歯科医院の売り上げや業績に直結する、診療報酬点数。
毎年少しずつ内容や点数が改定され、二年に一度、大幅な改定が行われます。
現在、90%以上の歯科医院でレセプトコンピューター(以下、レセコン)が導入されており、レセコンを使ってカルテの入力業務を行っている歯科医院がほとんどといわれています。
(参照:令和3年3月診療分 社会レセプト請求形態別の請求状況-保険診療報酬支払基金)
そのため、歯科医院で働いていると、歯科医師だけでなく、歯科衛生士や歯科助手、受付など、あらゆる職種の方がこのレセコンの入力業務を任せられることがあります。
算定項目によっては、算定条件や算定できる期間が細かく決まっているため、完璧に内容を覚えることがむずかしい項目も。
この連載では、算定する機会が多い項目や、複雑な条件が必要な項目について詳しく解説していきますよ♪
今回は、そもそも診療報酬点数とは何かということから学んでいきましょう!
日本の診療報酬制度について
まずはじめに、診療報酬とは、保険医療機関および保険薬局が保険医療サービスに対する対価として保険者から受け取る報酬のことをいいます。
診療報酬は、「医科」「歯科」「調剤報酬」の3つに分類され、具体的な診療報酬は、実施した医療行為ごとに、それぞれの項目に対応した点数が加えられます。
この点数のことを診療報酬点数とよび、1点の単価を10円として計算します。
診療報酬については、中央社会保険医療協議会(中医協)の議論をふまえ、厚生労働大臣が決定します。
診療録(カルテ)についての決まりごと
診療報酬に大きく関わる「診療録」は、一般的に「カルテ」とよび、カルテの様式第一・二号のことは、「一号用紙」「二号用紙」とよびます。
カルテは「診療報酬請求の根拠」といわれており、診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うことが求められます。
また、歯科医師法によって5年間の保存義務が定められています。
歯科医院で使用する一号用紙には、以下の情報を記載する必要があります。
- 患者の個人情報
- 被保険者証情報
- 部位
- 傷病名
- 治療開始年月日
- 治療終了年月日
- 転帰(症状の経過や結果)
- 口腔内所見
- 主訴
また、二号用紙には、以下の情報を記載します。
- 治療日
- 部位
- 療法・処置
- 診療報酬点数
- 負担金徴収額
上記の他に、保険医の署名または記名押印が必要です。
診療報酬明細書(レセプト)とは?
診療報酬明細書とは、患者さんが受けた診療について、医療機関が保険者に請求する医療費の明細書のことを指し、一般的に「レセプト」とよびます。
各医療機関は月に一回、一人の患者さんにつき一枚のレセプトを作成します。
レセプトには、その月に行った治療内容の診療報酬点数をすべて記載します。その後、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会といった「審査支払機関」に提出します。
各医療機関はレセプトを正しく提出することによって、診療報酬を受け取ることができるため、レセプトもカルテと同じように非常に重要な役割を担っています。
歯科診療報酬点数の種類
歯科診療報酬点数には、大きく分けて「基本診療料」と「特掲診療料」の二つがあります。
基本診療料は第1・2部、特掲診療料は第1〜14部までの種類で構成されており、それぞれ以下のように分類されています。
基本診療料
- 第1部 初・再診料
- 第2部 入院料等
特掲診療料
- 第1部 医学管理等
- 第2部 在宅医療
- 第3部 検査
- 第4部 画像診断
- 第5部 投薬
- 第6部 注射
- 第7部 リハビリテーション
- 第8部 処置
- 第9部 手術
- 第10部 麻酔
- 第11部 放射線治療
- 第12部 歯冠修復および欠損補綴
- 第13部 歯科矯正
- 第14部 病理診断
上記の中から一般的な歯科医院で算定することが多い項目については、次回から詳しく解説していきます♪
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いかがでしたか?
カルテやレセプトは、普段何気なく目に触れるものですが、その内容まで詳しく理解するには時間が必要です。
私たち歯科医療従事者が普段行っている治療について、“この処置は何点なんだろう?”という疑問をもつことや、“患者さんはこれだけの治療費をかけて通ってくれているんだ。”という実感を得ることは大切だと思います。
ぜひこの連載で、普段算定している診療報酬点数についてマスターしましょう♪
次回は、どんな患者さんにも算定する「初診料」「再診料」についてです。お楽しみに!