抜髄の治療には、準備するものがたくさんあります。アシスタントは、それぞれの用途や目的、使用するタイミングなどを理解しておく必要があります。
STEP2では、抜髄の際に準備する器具や、治療の流れについて説明します。
1.抜髄の準備
基本的に準備するもの
① | 表面麻酔 + 浸潤麻酔 |
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② | タービン + ポイント |
③ | コントラ + バー |
④ | ファイル |
⑤ | 根管長測定用のメーター |
⑥ | ペーパーポイント あるいは 綿栓(めんせん) |
術者の指示に合わせて準備するもの
① | エンドゲージ |
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② | 仮封材(かふうざい) |
③ | 根管貼薬剤(こんかんちょうやくざい) |
④ | 超音波スケーラー + 超音波根管洗浄チップ |
⑤ | 根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい) |
⑥ | ニッケルチタンファイル |
⑦ | ラバーダムセット |
② 仮封材(かふうざい)はフタとして使用します。水硬性セメント(キャビトン・ハイシールなど)や、ベースセメントなどが使用されます。
また、③ 根管貼薬剤(こんかんちょうやくざい)には、水酸化カルシウム製剤(カルシペックスなど)を使用します。
⑤ 根管洗浄用薬剤(こんかんせんじょうようやくざい)は、根管内を洗浄するために使用します。たとえば、次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさん。ヒポクロともいう)やEDTAなどが使用されます。
次亜塩素酸ナトリウムは劇薬なので、取り扱いに注意しましょう。
補綴物の除去が必要な場合に準備するもの
① | 5倍速 + 除去バー |
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② | ドライバー + リムーバー(クラウン・ブリッジの場合) |
2.治療の流れとアシスタント
① 麻酔を行う
- 小綿球に表面麻酔を適量塗布しておく
- 注射を組み立てておく
- 注射中に漏れた麻酔薬をバキュームで吸う(術者による)
② 除去
二次カリエスの治療などで、すでにクラウンなどがセットされている場合、必要に応じて除去を行います。
- 5倍速に除去バーをセットする
- バキューム操作、ライトの調整
③ う蝕を削る
- バーやポイントのセット、つけかえ
- バキューム操作、ライトの調整
④ ラバーダムのセット
治療中に唾液が根管内に入ると、唾液中の細菌が侵入し、根尖病巣にかかりやすくなります。それを防ぐために、ラバーダムをセットして治療を行う術者もいます。
⑤ 術者がファイルを用いて、根管を掃除する
根管を清掃することを、根管拡大(こんかんかくだい)ともいいます。根管拡大は、術者が集中して行う治療なので、アシスタントが必要ない場合もあります。
拡大の途中は、何度か根管洗浄が行われます。その際、アシスタントスタッフはバキューム操作、ライトの調整を行います。
⑥ 仮封材でフタをする
抜髄を行った日に、最終的な薬をつめる治療(根管充填)まで行わない場合は、一時的な根管貼薬剤をいれて仮封材でフタをします。
- 術者の指示に合わせた、薬を持ってくる
- 適量の仮封材を練和する、または、充填器に盛る
⑦ 次回の予約をとる
術後は、鎮痛薬や抗生物質を処方します。また、根管治療(こんかんちりょう)、または根管充填(こんかんじゅうてん)で次回の予約をとります。
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第9章 C3の治療
STEP1 抜髄と麻抜①基本的な知識
STEP2 抜髄と麻抜②準備・アシスト
STEP3 根管治療
STEP4 根管充填(側方加圧法)
STEP5 除去
STEP6 感染根管治療
STEP7 支台築造の間接法①コア形成・印象
STEP8 支台築造の間接法②コアセット・形成
STEP9 支台築造の直接法
STEP10 TeCの作製