レントゲン撮影、きちんと「NO!」と言えますか?

はじめまして、一般社団法人日本歯科医学振興機構 代表理事の坂元彦太郎です。

私たちは、歯科関連の法律を正しく周知し、歯科医師のみならず、特に歯科衛生士の地位向上に寄与するために、さまざまな活動を行っています。

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突然ですが、皆さんの職場では、レントゲン撮影が歯科衛生士や歯科助手の仕事になっていませんよね?

歯科衛生士や歯科助手によるレントゲン撮影は、法律で禁止されています。

どこの歯科医院でもやっているからと甘く考えていると、人生を棒に振ってしまうかもしれません。

日本において、放射線を照射(撮影を含む)することができるのは医師と歯科医師、指示を受けた診療放射線技師だけです。

これは「診療放射線技師法」という法律で、明確に定められています。

診療放射線技師法とは…

(定義)
第二条第2項
この法律で「診療放射線技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(中略)することを業とする者をいう。

(禁止行為)
第二十四条
医師、歯科医師又は診療放射線技師でなければ、第二条第2項に規定する業をしてはなら
ない。

(罰則)
第三十一条
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第二十四条の規定に違反した者
二 虚偽又は不正の事実に基づいて免許を受けた者

(診療放射線技師法より抜粋)

とあるように、この法律に違反すると、「1年以下の懲役」「50万円以下の罰金」という処分が下されます。

考えてみてください。

患者さんの健康を守るために日々仕事をしている歯科衛生士や歯科助手など医療スタッフが、日々もし犯罪をおかしているとしたら…。

その犯罪行為に慣れてしまい、麻痺してしまっているとしたら…。

ある日、勤務する歯科医院に警察官がゾロゾロとやってきて「逮捕状」を見せられ、手錠をかけられる。

そのまま家に帰ることもかなわず、警察署に連行され勾留される。

自宅で帰りを待つ家族や幼い子ども、愛する恋人のことを想像してみてほしいのです。

もし、日々犯罪行為に手を染めているのだとすれば、今すぐにやめるべきです。

「○○さん、右下のデンタル撮っておいて〜」
「じゃあとりあえずパノラマ撮って〜」

歯科衛生士や歯科助手がレントゲンを撮影できないことを知らない歯科医師は存在しません。

しかしながら、このような指示を行う歯科医師には犯罪をおかしているという実感はおそらくなく、スタッフに指示することが当然のことだと思っている場合すらあります。

それくらい、この悪しき習慣が、一部の歯科医療従事者に染み付いてしまっているのです。

そして、診療放射線技師法違反で逮捕されるのは、指示を出した歯科医師だけではありません。

「私は院長の指示に従っただけなのに・・・」

そのように後悔することが、留置場の中では遅いのです。

家族からの信頼、恋人からの愛、患者さんからの信用をこのようなことで失うこと、もっと踏み込んでいうと人生を棒に振らないでいてほしいのです。

最近ではインターネットやSNSの普及で、歯科医療従事者だけでなく一般の方も医療関係の法律にくわしくなってきていますし、このような事件が起こると、すぐにネットニュースになります。

実は、多くの患者さんが、歯科医院で行われている犯罪に気が付いているのです。

ある一人の患者さんの「通報」で、人生が変わってしまう可能性があることに気づいてほしいのです。

2019年1月に大阪で起こった事件では、診療放射線技師法違反により、歯科医師や歯科助手を含む11名が書類送検されました。
(参照:無資格の歯科助手らがレントゲン撮影 歯科医らを書類送検-産経新聞

同年10月に名古屋市で起こった事件では、診療放射線技師法違反に加え、無資格者による医療行為において診療報酬を詐取していた疑いで、歯科衛生士が詐欺罪(10年以下の懲役)でも立件されています。
(参照:留守の治療は衛生士 歯科医ら歯科医師法違反容疑で逮捕-朝日新聞

まわりもみんなやっているから大丈夫…。

そんなことは絶対にありません。

もし歯科医師からレントゲン撮影の指示があった場合、しっかりと「NO!」と言ってほしいのです。

もっと大切なことは一度、歯科医院全体でミーテイングを行い、『犯罪をおかしたくない』という意思を歯科医師に伝えてほしいのです。

歯科医院で働く歯科衛生士や歯科助手は、医院の宝です。

犯罪をおかしたくない気持ちをしっかりと伝えれば、その思いはきっと届くと僕は信じています。

私が開発した機器で恐縮ですが、ワイヤレスカメラとモニターで離れた場所を監視しながら無線リモコンでスイッチを操作できる商品「ミスタースイッチ(株式会社OKABE)」があります。

歯科医師がモニタを見ながら遠隔でレントゲン撮影ができる「ミスタースイッチ 」
モニタを見ながら遠隔でレントゲン撮影ができる「ミスタースイッチ 」

この機器を設置することで、歯科医師は診療の場を離れることなく、自らの手でレントゲン撮影が可能になります。

この機器が職場での「あなた」を救うことができるならば、発案者としてこの上なく嬉しく思います。

私たちは人々の健康に寄与する素晴らしい仕事をしています。

これからは安心して歯科医療を行うため、臨床現場においても、Legal Evidence Based Medicine(法的根拠に基づいた医療)を意識する必要があります。

取り返しがつかなくなる前に、一度日々の仕事を見直してみてはいかがでしょうか?

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