知っていますか?口腔機能発達不全! vol.3 〜離乳食の正しい進め方とは?〜

歯科衛生士のみなさんは、小児患者さんの臨床にどれくらい関わっていますか?

矯正歯科や小児歯科に勤めている方は、毎日のように関わる機会がありますよね。

一方で、歯周治療やインプラントに特化した歯科医院などで働いていると、小児患者さんと関わる機会はあまり多くないかもしれません。しかし、これから出産を控えている方が来院することや、メインテナンスに通っている方が、それぞれのライフステージの中で、結婚や出産を経験することは少なくないでしょう。

直接関わる機会は少なくても、保護者の方を介して、小児の正しい口腔機能を育成するサポートはできるはずです!

これまでの記事はこちら

vol.1 口腔機能発達不全はなぜ起こる?
vol.2 哺乳期に気をつけることとは?

今回は、離乳食の正しい進め方についてお伝えします♪

知っていますか?口腔機能発達不全!

離乳食はステージに合わせて与える

前回の記事で、乳歯の萌出時期は、切歯部において約1歳、臼歯部においては約2歳もの個体差があるとお伝えしました。
(前回はこちら:知っていますか?口腔機能発達不全! vol.2 〜哺乳期に気をつけることとは?〜

そのため、離乳食は月齢ではなく、乳児一人ひとりの成長に合わせて与えることが望ましいといわれています。

日本小児歯科学会の専門医指導医である外木徳子先生によると、離乳食期は、以下の5つの時期に分けられるといいます。

  1. 口唇食べ期
  2. 舌食べ期
  3. 歯ぐき食べ期
  4. 手づかみ食べ期
  5. 歯食べ期

今回は、それぞれの時期の特徴と適切な離乳食について解説します。

① 口唇食べ期(離乳食前期)

口唇食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)
口唇食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)

歯の萌出が近づき、歯肉がかたくなってくる時期で、一般的には生後5〜6ヶ月ごろにあたります。歯はまだ萌出しておらず、舌もまだ哺乳時の動きである前後運動がメインです。

はじめは哺乳反射が残っているため、離乳食を食べさせてもすぐに舌で押し返されてしまいます。しかし、この反射が消え、意思行動がでてくる6ヶ月ごろから離乳食をはじめると、スムーズに進められるようです。そのため、最近ではこの生後6ヶ月の時期を離乳食開始の時期とする考えが主流になってきています。

あくまでも個人差があるので、「体幹がしっかりしてお座りができる」「食べ物に興味を持ちだす」「いろいろな感触に慣れてきた」などの兆候が見られたら開始時期ととらえて良いでしょう。

そのためにも、おもちゃなめや指しゃぶりはとても大切な体験になるので、どんどんさせるよう指導してください。

離乳食は、乳汁に近い状態のものからはじめて、次第にポタージュ状にすりつぶしたものに変えます。頻度の目安は、1日1回です。

この時期は口唇閉鎖の練習を行う時期で、はじめは口唇をうまく閉じることができません。そのため、ほとんど離乳食を流し込むような状態になります。しかし、だんだん慣れてくると、舌の上にスプーンがのった刺激で口唇を閉じるようになります。そして、スプーンを水平にゆっくり抜くと、うまく離乳食を食べさせることができます。

② 舌食べ期(離乳食中期)

舌食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)
舌食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)

下顎前歯のAが2本萌出する時期で、一般的には生後7〜8ヶ月ごろにあたります。下顎前歯の萌出によって、舌が前にでることを防げるため、舌は前後運動に加え、上下運動もできるようになります。

この時期は、舌を口蓋に押しつけながら食べることによって、上顎の成長や鼻呼吸を促すことができます。上唇の動きもしっかりするため、口唇で食べ物をとらえられるようになります。

離乳食は指でつぶせるくらいのやわらかさのものにし、1日2回を目安に与えます。

③ 歯ぐき食べ期(離乳食後期)

歯ぐき食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)
歯ぐき食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)

上下顎前歯ABが4本ずつ萌出する時期で、一般的には生後9〜11ヶ月ごろにあたります。上顎の面積が広がり、臼歯部の歯肉はふくらんできます。舌や口唇の動きが発達し、舌は左右にも動かせるようになります。

この時期の乳児は、前歯に食べ物があたることで、歯根膜が食べ物のかたさや量を感知し、脳にその情報を伝達します。そのため、食材を前歯でかじりとれる程度の大きさにし、一口量を学習させることが重要です。食材を小さくしすぎると、かえって食べにくくなってしまうので注意しましょう。

離乳食は熟れたバナナ程度のやわらかさのものにし、1日3回を目安に与えます。

乳児の水分摂取の際によく使われるストローやベビーマグは、コップ飲みがうまくできるようになってから使用するのが望ましいといわれています。

④ 手づかみ食べ期

手づかみ食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)
手づかみ食べ期の状態(外木徳子先生よりご提供)

上下顎第一乳臼歯Dが1本ずつ萌出する時期で、一般的には生後12〜24ヶ月ごろにあたります。歯肉でつぶせなかったものが食べられるようになり、咀嚼を練習する時期に入ります。

「手づかみ食べ」や「遊び食べ」が活発になり、すぐに周りが汚れてしまいますが、自分から食べようとする意欲は、自立行動において重要な一歩です。テーブル全体をひとつのお皿と考え、食べる意欲を十分に育てましょう。

手づかみで十分に食べることが、のちのスプーンやお箸を使った食事の上達に役立ちます

食事の際はイスに座らせ、足の裏が床やイスの補助板にぴったりとつくような姿勢をとらせることが重要です!これは、舌を口蓋に押し付けるときに力を入れやすくする効果があります。

離乳食はおでんの大根やじゃがいも程度のやわらかさのものにし、間食を含め、1日4回を目安に与えましょう。

⑤ 歯食べ期(離乳完了期)

すべての乳歯が生えそろう時期で、一般的には2〜3歳ごろにあたります。この時期に食べるものは離乳食ではなく、「幼児食」とよびます。

第二乳臼歯が咬み合わさるまでを「幼児食前期」、すべての歯が咬み合う時期以降を「幼児食後期」といい、後期には成人とほぼ同じものが食べられるようになります。

幼児食前期の状態(外木徳子先生よりご提供)
幼児食前期の状態(外木徳子先生よりご提供)
幼児食後期の状態(外木徳子先生よりご提供)
幼児食後期の状態(外木徳子先生よりご提供)

食材を少し大きめに切ったり、歯ごたえを残して煮たり、炒めたりしたものを与えることで、咀嚼機能が育ちます。その際は、口を閉じて臼歯で噛むことを意識させることが重要です。

また、食事を流し込むクセを防ぐために、お茶や水は食後に与えるようにしましょう。

この時期は、スプーンやフォークなどを使えるようになれば、自分で食材を切れるくらいのかたさの食事を、間食を含め、1日4回与えることが望ましいといわれています。

離乳食の正しい進め方

離乳食期の正しい食べ方をまとめると、以下のことがいえます。

  • 前歯でかじりとり、一口量を学習させる
  • 足を床につけて、背中をまっすぐのばし、正しい姿勢で食べさせる
  • 手づかみ食べを十分に行わせ、食べる意欲を育てる
  • 口を閉じて、臼歯でよく噛ませる
  • 口腔内に食べ物がなくなってから水分を飲ませる

今回、離乳食期の目安として月齢を記載しましたが、あくまでも歯の萌出状況を重視して、ステップを進めるようにしましょう。

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いかがでしたか?

昨今、妊娠中の歯科検診が積極的に推奨されるようになり、安定期に入ると歯科医院を受診する妊婦の方も増えています。

妊娠中は、ホルモンバランスの変化により歯周病を発症しやすくなってしまうため、中には通院が何度も必要になる方もいらっしゃいます。

ご自身の口腔内の環境を整えることはもちろん必須ですが、妊娠中から今後産まれてくるお子さんのためにできることを考えておくことも大切です。

妊娠中の患者さんや、お孫さんが産まれる予定の患者さんには、正しい情報を提供できるよう、日々知識をアップデートしていきましょう♪

次回は、歯列不正をまねく悪習癖や、簡単に取り組めるMFTについてお伝えします!

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監修・資料提供:医療法人社団守徳会 とのぎ小児歯科 理事長兼院長 外木徳子先生

知っていますか?口腔機能発達不全!

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