世界の歯科衛生士仲間たち vol.3 アメリカのDH Mihyun

他国の歯科衛生士はどんな風に働いているのだろう・・?

そう思ったことはありませんか?

私は10年間アメリカで歯科衛生士として勤務し、2012年に日本に帰国しました。

そして帰国してからも変わらず、世界と繋がっています。すると、日本の歯科医院で働く上で活かせるヒントがたくさんあることに気づきます。

私はいつも、そんな海外研修や国際会議で得た情報を、少しでも日本の歯科衛生士仲間に届けたいと思っています。

そこでこのコーナーでは、これまでに出会った、各国で活躍する歯科衛生士さんをご紹介したいと思います。

前回まではこちら

vol.1 スウェーデンのDH Jessica
vol.2 ハンガリーのDH Maria

今回は、アメリカ ヴァージニア州で働く歯科衛生士、Mihyunです。

アメリカ ヴァージニア州で働く歯科衛生士、Mihyun

もともと、韓国でJ-popコンサートを主に主催するエンターテインメント会社で働いていたMihyun。

また、J-pop や K-popアーティストにインタビューを行うフリージャーナリストとしても活躍していた彼女ですが、渡米を決め、現在は歯科衛生士として現地のクリニックで働いています。

彼女から、アメリカにおける歯科衛生士教育と歯科衛生士の働き方について、お話を聞いてきました。

Mihyn(右)と私(中央)
Mihyun(右)と私(中央)

アメリカの歯科衛生士教育について

アメリカの歯科衛生士養成プログラムのほとんどは、2年間の準学士過程です。さらに学びたい人のために、学士過程または修士過程がある学校もあります。

また、アメリカの歯科衛生士養成プログラムを受けるには、以下の条件を満たしていることが必要です。
(参照:American Dental Education Association

  • 高校の卒業証書またはGDE(General Educational Development ;後期中等教育の課程修了資格)
  • 高校での数学・化学・生物学・英語の履修
  • 高校の成績が最低GPA 2.0
  • 大学入学試験の成績
  • 大学において、最大40時間のコースワーク修了(化学・英語・スピーチ・心理学・社会学)

アメリカ歯科衛生士協会(ADHA)2012 歯科衛生教育プログラムディレクター調査によると、2年間の歯科衛生プログラムを修了するには、英語・基礎科学・歯科コース・歯科衛生学コースなどを含む、平均84時間の履修が必要です。

学校によってカリキュラムの詳細が少しずつ異なるので、アメリカで勉強したい場合は、興味のある学校のウェブサイトでプログラムの内容を確認してみてください。

アメリカの歯科衛生士の働き方

アメリカ合衆国では、州によって「supervision level(監督レベル)」が設けられており、歯科衛生士が歯科医師の監督の元で行える作業が地域で異なります。

私が住んでいるヴァージニア州では、歯科衛生士の仕事はかなり独立しています。

ヴァージニア州では、衛生士は「general supervision level(一般的な監督レベル)」の下であれば、局所麻酔とN2O(笑気ガス)の管理を除いて、日常業務のほとんどを行うことができます

つまり、治療計画が歯科医師によって承認されていれば、その場に歯科医師がいなくてもさまざまな衛生ケアを行うことができます。

私のオフィスでの日課についてもう少しお話しするために、ある1日のスケジュールを簡単にレビューします。

私は1人の患者さんを診るために丸々1時間を費やすので、平均して1日あたり約8人の患者さんを診ています。

患者さんが診療室にこられたら、まずは患者さんの病歴から最新の情報まで、すべて確認します。

また、歯周病専門医のもとで働いているため、私が行っている処置のほとんどは歯周治療です。

主な処置が終わったら、患者さんの教育に十分な時間を費やしています。

治療中に見つけたポイントに基づいて、患者さんの質問にすべて答え終わった後、検査のために歯周病専門医が診にきます。

ユニフォーム姿のMihyun
ユニフォーム姿のMihyun

歯科衛生士の役割

私は歯科衛生士として12年間働いています。

これまで働いていた音楽業界との最大の違いは、自分の仕事、自分がしていることに対してより責任を感じるところです。

エンターテインメントビジネスとは異なり、医療分野は人々の健康を扱っています。これは、質の高い生活にとってより重要な要素です。

中でも、歯科衛生士の仕事には多くの責任があります。

私たちは、すべての患者さんの病歴と口腔内をスクリーニングし、検査を行い、バイオフィルムと歯石を取り除きます。

そして、私たちの仕事の最も重要な項目のひとつに、「患者教育」があります。

以前、12歳の男の子が患者として来院したときのことです。

彼が最初にオフィスにきたとき、彼のお母さんは、ブラッシング習慣の悪さを心配していました。

彼と会話をする中で、その子がなぜブラッシングする必要があるのかを十分に理解していないことに気づきました。

そこで、染め出し剤を使用して説明すると、自宅でどのようにしたらより上手に磨くことができるか、また、なぜブラッシングの必要があるのかについて、きちんと聞いてもらうことができたのです。

彼が次にクリニックにきたとき、非常に優れた口腔衛生状態を示し、お母さんも、もう小言を言う必要がない!と嬉しそうに言っており、とても驚きました。

この患者さんの行動変容は、歯科衛生士として達成したかったものです。

このように、私たち歯科衛生士は、人々がより良い生活を送るための手助けができるように、教育することができます

現在、Covid-19により、世界は困難な時期に直面しています。

そのような中、アメリカでも日本でも、医療従事者の社会的役割の重要性を明確に示しています。

歯科衛生士は、人々の口腔衛生を改善する上で強い影響力を持っていると信じています。

世界の歯科衛生士仲間たちと
世界の歯科衛生士仲間たちと(Mihyunは右下)

世界の歯科衛生士仲間たち vol.3 アメリカのDH

世界中に歯科衛生士の仲間がいると、日本とは異なる環境で頑張っている歯科衛生士がたくさんいることがわかります。

私がスタートさせた「歯科衛生士国際交流会TeamGrin’n」という交流会では、日本全国の学びたい歯科衛生士が集まり、定期的に勉強会を開催しています。

2年に一度行っている海外研修では、海外の情報を得るだけではなく、日本の歯科事情も海外に向けて発信しています!

希望者には、研修前にプロの英会話講師から指導を受け、現地でしっかり英語を使って歯学を学べるようにトレーニングも行っています。

興味のある方は、ぜひ参加してみてください。Come and join us!

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歯科衛生士国際交流会 TeamGrin’nのfacebookページへ
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