PMTCの手順について【歯周治療ベーシックセミナー 第6回】

こんにちは。株式会社Tomorrow Link の濱田智恵子です。

歯科衛生士として臨床の現場に立つ傍で、歯科衛生士をはじめとしたスタッフ向けの人材育成をしています。

今回はPMTCについて解説します。

[目次]
1.術式の一例
2.清掃道具
3.研磨剤
4.フッ化物の塗布

1.術式の一例

  1. リスク診断:菌の種類、数、唾液緩衝能を測定する
  2. プラークの染め出し
  3. 歯面清掃・研磨:ブラシ、カップ、ポイント、エバチップ
  4. 歯周ポケットの清掃
  5. フッ化物の塗布

PMTCの目的として予防の概念がありますので、①のリスク診断は大事なコンテンツのひとつになります。

プラーク染色後の歯面清掃は、プラークで染め出された部分のみをブラシやカップ、エバチップなどを用いて清掃していきます。

この際、歯周ポケットに研磨剤などが残らないように注意しましょう。

2.清掃道具

① ブラシ

画像提供:株式会社ジーシー
画像提供:株式会社ジーシー

用途:カップでは取れないプラークや着色の除去
動かし方:ブラシの種類・目的による
回転数:ブラシの種類・目的による

② カップ

画像提供:株式会社ジーシー
画像提供:株式会社ジーシー

用途:平滑面や隅角部など様々な面に使用可能
挿入法:カップの辺縁を歯肉溝1mm程度入れる
動かし方:1面あたり、2〜5秒が目安(短い時間で適切に)
回転数:300〜2,000rpmの低速

③ ポイント

画像提供:株式会社ジーシー
画像提供:株式会社ジーシー

用途:細かい部位や歯間部に適している。
動かし方:1面あたり2〜5秒が目安
回転数:300〜2,000rpmの低速

④ エバチップ

画像提供:株式会社ジーシー
画像提供:株式会社ジーシー

用途:隣接
挿入法:歯間乳頭を押し下げて、歯肉が少し白くなる程度
動かし方:歯面に合わせて近心・遠心交互にあてる
回転数:9,000〜10,000rpmの高速が鉄則(エバチップは硬いので、低速回転で行うと振動が歯牙に伝わりやすいなどの理由)
禁忌症:歯列不正などの歯間スペースがない部分

3.研磨剤

研磨ペーストの役割はニコチンなどのステインの除去だけではなく、歯面を滑沢化させることや研磨時に生じる熱から歯牙を保護することがあげられます。

研磨剤の選び方は患者さんの年齢や喫煙の有無など、目的によって選択する必要がありますね。

う蝕や歯周病のメインテナンスにはフッ素が配合されているペーストが適していますが、ブリーチングの術前や修復物の接着前にはフッ素やオイルの含まれていないものを選びましょう。

4.フッ化物の塗布

PMTCの最後にはフッ化物を塗布して仕上げます。フッ化物を塗布する理由は主に5つです。

  1. 再石灰化の促進
  2. 歯質の強化
  3. う蝕の予防
  4. 知覚過敏の予防
  5. バイオフィルム産生の遅延

フッ化物にも様々な種類がありますので、クリニックで用意している材料をよく把握し、患者さんの年齢や目的に合わせて使い分けていきましょう。

歯周治療ベーシックセミナー

第1回 歯科衛生士とは
第2回 プロービング編  
第3回 超音波スケーラー編
第4回 ルートプレーニング編
第5回 PCR編
第6回 PMTC編
第7回 ミラーテクニック編