知っていますか?口腔機能発達不全! vol.1 〜口腔機能発達不全はなぜ起こる?〜

歯科衛生士のみなさんは、小児患者さんの臨床にどれくらい関わっていますか?

矯正歯科や小児歯科に勤めている方は、毎日のように関わる機会がありますよね。

一方で、歯周治療やインプラントに特化した歯科医院などで働いていると、小児患者さんと関わる機会はあまり多くないかもしれません。しかし、これから出産を控えている方が来院することや、メインテナンスに通っている方が、それぞれのライフステージの中で、結婚や出産を経験することは少なくないでしょう。

直接関わる機会は少なくても、保護者の方を介して、小児の正しい口腔機能を育成するサポートはできるはずです!

この連載では、どんな歯科衛生士の方にも知っておいてもらいたい、口腔機能発達不全についてお伝えします♪

知っていますか?口腔機能発達不全!

口腔機能発達不全症って?

まずは、最近よく耳にする「口腔機能発達不全症」について、解説していきたいと思います。

平成30年の診療報酬改定により、小児における口腔機能発達不全の診断や治療が保険診療で行えるようになりました。

まず、日本歯科医学会が定めた「口腔機能発達チェックリスト」に記載されている項目をご覧ください。
(引用:日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」

引用:日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」
引用:日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」

チェックリストの中でも大きな割合を示しているのが、「食べる」機能。

こちらの項目には、それぞれ以下のような問題点があると考えられています。

  • 歯の萌出に遅れがある→萌出時期・萌出順序
  • 機能的因子による歯列・咬合の異常がある→不正咬合
  • 強く咬みしめられない→咀嚼筋の発達不良・前がみの癖
  • 咀嚼時間が長すぎる、短すぎる→舌機能の不全・丸呑みの癖
  • 偏咀嚼がある→咀嚼筋の発達不良・舌機能の不全
  • 舌の突出がみられる→成人嚥下の獲得不良
  • 哺乳量・食べる量、回数が多すぎたり少なすぎたりムラがある→生活リズム

よって、以下の条件がそろう15歳未満の小児患者さんに対しては、歯科医院で適切なトレーニングや指導を行うことで「小児口腔機能管理料(+100点)」という点数が歯科疾患管理料に加算できます。

チェックリストの項目のうち、

  1. C1~C6の項目で1個以上に該当(必須)
    かつ
  2. C1~C12までの項目で2個以上該当

算定には、患者さんの口腔管理計画を立案し、文書提供を行った上で、顔貌または口腔内のカラー写真を撮影する必要があります。写真撮影は、「小児口腔機能管理料」の初回算定日と、その後の算定3回にあたり1回以上行います。

※ 実際の請求においては行政や保険医協会の情報を確認した上で、勤務先の歯科医療機関の方針にしたがってください。

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口腔機能発達不全が起こる原因

それでは、なぜ小児の口腔機能発達不全が起こるのでしょうか?

口腔機能の発達が遅れる原因のひとつに、「感覚入力の不足」が挙げられます。

ヒトが感じる皮膚感覚の中でも「触覚」「圧覚」というのは、口腔機能に大きく関わります。そのため、この触覚と圧覚による感覚を十分に与えられなければ、口の感覚が敏感なままで、いつまでも随意運動が獲得できなくなるといいます。その結果、咀嚼や嚥下機能を獲得できなくなってしまうそうです。

触覚や圧覚を与えるというのは、子どもの身体を触りながら見つめ合ったり、優しくハグしてあげたりすることを指します。

反対に、授乳中にスマートフォンを見ていたり、子どもが泣いているときにスマートフォンやタブレットなどを見せてなだめたりしていると、この「感覚入力の不足」が起きてしまうのです。

また、千葉県の医療法人社団守徳会 とのぎ小児歯科の理事長兼院長を務める、外木徳子先生の調査によると、口腔機能発達不全症は0〜2歳児の患者さんにおいて多い割合でみられたとのこと。

資料提供:外木徳子先生「2019年8月における口腔発達不全指導対象人数のデータ」
資料提供:外木徳子先生「2019年8月における口腔発達不全指導対象人数のデータ」

中でも、3〜5歳児にはおもに食べ方や発音の問題、6歳児以上では咬合や歯列不正の問題がみられたといいます。

一方で、0〜2歳児においてはおもに離乳食の問題が多く、口腔機能の発達に合わせた食事が正しく行われていないケースが多いそうです。そのため、離乳食期はもちろんのことですが、正しい口腔機能を育成するには哺乳期の時点から注意しなければならないことがたくさんあります。

次回は、そんな哺乳期の注意点と、離乳食をはじめる適切な時期についてお伝えします♪

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監修・資料提供:医療法人社団守徳会 とのぎ小児歯科 理事長兼院長 外木徳子先生