ホワイトニングの基礎知識 vol.1 ホワイトニングとは

歯を白くしたい!芸能人みたいにきれいな歯にしたい!

患者さんのこんな要望を叶えるために行われるホワイトニング。

年々、ホワイトニングを行う歯科医院が増えている中、ホワイトニングエキスパートやホワイトニングコーディネーターといった、それに特化した資格を取得する歯科衛生士さんも増えてきているのではないでしょうか?
(参考:ホワイトニングコーディネーターになるには?

この連載では、これからホワイトニングをやりたいと考えている歯科衛生士さんに知っておいてほしい、ホワイトニングの知識についてお伝えしていきます。

ホワイトニングの基礎知識

ホワイトニングの定義

ホワイトニングは、広い意味でいうと、「歯を白くする処置の総称」です。この中には、ブラッシングやPMTC、補綴治療なども含まれます。

しかし、歯科でよく用いられる「ホワイトニング」という言葉は、歯をまったく切削することなく、過酸化物を用いて化学的に歯を白くする方法を指します。

ホワイトニングのメカニズムとは?

そもそもなぜホワイトニングを行うと歯が白くなるのでしょうか?

ホワイトニングには、過酸化水素、過酸化尿素といった過酸化物が含まれた薬剤を使用します。

この過酸化物の分子は、口腔内に存在するカタラーゼという酵素によって分解され、電子が離れた不安定な状態(フリーラジカル)になります。

ホワイトニングのメカニズムその1

そして、このフリーラジカルとなった過酸化物が象牙質内にある着色物質を分解し、無色の物質になることにより、歯が白くなります。

ホワイトニングのメカニズムその2

そのため、過酸化水素を分解できない無カタラーゼ症の患者さんに、ホワイトニングは禁忌です。
他にも、母子への影響を懸念し、妊娠中や授乳中の女性には禁忌とされています。

ホワイトニングの種類

ホワイトニングには、主に以下の4つの方法があります。

オフィスホワイトニング

歯科医院で行う方法。3.5〜35.0%の過酸化水素水を主成分とする薬剤を使用し、光照射を併用します。短時間でホワイトニング効果が得られます。

ホームホワイトニング

自宅で患者さんが行う方法。専用のカスタムトレーに10.0%の過酸化尿素を含んだ薬剤を入れて、一定期間装着してもらいます。

デュアルホワイトニング

「オフィスホワイトニング」「ホームホワイトニング」を併用して行う方法。短期間で高い効果が得られます。

ウォーキングブリーチ法

無髄歯を漂白する方法。30.0〜35.0%の過酸化水素水と過ホウ酸ナトリウムを混合したペーストを髄腔内に封入します。

ホワイトニング後に起こる問題

象牙質知覚過敏症(Hys)

ホワイトニング剤の成分である過酸化物が象牙細管に浸透し、歯髄を刺激することによって起こります。

症状が出た場合は、すぐにホワイトニングを中断し、象牙質知覚過敏処置(Hys処)を行い、様子をみます。

ホワイトニング中は知覚過敏が出やすいため、歯髄への影響が心配されます。
しかし、今までにホワイトニングによって歯髄壊死や炎症が引き起こされたという報告はなく、可逆性のものといわれています。

歯肉の白色化

過酸化水素が歯肉へ付着すると、表面がただれたようになり、白くなります。

高濃度の過酸化水素だと、強い痛みをともなうので、ただちに大量の水で洗い流します

時間の経過とともに痛みや白色化は消失しますが、オフィスホワイトニングでは特に注意が必要です。

後戻り

ホワイトニング直後は、エナメル質表面のペリクルが除去されるため、色素沈着が起こりやすい状態になります。

そのため、オフィスホワイトニングであれば施術後24時間以内、ホームホワイトニングの場合、実施期間中は、着色しやすい飲食物の摂取は控えるようにします。

患者さんには1〜3ヶ月に1回程度のPMTCを促し、タッチアップ(再度ホワイトニングを行うこと)も必要になってくる可能性を説明しておきましょう。

反対に、この状態でフッ化物を作用させると、歯面に取り込みやすくなります
併せてフッ化物を塗布してあげたり、歯磨剤をおすすめしたりすることで、う蝕予防もできる機会となるでしょう。

フッ化物で歯質強化を!

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自費治療であるホワイトニングを受ける患者さんは、口腔の健康に対する意識が高い方が比較的多いように思います。

そんな患者さんだからこそ、「かならず白くなりたい」という気持ちだけでなく、「歯を白くするにはどうすればいいのか」、「自分の歯は白くなるのか」といった、さまざまな疑問をお持ちです。

歯科衛生士として、患者さんのあらゆる疑問に答えられるよう、ホワイトニングの基本となる知識を身につけておきましょう。

次回は「オフィスホワイトニング」について詳しく解説します♪

参考資料:東光照夫・古川匡恵(2011)『ホワイトニングに強くなる本』久光久監修,クインテッセンス出版株式会社
『ホワイトニングコーディネーター講習会テキスト(第9版)』日本歯科審美学会