それぞれの歯について、以下の情報を書いたものを歯式(ししき)といいます。
- 過去にどのような治療がされているか
- 現在、どの程度のう蝕にかかっているか
*この記事は2023年4月19日に更新しました
歯式について理解するには、まずう蝕について理解する必要があります。
1.う蝕の分類
人は食事をとると口の中が酸性になり、歯の表面のエナメル質が溶け出します。溶け出したエナメル質は、唾液の力によって元に戻ります。この現象を再石灰化(さいせっかいか)といいます。
このバランスが崩れ、溶け出したエナメル質の量が、再石灰化するエナメル質の量より多い状態が続くと、う蝕になります。
また、う蝕はCO、C1〜C4に分類され、それぞれに必要な治療が異なります。
健全(けんぜん)
う蝕がない健康な状態。この状態の歯を、健全歯(けんぜんし)といいます。
CO(シーオー)
う蝕になる可能性があり、経過観察が必要な状態。歯の表面が白濁(はくだく)しており、う蝕になる一歩手前の状態です。
C1(シーワン)
う蝕がエナメル質まで進んでいる状態。C1の場合は、それ以上う蝕が進まないこともあります。
C2(シーツー)
う蝕が象牙質まで進んでいる状態。患者さんが痛みを訴えはじめますが、痛みを感じない場合もあります。う蝕部分を削り、できた穴を埋める治療が必要となります。
C3(シースリー)
う蝕が歯の神経(歯髄)まで進んでいる状態。患者さんは強い痛みを訴えることが多くなります。歯の神経を抜く治療が必要となり、C3では、pul(プル)とper(ペル)のふたつに分けられます。
C3:pul
歯の神経がう蝕で汚染されている状態をpul(プル)といいます。歯の神経はまだ生きており、C3 pulまでの神経が生きている歯を、生活歯(せいかつし)といいます。
C3:per
歯髄がう蝕病原菌の感染によって死んでしまい、細菌が歯根の先から歯槽骨にまで到達し、病気をつくることがあります。その状態をper(ペル)といいます。
perの場合、歯髄は死んでいることが多く、そういった歯を失活歯(しっかつし)といいます。
C4(シーフォー)
歯が原型をとどめないまでに破壊されている状態。歯を抜く治療(抜歯)が必要になることがほとんどです。
2.その他のう蝕の表現
続いて、CO〜C4というう蝕状態の分類以外で、よく耳にする表現について説明します。
根面う蝕(こんめんうしょく)
歯肉が下がってしまった歯において、露出した歯根がう蝕になることがあります。このようなう蝕を、根面う蝕といいます。
二次カリエス
昔治療した修復物(つめ物)や、補綴物(かぶせ物)の端や下から、再びう蝕になることがあります。このようなう蝕を二次カリエス、または二次う蝕といいます。
3.アシスタントとの関わり
歯科医院では、初診や再初診の患者さんにおいて、それぞれの歯の情報を得ることを、「歯式をとる」「カリエスチェックをする」などといいます。
アシストをする場合は、術者の言葉通りに、カルテの1号用紙の所定の場所に各歯の状態を記入していきます。なお、アシスタントが歯式を記入した場合は、歯科医師の確認サインが必要となります。
4.カリエスチェックの基本的な記載方式
- 左上5番は、MOD(近心、咬合面、遠心にまたがる)インレー
- 欠損している部位には×
- C2〜C4など、各歯の状態を丁寧に記載
次回は「歯周病と歯周組織検査(ししゅうそしきけんさ)」について解説します。
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第3章 患者さんの情報
STEP1 診療とカルテ
STEP2 紹介と対診
STEP3 治療に必要な情報
STEP4 口腔内写真5枚法の撮影
STEP5 う蝕と歯式
STEP6 歯周病と歯周組織検査
STEP7 X線写真(デンタルの撮影)
STEP8 X線写真(パノラマとCT)と口腔内模型