歯を支える構造には、たくさんの種類があり、歯の面にもそれぞれ名称があります。
第2章では、それぞれの名称や役割について紹介します。
第2章 歯について
STEP1 歯の構造と面
STEP2 口の構造と歯並び
STEP3 歯の生え変わり
*この記事は2023年5月29日に更新しました
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歯を支える構造
歯は、以下4つの構造に支えられて成り立っています。
- 歯肉(しにく)
- 歯髄(しずい)
- 歯根膜(しこんまく)
- 歯槽骨(しそうこつ)
歯は、クッションのような役割を持つ歯根膜を挟んで、歯槽骨に支えられており、歯槽骨は歯肉に覆われています。
また、歯の中には空間があり、歯髄とよばれる歯の神経がつまっています。私たちは歯髄を通して、「しみる」「痛い」などの感覚を得ることができます。
白い歯の部分を歯冠(しかん)といい、直接は見えない部分のことを、歯根(しこん)といいます。
歯根の本数は歯の種類によって異なり、同じ種類の歯であっても、個人差があります。
歯の名称
歯と歯肉(歯ぐき)のさかい目を、歯肉溝(しにくこう)といいます。歯肉が炎症を起こし、歯周炎を発症すると「歯周ポケット」とよばれます。
歯の表面は、人間の体の中でももっとも硬い組織であるエナメル質で覆われています。エナメル質の内部には、黄色味をおびた象牙質(ぞうげしつ)があります。また、歯根部の象牙質は、セメント質に覆われています。
歯根の中は、管状になっており、これを根管(こんかん)といいます。そして、その先端を根尖孔(こんせんこう)といいます。
天然歯と人工歯
左のような生まれもったままの自分の歯を、天然歯(てんねんし)といい、右のような銀歯やセラミックスなどで作られたものを、人工歯(じんこうし)といいます。
歯の面について
歯の面の数は、前歯部(ぜんしぶ)と臼歯部(きゅうしぶ)で異なります。
① 前歯部(ぜんしぶ)
前歯部には、4つの面があります。
② 臼歯部(きゅうしぶ)
臼歯部には、5つの面があります。
隣の歯と触れ合っていない面
それぞれの面の名称について、まずは隣の歯と触れ合っていない面から説明します。
- 右3番から左3番までのくちびる側を、唇側(しんそく)といい、「L」と書きます。
- 4番から8番までのほっぺた側を、頬側(きょうそく)といい、「B」と書きます。
- 小臼歯から大臼歯までのかみ合う面を、咬合面(こうごうめん)といい、「O」と書きます。
- 上顎の内側を、口蓋側(こうがいそく)といい、「P」と書きます。
- 下顎の舌の側を、舌側(ぜっそく)といい、「L」と書きます。※ 下顎唇側と舌側は両方「L」と書きますが、唇側はLabial(ラビアル)、舌側はLingual(リンガル)という、別の単語の頭文字をとっています。
歯の面 | 英語表記 | アルファベット表記 |
---|---|---|
唇側(しんそく) | Labial | L |
頬側(きょうそく) | Buccal | B |
咬合面(こうごうめん) | Occlusal | O |
口蓋側(こうがいそく) | Paratal | P |
舌側(ぜっそく) | Lingual | L |
隣の歯とふれ合っている面
① 近心・遠心
- 歯列の中心に近づく方向のことを、近心(きんしん)といい、「M」と書きます。
- 歯列の中心から遠ざかる方向のことを、遠心(えんしん)といい、「D」と書きます。
歯の面 | 英語表記 | アルファベット表記 |
---|---|---|
近心(きんしん) | Mesial | M |
遠心(えんしん) | Distal | D |
たとえば上顎左側6番の場合は、次のように表します。
② 隣接面
隣の歯と接している近心面・遠心面を、隣接面(りんせつめん)といいます。
③ 切端
前歯部の先端は面ではなく、切端(せったん)、あるいは切縁(せつえん)といいます。
***
歯の構造や名称をきちんと覚えておけば、患者さんから聞いたことを他のスタッフに報告するときや、カルテを見たときなどにスムーズに状況が伝わりますよね。
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第2章 歯について
STEP1 歯の構造と面
STEP2 口の構造と歯並び
STEP3 歯の生え変わり