診療報酬点数について学ぼう! #2 初診料・再診料とは?

歯科医院の売り上げや業績に直結する、診療報酬点数。

毎年少しずつ内容や点数が改定され、二年に一度、大幅な改定が行われます。

算定項目によっては、算定条件や算定できる期間が細かく決まっているため、完璧に内容を覚えることがむずかしい項目も。

この連載では、算定する機会が多い項目や、複雑な条件が必要な項目について詳しく解説していきますよ♪

今回は、すべての患者さんに算定する「初診料」と「再診料」について紐解いていきます。

前回はこちら

#1 診療報酬点数とは?

初診料・再診料

初診料は261点?240点?

初診の患者さんや、最後の来院から期間があいた患者さんにかならず算定する「初診料」。

初診料は、院内感染防止対策について厚生労働大臣が定める施設基準をクリアした歯科医院は261点、そうでない歯科医院については240点を算定することが可能です。

院内感染防止対策についての施設基準は以下の通りです。

  1. 口腔内で使用する歯科医療機器等について、患者ごとの交換や、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する等十分な院内感染防止対策を講じていること
  2. 感染症患者に対する歯科診療に対応する体制を確保していること
  3. 歯科外来診療の院内感染防止対策に係る研修を4年に1回以上、定期的に受講している常勤の歯科医師が1名以上配置されていること
  4. 職員を対象とした院内感染防止対策にかかる標準予防策等の院内研修等を実施していること
  5. 当該保険医療機関の見やすい場所に、院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示を行っていること
  6. 年に1回、院内感染対策の実施状況等について、地方厚生(支)局長に報告していること

他にも、看護師が2名以上在籍する病院が算定可能な、「地域歯科診療支援病院歯科初診料」という点数もあります。

また、患者さんの都合で治療が中断され、1ヶ月以上経過した場合は、同じ病名や症状であっても「初診」として取り扱うことになります。この場合の「1ヶ月」は、1月10日~2月9日のように計算します。

ただし、歯科疾患管理料や歯科疾患在宅療養管理料を算定している場合は、治療終了後から2ヶ月以内は再診として取り扱い、2ヶ月を超えた場合に初診として取り扱うこととなります。

初診料に加算できる点数は豊富!

初診料には、さまざまな条件を満たすことで加算できる点数がたくさんあります。

  1. 乳幼児加算 40点
  2. 歯科診療特別対応加算 175点
  3. 初診時歯科診療導入加算 250点
  4. 時間外加算 85点
  5. 休日加算 250点
  6. 深夜加算 480点
  7. 歯科外来診療環境体制加算 23点または25点
  8. 歯科診療特別対応連携加算 100点
  9. 歯科診療特別対応地域支援加算 100点

① の乳幼児は、6歳未満の患者さんのことを指します。

② は、著しく歯科診療が困難な患者さんに算定することが可能な加算です。「著しく歯科診療が困難」とは、以下のいずれかに該当する方とされています。

  • 脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く、体幹の安定が得られない状態
  • 知的発達障害等により、開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず、治療に協力が得られない状態
  • 重症の喘息患者等で頻繁に治療の中断が必要な状態
  • 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、歯科診療に際して家族等の援助を必要とする状態

③ については、おもに小児の患者さんに算定することが多い加算です。

治療開始時に、患者さんが治療環境に適応するための方法として、Tell-Show-Do法やオペラント法、モデリング法、TEACCH法、遊戯療法、ボイスコントロール法等などの専門的技法を行った場合に算定します。

初診時歯科診療導入加算

また、乳幼児の患者さんに ④ 〜 ⑥ を算定する場合は、それぞれ125点、290点、620点を算定することができます。ただし、これらを乳幼児加算と併せて算定することはできないため、注意が必要です。

⑥ については、午後10時〜午前6時の間に診療を行った場合に算定することができます。

夜間の救急医療を専門に行っている歯科医院では、6歳未満の患者さんに270点、それ以外は230点の加算を行います。

⑧ ⑨ については、初診時だけでなく再診時にも算定することが可能な加算で、月1回の算定が認められています。

再診料算定の条件は初診料とほぼ同じ

再診料とは、2回目以降の来院時に算定する点数のことを指し、院内感染防止対策について厚生労働大臣が定める施設基準をクリアした歯科医院は53点、そうでない歯科医院については44点を算定することが可能です。

再診料にも、初診料と同じように加算できる点数がたくさんあります。

  1. 乳幼児加算 10点
  2. 歯科診療特別対応加算 175点
  3. 初診時歯科診療導入加算 250点
  4. 時間外加算 65点
  5. 休日加算 190点
  6. 深夜加算 480点
  7. 歯科外来診療環境体制加算 3点または5点
  8. 歯科診療特別対応連携加算 100点
  9. 歯科診療特別対応地域支援加算 100点
  10. 明細書発行体制等加算 1点

乳幼児の患者さんに ④ 〜 ⑥ を算定する場合は、それぞれ75点、200点、530点を算定することができます。

ただし、夜間の救急医療を専門に行っている歯科医院では、6歳未満の患者さんに190点、それ以外は180点の加算を行います。

ほとんどが初診料と同じ項目ですが、取り忘れがないように注意しましょう。

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いかがでしたか?

カルテやレセプトは、普段何気なく目に触れるものですが、その内容まで詳しく理解するには時間が必要です。

私たち歯科医療従事者が普段行っている治療について、“この処置は何点なんだろう?”という疑問をもつことや、“患者さんはこれだけの治療費をかけて通ってくれているんだ。”という実感を得ることは大切だと思います。

ぜひこの連載で、普段算定している診療報酬点数についてマスターしましょう♪

次回は、「歯科疾患管理料」についてです。お楽しみに!

参考文献:歯科診療報酬点数表-厚生労働省

診療報酬点数について学ぼう!

#1 診療報酬点数とは?
#2 初診料・再診料とは?