みなさんは、現在勤務されている職場に求めていることはありますか。
就職活動をしているときは、職場に色々なことを求めて活動されているかと思います。
しかし、就職先が決まりその環境で働くことが日常になってしまうと、新たな変化へに対する勇気や恐れ、そして労力などを考えて、職場環境に無関心になってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただし、その「無関心」の部分は、ご自身の労働時間やお給料、有給“以外の部分”ではないかと想像しますが…。
私自身のことですが、前クリニックに約20年間勤務した後に、現在の大岡歯科医院に勤務して3年が過ぎました。
これまでの長い歯科衛生士人生でたった1回の転職というのは、比較的少ない方ではないかと思います。
そのため、なぜひとつのクリニックに長く勤めることができるのか。そのコツを聞かれることが多々あります。
series1でも3回にわたってお伝えしたように、そもそも最初から環境やスタッフすべてが自分の思う通り、理想的に整っているクリニックは存在するのでしょうか。
それは、とても難しいと思います。
では、長く勤務することができている方々は、何を決め手に就職しているのでしょうか。
今、転職をお考えのみなさんに3つの質問をさせていただきます。
Q1.就職活動中に、ご自身がクリニックに求めていたこと(なぜこのクリニックに就職したのか)を覚えていますか?
Q2.就職活動中に気になったこと、就職したら変えていきたいなと思ったことを、改善できていますか?
Q3.仕事に対して「喜び」や「やりがい」を感じることがありますか?
この質問に、1つでも「NO」とお答えの方は、現在の職場に多かれ少なかれ不安や不満を抱えた状態なのではないでしょうか。
そして、転職を考えたり、もしかしたらすでに転職を繰り返してしまっているのではないでしょうか。
逆に、上記3つの質問にすべて「YES」とお答えの方は、転職せずに同じクリニックに長く勤め、キャリアを積まれているのではないでしょうか。
私自身は前クリニックに勤務していたときも、もちろん現在も、この3つの質問にすべて「YES」と答えることができます。
ですが、そう答えられる歯科医院を見つけ出すのは、本当に大変だと思います。私自身、はじめからすべてに「YES」と答えられていたわけではありません。
今回は、私の経験をもとに、どのようにして「YES」と答えられるようになったのかをお話したいと思います。
Q1.就職活動中にご自身が求めていたものを覚えていますか?
私は初めての就職活動の際、まずは自分自身がなりたい歯科衛生士像を考えることからはじめました。
具体的には、患者さんを担当制で拝見できること。歯周治療やメインテナンスの他、CRT(カリエスリスクテスト)やPMTCなどの予防診療を行っていることでした。
このことは、現在勤務しているクリニックにも求め続けていますし、実践しています。
Q2.就職活動中に気になったこと、就職したら変えていきたいなと思ったことを改善できていますか?
正直に言いますと、新卒で初めての就職活動では、右も左も分からず、診療内容や診療中の雰囲気を第一優先に決めました。
また当時は、今の衛生士学校のように、就職ガイダンスや教務の先生からのアドバイスなどは、ほとんどなかったように記憶しています。
ですから、就職活動中に気になったことはほとんどありませんでした。というよりも、今になって振り返ると、気が付くことができなかったのだと思います。
ですが、就職してからは、先輩歯科衛生士とともに、常勤歯科衛生士の業務改善のため、いわゆる「ならわし」というものに縛られた作業的な業務の改善を行っていきました。
これにより、各歯科衛生士の診療以外の負担軽減や、拘束時間の削減につなげることができました。
Q3.仕事に対しての「喜び」や「やりがい」を感じることがありますか?
私自身、そもそも入社1~2年目までは、仕事で得られる「喜び」や「やりがい」が何なのかを分かっていませんでした。
ですから、職場環境に慣れはじめ、歯科衛生士業務が一通りできるようになった頃には、一時的に目標を見失い、転職を考えたこともあります。
ですが、私が転職しなかったいちばんの理由は、自ら動きはじめ、新たな目標を探しはじめたことです。
自分の空いている時間に先輩歯科衛生士の業務を見学させていただいたり、先生の治療のアシスタントにつかせていただいたり、受付の方のカルテの処理や保管方法、電話対応を見学するなどして、多くのことを学ばせていただきました。
このことにより、改めて今の自分を客観的に見つめなおすことができ、結果として、自分の未熟さを痛感して、新たな目標ができました。
このように、新たな目標ができて、責任ある仕事を遂行することで、仕事をすることでしか得られない「喜び」や「やりがい」を感じられるのではないでしょうか。
私は、自分の居場所は自分でつくるものだと思っています。
そのため、自分の居場所である職場環境は、自分を含めた仲間でつくっていくものだとも考えています。
誰かがやってくれるものではなく、自分もそこに参加しなくてはなりません。
つまり、職場環境に対して、決して他人事にはならずに、自ら求め続け積極的に取り組む。
そうすることで、転職せずに長く勤務したいと思える職場に、少しずつ変貌を遂げていくのではないでしょうか。
自分次第、ということでしょうかね。
わが家のクリスマスパーティーの様子です。
いつもなら親戚や友人などを呼んで、にぎやかに過ごしますが、今年は控えめに家族のみで過ごす予定です。
チーフ歯科衛生士の流儀
series1.医院のルールづくり
part1.働きやすい職場環境について考える
part2.あったら良いな、こんなルール
part3.ルールの活用方法
series2.スタッフ育成のポイント
part1.新たな仲間を受け入れる準備はできていますか?
part2.こんな質問にどう答える?「教育システムはありますか」
part3.相手に伝わる褒め方・叱り方
series3.転職しないコツ〜長く勤められる医院とは〜
part1.職場環境に求めること