歯周病に関する分類をおさらいしよう!No.3 〜シーバー(Seibert)の分類〜

歯科衛生士のみなさんは、患者さんの口腔内診査を行うとき、どのようなことに注意して観察していますか?

口腔内にはたくさんの情報があふれており、プラークの付着状況や歯肉からの出血、根面の粗糙感、咬合の状態など、他にもさまざまなことに気をつけながら診査する必要があります。

この連載では、そんな中でも歯科衛生士の方にはかならず覚えておいてほしい、歯周病に関する分類についてお伝えします♪

これまでの記事はこちら

No.1 メイナード(Maynard)の分類
No.2 ミラー(Miller)の分類

今回解説するのは、「シーバー(Seibert)の分類」です。

シーバーの分類とは?

欠損部顎堤の吸収度合いを、水平的、垂直的に分類したものを指します。

シーバーの分類

Class1〜Class3の3つに分類され、これは欠損部顎堤に対して骨造成などを行う場合の指標になります。骨造成を行う難易度としては、Class1がもっとも低く、Class3がもっとも高いとされています。

Class1:垂直的な高さは維持しているが、頬舌的な歯槽堤の幅が喪失している。

Class2:頬舌的な歯槽堤の幅は維持しているが、垂直的な高さが喪失している。

Class3:頬舌的な歯槽堤の幅、垂直的な高さともに喪失している。

この分類は、欠損部顎堤の形態を示すものであり、欠損部の骨の状態を示すものではありません

顎堤の形態を増大するには、軟組織と硬組織のどちらか、またはどちらの組織とも必要な場合があります。必要な組織によって術式がまったく異なるため、主治医の診断にしたがいましょう。

骨造成にはどんな材料を使用する?

欠損部顎堤の増大のためだけでなく、インプラント周囲に骨が足りない場合や、歯周炎によって骨が破壊された場合にも、骨造成を行うことがあります。

その際に使用される骨移植材料は、「骨伝導能」と「骨誘導能」のふたつの特性を理解をした上で選ぶ必要があります。

ここでは、まず骨伝導能と骨誘導能について解説します。

骨伝導能

骨移植材料を生体内の骨内に埋入したとき、材料表面に沿って骨が形成され、材料と骨が結合する機能

骨誘導能

骨移植材料を生体内の骨がない部位に埋入したときでも、材料表面に沿って骨が形成される機能

骨伝導能と骨誘導能

次に、骨造成を行う際に使用する、代表的な骨移植材料について紹介します。骨移植材料には大きくわけて、以下の4つの種類があります。

① 自家骨

骨伝導能:○
骨誘導能:◎

患者さん自身の骨のことを指します。自家骨は、骨隆起や臼後パッド、オトガイ部から採取されます。

② 他家骨

骨伝導能:○
骨誘導能:○

ヒト由来の生体材料で、DFDBA(脱灰凍結乾燥骨)とFDBA(非脱灰凍結乾燥骨)の2種類があります。自家骨との併用で良好な結果が得られるといわれています。

③ 異種骨

骨伝導能:○
骨誘導能:×

ウシやウマ由来の生体材料で、もっとも代表的な商品はBio-Oss®️(バイオオス)です。使用する際は、コラーゲンメンブレンとの併用が推奨されています。

④ 人工骨

骨伝導能:○
骨誘導能:×

β-TCPやハイドロキシアパタイトといった成分を用いて、人工的に作られた骨材料のことを指します。

***

いかがでしたか?

勤務先の歯科医院で使用している骨移植材料は、どういった特性を持つものか、一度確認してみましょう!

次回は、根分岐部病変の分類についてお伝えします!

参考文献:瀧野裕行・岩田光弘・小野晴彦・大川敏生・金子潤平・平山富興(2018)『驚くほど臨床が変わる!こだわりペリオサブノート』クインテッセンス出版株式会社
国立研究開発法人 科学技術振興機構

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