20時過ぎのいま、このコラムを院内で書いています。
そんなわたしも7年前は時計ばかりみて、患者さんを見ていませんでした。
大学卒業後、建築設計事務所に勤務し、その後医療関係に興味があり転職しましたが、正直、ナース服が着たかっただけだと思います。むしろ、歯医者は嫌いです。
歯科助手として勤務させてもらうことになり、思っていたよりも覚えることがありすぎてびっくりしたというのが第一印象でした。歯科助手ってバキュームで口の中を吸っているだけじゃなかったの?と‥‥
優しく教えてくださる先輩方のおかげで、DA業務はひとつずつマスターしたものの、なにより苦手だったのは「患者さんとお話をすること」でした。
当時から考えると、トリートメントコーディネーターという名で活動している今の自分が不思議なくらいです‥‥。
当院のスタッフは患者さんとのコミュニケーションがとても上手で、お手本でもあり、わたしにとってはこの仲間が自慢です。
患者さんはいつも治療が終わった後、笑顔で「また顔見にくるわなぁ」と帰られます。
わたし自身、歯医者は治療しに行くところなのに、その人にまた会うために行きたいと思わせる先輩方の光景を目にして衝撃的だったし、わたしもこういう存在になりたい!と思いました。
しかし現実は‥‥
患者さんをチェアに案内して、お変わりありませんか?と聞いて、治療に必要なものの準備をして先生を待つ‥‥。
この間に先輩方のように、なにか患者さんとたわいもない会話をしてコミュニケーションをとればいいのだが、なに話したらいいかわからない。
もし話をしていて、患者さんの機嫌を損ねたら‥‥
といろいろ考えると、当たり障りもない治療後の説明や挨拶をすることしかできず、まるでロボットのようでした。
そんなロボットのような毎日が続くと、わたしには無理だと諦めモードになり、モチベーションがあがることなく、とりあえず淡々と仕事をこなして、心の中では「めんどくさい」という気持ちがループし、診療が終わる時間を待つことが日課に。
家に帰って趣味のDVD鑑賞をしたい。今週の休みの日はなにしよかなーと考えながら、時計ばかりみる日々でした。
医療はチームワークが大事。
わたしはモチベーション低下のDA。
間違いなく足を引っ張っていました。
さらに、自分を強くみせる手段として、自分の思ったことをジャックナイフのような鋭い言葉でなげたり、仕事とプライベートのオンオフができずやる気がない‥‥。
このときの自分の性格を分析すると、とても荒れていたのではないかと思います。
変わり映えしない毎日、DAとして無資格で5年先・10年先の自分への不安‥‥
自分を変えたいけど、どうしたらいいかわからない。
そんな日々を送っていた、ちょうど4年前。
憧れと現実の狭間でもがいているとき、院長先生からトリートメントコーディネーターという仕事について教えてもらいました。
補綴にはいろいろな種類があるから、それをまとめて患者さんに説明したら?という話をもらいました。
元々、建築事務所でインテリアを提案書にまとめたりする仕事をしていたのでパソコンは得意で、それならしてみたいと初めてやる気になったのを、いまでも覚えています。
資料をつくるのに、まずは補綴についての勉強をして、作製してみる。当時の自分的にはいい感じにつくれたと思います。
いざそれを使って患者さんに説明してみる‥‥
しかし、患者さんの表情が曇ってる気がする‥‥
あれ?響いてない?わかりづらかったかな?
当時のわたしは補綴の説明を淡々としているだけで、患者さんをみてなかったのだと思います。どう言葉を組み合わせて話したらいいかわからない。
「伝える」のではなく「伝わる」には、どうすればいいのか。
歯科業界に入って初めて、頑張りたい!極めたい!と思ったトリートメントコーディネーター。
そんなとき、出逢ったのが一人の女性でした。
これがわたしの人生の分岐点となりました。
今回の医院改革宣言まとめ!
時計ばかり見る日々からの脱却
モチベーションは、できると好きと周囲の期待が重なったときにあがる
「② 人生の分岐点」へつづく。