歯科治療では、技工物を歯に装着する際や、歯にあけた穴にふたをする際など、さまざまな用途で医療用のセメントが使用されます。
STEP5では、セメントの種類や使用目的について説明します。
*この記事は2023年7月21日に更新しました
第5章 歯科技工とよく使用する材料
STEP1 技工物
STEP2 印象採得とバイト
STEP3 歯の模型
STEP4 石膏
STEP5 セメント
STEP6 レジン
1.セメントの種類
セメントには、粉末と液を混ぜると固まる「粉末・液タイプ」や、二種類のペーストを混ぜると固まる「ペーストタイプ」、水にふれると固まる「水硬性(すいこうせい)タイプ」などがあります。
たとえば、粉末・液タイプには、カルボキシレートセメントやグラスアイオノマーセメントなどがあり、ペーストタイプには、レジンセメントなどがあります。
各歯科材料メーカーがさまざまな名称でセメントを販売しており、歯科医院ごとに使用しているセメントが異なります。
2.セメントの使用目的
合着用セメント
合着とは、嵌合力(かんごうりょく)という力を利用して、技工物を歯にしっかりつけることを指します。そのためのセメントを合着用セメント(ごうちゃくようセメント)といいます。
接着用セメント
接着とは、嵌合力(かんごうりょく)によって物理的に咬み合っているというだけでなく、歯と技工物が化学的にもしっかりとくっついていることを指します。そのためのセメントを接着性セメント(せっちゃくせいセメント)といいます。
仮着用セメント
仮着とは、接着力の弱いセメントで、仮歯などを取りはずしできるように軽く接着することを指します。そのためのセメントを仮着用セメント(かちゃくようセメント)といいます。
築造用セメント
C2程度のう蝕で、削った範囲をすべて金属で覆うには大きすぎる場合、CRやセメントで窩洞(かどう)を埋めてから、インレーの形に削ることがあります。
そのことを、裏層(りそう)、あるいは築造(ちくぞう)といい、そのために使用されるセメントのことを築造用セメント(ちくぞうようセメント)といいます。
裏装や築造には、合着用セメントと同じものを使用することもあります。
1日目
2日目
仮封用セメント
歯の神経の治療を何回かに分けて行う場合、次の治療日まで歯の中に唾液などが入らないように、ふたをすることがあります。そのために使用されるセメントを仮封用セメント(かふうようセメント)といいます。
3.セメントの練り方
セメントの練り方には、練和(れんわ)と混和(こんわ)があります。練和とは強く練りこむこと、混和とはただ混ぜることをいいます。
粉・液セメントの練和
ペーストセメントの練和
歯科治療で用いるセメントにおいては、練和して使用することが多々あります。
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第5章 歯科技工とよく使用する材料
STEP1 技工物
STEP2 印象採得とバイト
STEP3 歯の模型
STEP4 石膏
STEP5 セメント
STEP6 レジン