歯周疾患治療
専門的な口腔周囲筋ケア
訪問歯科診療やスペシャルニーズへの対応
インプラントのアシスト、メインテナンス
院内での物の管理や人と人を繋ぐことそして、全てのモチベーションを適切にコントロールする「セルフマネジメント」
これらの事に関して試行錯誤しながらも努力を惜しまない歯科衛生士になれる場所を提供致します。(講演より引用)
歯科衛生士の母neoさんは、ご本人いわく、特別ではない歯科衛生士さん。
けれど、ツイキャスでドクター相手に語るneoさんの聡明さはピカイチだったし、歯科衛生士の学生さん向けに描いていたという国試試験対策用のイラストは非常にわかりやすく、ただ者ではないという印象を私は強く持っていました。
また、講師の先生がたも有名無名(Twitter界では有名な先生であったり)に関わらず、おもしろいお話が聞けそうな期待感がありました。
何よりneoさんがどんな場を作り出すのか、それは歯科衛生士としての新しいスタイルになるのかもしれないと非常に興味深かったです。
ですから、このチームが始動すると聞き、早々と申し込みを済ませ開催を心待ちにしていました。
1.心の声からはじまる歯周治療〜歯周病認定歯科衛生士の資格取得を通して〜
最初の講師は、岩手県盛岡市のゆいとぴあ歯科医院に勤める歯科衛生士の高橋佳奈さん。
日本歯周病学会の認定資格を持つ高橋さんは、neoさんの衛生士学校同級生とのこと。
歯科衛生士業務は多岐に渡るようになりましたが、日本歯周病学会認定歯科衛生士というと、歯科衛生士の王道といっても過言ではないと思います。
資格はもとより、それを基礎からしっかり学び、資料取りを行い論文として仕上げ発表されたことが素晴らしいと思いますし、その上で大切なことはコミュニケーションであると言い切る彼女の言葉は、非常に説得力があると感じました。
ほんわかした話しやすい雰囲気の高橋さんですが、ブレない強さもきっとかねそなえていらっしゃるのでしょう。
若手だけでなく私たち世代も、学びどころが多くありました。
2.スペシャルニーズの実態~障害者歯科・訪問歯科・高齢者歯科~
お二人目の講師は、みき歯科三越通りクリニックの院長 三木武寛先生。みき先生は障害者歯科を専門とされています。
三木先生の話をお聞きするのは、今回が2度目です。
(参照:職種不問!歯科医療従事者の新しいコミュニティ「六角フェス」が開催)
前回、「脱感作」についてお聞きし、それは診療室ですぐに応用できました。
小児・成人ともに、口腔周囲筋にこわばりがある方に目を向けることがなかったことに気づいたのです。それは発見であり、TBIを行うにあたり重要な視座となりました。
今回、三木先生はBly’でやりたいとお考えのことをいくつか示してくださいました。
その一つに「保険点数について触れる」というのが含まれているのが注目点でした。
歯科衛生士の中には保険点数にうとい方もいるようですが、どのような流れで医院に治療費が支払われるか、そこにはどんなルールがあるかを知ることは非常に大切だと私は考えています。
歯科以外においても、経済の流れを知ることは未来を生きる上で重要です。
今後行う予定の、行動変容についてのワークショップもとても楽しみです。
3.活かす、活きる!口腔周囲筋ケア
三人目の講師は、山梨県甲府市を拠点に口腔周囲筋ケア専門のフリーランス歯科衛生士として活躍する高見澤亜衣さん。
私は高見澤さんから口腔周囲筋ケアについて、グループセミナー・プライベートセミナーそしてオンラインセミナーを何度も受けています。
そして、そのたびに多くのことを学び何かに活かしたいと考えています。
口腔周囲筋ケアは一つのアイテムではありますが、ゴールではありません。むしろはじまりです。
手技を学ぶと、そこに注視しがちで肝心な部分が見えにくくなります。セミナーでは、それを鋭く指摘されたこともありました。
高見澤さんは、大切なことは「気づく・感じ取る(くみ取る)・繋げる・伝える・伝わる」だと、ふんわり、でも力強く語りかけます。
歯科衛生士として必要な力はそこにある、そんな気がします。
私は高見澤さんのセミナーで多くの気づきを得た後、まず自分自身で試し調べ、その上で患者さんに伝えるようにしています。
その結果、自分自身の健康意識が変わり、それが行動変容に繋がりました。コロナ禍においてさらにそのニーズは高まったと感じています。
患者さんの困りごとやリスクに気づき、その上で何を伝えるか。そのために自分自身はどんな準備ができるのか。誰のために何をしたいのか。
高見澤さんの講演は、それを内省する機会になると思います。
4.歯科衛生士のためのインプラント講座~天然歯との違いを理解する~
つづいての講師は、大宮銀座通り歯科の院長 小川信先生。
小川先生はインプラント手術を行っていない歯科医院に勤務したとしても、メインテナンスを行う機会は大半の歯科衛生士にあるだろうとのことで、インプラント周囲炎やケアについてなどをお話しくださいました。
インプラント患者のメインテナンスについては、オーバーブラッシングにならないようにという主旨のことを強くおっしゃっていたのが印象に残りました。
私がオーバーブラッシングについて強く意識するようになったのは、Twitterで発信している先生がたの影響が大きいです。
昔はオーバーブラッシングというと、くさび状欠損のリスクを指していたと思いますし、ブラックトライアングルへの意識はほとんどなかったと思います。
インプラントは長期症例をみていますが、メインテナンスにおいてもセルフケアにおいても侵襲をできる限り加えないというのは重要だと思います。
患者さんの時間軸を考えて、その時々に合った提案ができるようになりたいものです。
5.セルフマネジメント~歯科でなぜ必要なのか〜
最後の講師は、Bly’ 歯科チーム代表をつとめる歯科衛生士の母neoさん。
neoさんはセルフマネジメントについて、ハンバーグ作りにたとえ、イラスト付きで解説して下さいました。
これは圧巻…非常にわかりやすいです。
neoさんは、自分のモチベーションを維持できて、それで息抜きもできて、「歯科衛生士の仕事が楽しくてたまらないと思えるように」が連鎖したらいいと考えていらっしゃるとのこと。
とても共感します。
息抜きができるように働き方改革を推進したり、効率化をはかるかためにIT化をしたりという工夫をいろいろと進めてきましたし、私が「仕事が楽しくてたまらない」と思っているというのは、たぶん周囲も納得していると思います。
そもそも休みの日に受けるこうしたセミナーは、娯楽のような位置付けで、楽しさはあれど仕事だという意識はまったくありません。
私にとって仕事はプレイアブルでありプレイフルなのです。
といっても、私の歯科衛生士人生が決してずっとそのようだったわけではなく、もっと若い時にこんな気持ちになれていたらなぁと思う面もあります。
ですから、若い方にこそneoさんの話を聞いてほしいと思います。楽しいが一番…!
これは、子育て中の方にももちろん言えると思います。
次は、今年2月7日にベーシックセミナーが開催されるようです。
どうせ働くなら楽しい方がいい。多才なneoさんが、これからどんなハンバーグを仕込むのか楽しみです。
なお、体調不良により欠席された歯科衛生士MARIEさんがメンバーにいらっしゃるようです。
MARIEさんは、オープンスタッフを2度経験され、院内の人と物の管理、院長からの相談など学校では教わらない分野に精通した院内管理のスペシャリストだそうです。
そちらも非常に興味深いですね。