歯科のお仕事完全マニュアル 第7章 歯周病の治療 STEP3 フラップ手術

歯周病の治療には、さまざまな方法があります。

この記事では、歯周病治療のひとつであるフラップ手術について詳しく説明します。

第7章 歯周病の治療

STEP1 スケーリング
STEP2 ルートプレーニング
STEP3 フラップ手術
STEP4 咬合調整と暫間固定

1.フラップ手術

フラップ手術

フラップ手術とは、歯周ポケットが深く、SRPによる歯石除去がむずかしい場合に、歯肉をはいで、直接歯根面を見ながら操作する外科的治療のことを指します。FOP(エフオーピー)オープンフラップキュレタージともいいます。

術後は、鎮痛剤や抗生物質を処方します。

フラップ手術の手順
フラップ手術の手順

2.フラップ手術の準備

1 表面麻酔 + 浸潤麻酔
2 消毒用綿球(ヨードなど)
3 メスホルダー(ブレード) + 替刃メス
メスホルダー(ブレード) + 替刃メス
4 外科用バキューム
外科用バキューム
5 剥離子(はくりし)
剥離子(はくりし)
6 ハンドスケーラー
ハンドスケーラー
7 鋭匙(えいひ)
鋭匙(えいひ)
8 滅菌ガーゼ(めっきんガーゼ)
9 ストレートまたはコントラ + ラウンドバーなど
10 生理食塩水 + シリンジ
生理食塩水 + シリンジ
11 縫合(ナート)セット
縫合(ナート)セット
12 歯周パック

縫合セットには、縫合針(ほうごうしん)縫合糸(ほうごうし)持針器(じしんき)抜糸鋏(ばっしせん)が含まれています。また、12は必要に応じて準備します。

3.治療の流れとアシスタント

① 麻酔を行う(必要に応じて)

麻酔を行う(必要に応じて)

  • 小綿球に表面麻酔を適量塗布しておく
  • 注射を組み立てておく
  • 注射中に漏れた麻酔薬をバキュームで吸う(術者による)

② 消毒用綿球で術野(じゅつや)を消毒する

ヨード綿球で消毒する様子
ヨード綿球で消毒する様子

③ メスで歯肉を切開する

メスで切ることを、切開(せっかい)するといいます。

  • メスホルダーに替刃をセットしておく
  • 外科用バキュームで血液を吸い、術野を見やすく保つ

メスで歯肉を切開する

④ 歯肉を剥離する

歯肉を骨からはぎとることを、剥離(はくり)するフラップをあけるといいます。アシスタントスタッフは外科用バキュームで血液を吸い、術野を見やすく保ちます。

歯肉を剥離する

⑤ 歯石、不良肉芽を除去する

歯石などにより炎症状態が続き、治りが悪くなった組織を不良肉芽(ふりょうにくげ)といいます。不良肉芽を確実に除去することで、術後の治癒が良くなります。

術者がハンドスケーラーなどで除去した歯石・鋭匙(えいひ)で除去した不良肉芽を滅菌ガーゼで拭きとります。

歯石、不良肉芽を除去する

⑥ 骨の形を整える

  • 通常のバキュームで、水を吸う
  • エキスカベーターでフラップをおさえ、術野を見やすく保つ

骨の形を整える

⑦ 生理食塩水で術野を洗う

通常のバキュームで、生理食塩水を吸います。

生理食塩水で術野を洗う

⑧ 歯肉を縫う

歯肉を縫うことを、縫合(ほうごう)またはナートといいます。

  • 持針器(じしんき)に糸をつけた針を固定し、術者に渡す
  • 抜糸鋏(ハサミ)滅菌ガーゼをもつ
    ※ 術者の指示に従い、縫い目から3mm程度を残して糸を切る
  • 切られた不要な糸を、ガーゼで受けとる

歯肉を縫う

⑨ 術野の歯肉に歯周パックをかぶせる

術者の指示にあわせて、歯周パックを準備します

術野の歯肉に歯周パックをかぶせる

⑩ 次回の予約をとる

SPまたは抜糸(ばついと)を行うため、次回の予約をとります。

4.消毒

歯肉の回復を待ち、歯周パックを取りはずし消毒を行います。

  • 消毒用綿球を準備する
  • 抜糸を同時に行うこともある

消毒

やってみよう!知識チェック

姉妹サイト『WHITE CROSS』では、今回学んだ内容について、理解度チェックを行うことができます。ぜひご活用ください♪

クリックして回答
クリックして回答

第7章 歯周病の治療

STEP1 スケーリング
STEP2 ルートプレーニング
STEP3 フラップ手術
STEP4 咬合調整と暫間固定