こんにちは。歯科衛生士の岡崎と申します。
歯科食育士やホワイトニングコーディネーターなどの資格も有しており、歯科界だけでなく幅広い方と情報共有ができれば幸いです。
口腔の健康は身体の健康のはじまりといわれています。そして、なにを食べるかの選択も等しく大切です。
患者指導においても、食に対する意識が高まれば、身体に対する意識も高まり、それは口腔環境への意識の高まりにもつながります。
この連載では、食品にどんな栄養素があり、どのような調理方法や組み合わせが効果的かなどについて、歯科食育士の視点からお伝えします♪
歯にいい食事のポイント PART1 クリスマス編
今年もクリスマスの時期が近づいてきましたね。
美味しいものをたくさん食べるのもいいですが、むし歯や歯周病になってしまっては、楽しいはずのクリスマスシーズンも存分に楽しめません。
しっかり食べて、しっかり楽しめるように、歯科食育士の視点から考えるお料理のポイントと、クリスマスメニューをご紹介します。
まずはおさらい!歯を強くする栄養素
歯や歯周組織を強化したり、細菌から守る作用のある栄養素を持つ食品はたくさんあります。
お料理の際、バランスよくそれらを使用することによって、お口の健康を保持増進することにつながります。
フッ素
フッ素には、歯質の強化や再石灰化の促進、細菌の酸産生を抑制する効果があります。
主に、イワシやエビ、牛肉、大根、じゃがいも、りんご、塩、お茶、味噌などに含まれています。
カルシウム
歯の形成に効果のあるカルシウムは、主に、小松菜やわかさぎ、乳製品、大豆、ひじき、干し海老などに含まれています。
リン
歯質の石灰化を促進する働きのあるリン。主に、玄米やチーズ、卵などに含まれています。
タンパク質
歯や歯周組織の土台となるタンパク質は、主に牛乳や魚、卵、豆腐などに含まれています。
ビタミンA
エナメル質の強化に効果的なビタミンA。
ビタミンAが含まれる主な食品には、豚肉やうなぎの蒲焼き、レバー、かぼちゃ、人参、卵、ほうれん草などがあります。
ビタミンC
コラーゲンの合成や、副腎皮質ホルモンの合成を促進したり、免疫力を高める効果のあるビタミンC。
主にピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ、キャベツ、じゃがいも、さつまいもなどに含まれています。
ビタミンD
ビタミンDには、カルシウムの吸収促進や、石灰化の調整を行う働きがあります。
牛乳や卵、チーズ、ひじきなどに、主に含まれています。
ビタミンE
血行促進作用や抗酸化作用、活性酸素を抑制する働きがあるビタミンEは、アーモンドやうなぎ、たらこ、アボカドなどに多く含まれています。
他にも、歯にいい食品はたくさんあります。
セロリ、レタス、ごぼう、さつまいも、にんじんなどといった繊維質の多い食品は、「直接清掃性食品」とも呼ばれています。
たくさん噛むことによって唾液の分泌が促進され、お口の中が洗浄されます。また、顎の成長促進にもつながります。
また、キシリトールで有名な「代用甘味料」。糖の摂取を最小限にすることで、むし歯の予防につながります。
しかし、代用甘味料の中には、摂取しすぎると副作用で腹痛になりやすいものも。食べる量には十分に気をつけてください。
歯科食育士の視点から考えるクリスマスおすすめメニュー
① クリスマスリースマカロニグラタン
チーズや牛乳に含まれるカルシウムが骨や歯の形成を促進します。
また、ブロッコリーに含まれるビタミンA・C・Eは、象牙質形成などの他にも風邪予防や肌荒れにも効果があります。
② マッシュポテトツリー
じゃがいもには、歯質の強化などを行うフッ素や、歯の象牙質形成に必要な栄養素のビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCと聞くとフルーツのイメージが大きいですが、みかんと同じぐらいのビタミンがじゃがいもにも含まれているのです。
③ カレーライス
お肉の中でも、特に牛肉には歯質の強化などに使われるフッ素が含まれています。カレーの具材として利用すると歯応えもあり、おすすめです。
その他にもにんじん、かぼちゃなどはビタミンAが、チーズにはリンが豊富に含まれているので、一緒に使う具材として相性が良いでしょう。
ただ、カレーは着色しやすい性質があるので、食後は念入りに歯みがきをしましょう。
④ トマトのサンタクロース
トマトには、ビタミンAの元になるβ-カロテンが含まれています。
これには抗発ガン作用や免疫賦活作用もあります。また、トマトに含まれるリコピンは抗酸化力が高いことでも有名ですね。
顔の部分に使う具材としては、マッシュポテトやカマンベールチーズなどがおすすめです。
⑤ かぼちゃのケーキ
かぼちゃには、エナメル質を強化するビタミンAが豊富に含まれています。タネをケーキに添えることで、適度な歯ごたえも生まれます。
また、甘味の調節には、砂糖の代わりに蜂蜜やフルーツの果汁を使用することがおすすめです。
その他にも、食べた後はしっかり歯みがきをすることや、だらだら食べをしないこと、歯にくっつきにくいものを選ぶなど、さまざまな視点から工夫することが大切です。
最後に…
食育とは、単なる料理の教育ではなく、適切に食を選択し、健全な食生活が送ることができる人間を育てることです。
現代社会では食に対する関心が高まる一方で、食文化や栄養学の重要性が軽視される場面も多くなってきました。
ぜひこの機会にご自身が普段食べているものや食べ方を見直して、食育と向き合ってみませんか?
それでは健康なお口で美味しいものをたくさん食べて、クリスマスを楽しみましょう!