前回までは、歯科助手に必要なコミュニケーションについてを紹介しました。
第3回の今回は、より具体的な会話の内容に焦点を当てて解説していこうと思います。
前回の記事はこちら
第1回 受付のコミュニケーション
第2回 患者さんとのコミュニケーション
患者さんとどんなことを話したらいい?
患者さんとのコミュニケーションが大切なことはわかっていても、実際にどのような会話をすればいいのか迷ってしまいますよね。
1番意識したいのは、患者さんと自分が心地よい時間を過ごせること。
患者さんと一緒に楽しい時間を過ごすためには、会話の内容選びが大切です。
自分ばかりがいい気持ちで会話をしていると、ひとりよがりになってしまうので、その方に合った内容を見極めましょう。
コミュニケーションをとる中で患者さんの生活環境などを把握し、お口のことに絡めて会話ができると、効果的にケアの意識を高めていけますよ。
患者さん別!実践しやすい会話内容を紹介!
ここからは、患者さん別に話しやすい内容を紹介します。
具体例を混じえながら解説していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
ご年配の方
歯科医院に、ご年配の方は多く来院されますよね。
人生の先輩である分、礼儀に厳しい方も見受けられますが、言葉遣いなど失礼がないように気をつけると、豊富なバリエーションで会話を楽しめます。
以下のような内容は、穏やかにコミュニケーションがとれて会話を膨らませやすいです。
- 体調
- お天気
- ご家族
具体例
歯科助手:前回、腰が痛いとおっしゃっていましたよね。その後調子はいかがですか?
患者さん:だいぶよくなってきたわ。
歯科助手:よかったです!お孫さんとも、たくさん遊べるようになりますね〜!
(お孫さんのお話へ)
体調のお話をしたあとは「調子が悪くなったら、すぐにおっしゃってくださいね」など、気遣いの言葉をかけるのも忘れずに。
カルテに記入できるスペースがあれば、その日の体調なども書き込んでおくと、スタッフ間の共有も行いやすいです。
お子さんがいらっしゃる方
お子さんがいらっしゃる方は、コミュニケーションの展開が多様にあります。
お子さんの話を切り口にすると会話を広げやすいですが、センシティブな内容でもあるので、患者さんの様子をうかがいながら、見極めるのが大切です。
たとえば、以下のような会話だと、楽しみながらコミュニケーションをとりやすいです。
- お子さんのこと
- 家事のこと
- はまっているもののこと
具体例
歯科助手:お子さん、そろそろ運動会でしたよね〜!
患者さん:来週の日曜日にあるの。
歯科助手:いいですね!成長した姿が見られると、なんだか感動しそうですよね。
(お子さんの運動会やお弁当作りのお話へ)
お子さんのお話をする場合は、ぜひセルフケアの話を盛り込んでみましょう。
日頃どのようなケアをしているのか情報をキャッチできると、その後の治療方針や指導にも繋げていきやすいですよ。
若い世代の方
若い世代の方は、エネルギッシュで話題が豊富な方が多いです。
しかしながら、人と会話することが苦手な方が多い世代でもあるので、患者さんによって見極めが大切でしょう。
たとえば、以下のような会話だと、信頼関係を築きながらコミュニケーションをとりやすいです。
- 仕事の話
- 趣味の話
- 学生時代の話
- 今ハマってるもの
- テレビやネット
具体例
歯科助手:お仕事は残業とか多いお仕事ですか?
患者さん:そうなんです。毎日帰る時間が遅くて…。
歯科助手:帰る時間が遅いと自分の時間が減っちゃいそうですけど、お家ではどんなことをして過ごされているんですか?
(趣味のお話やハマっているもののお話へ)
会話を返してくださる患者さんのときは、質問をしていきながら生活環境の把握をしましょう。
食習慣や日常生活を知ることで、セルフケア事情が浮き彫りになってきます。
一言、二言会話をしてみて「話したくなさそうだな……」と感じたときは、思い切って引くのも大切。少しずつ距離を縮めていきましょう。
お子さん
お子さんとコミュニケーションとるときは、会話をしながらも、しっかり診療台に座っていてもらうことが大切です。
興奮させすぎないように気をつけながら、コミュニケーションをとりましょう。
学校の話題は、患者さんによって聞かれたくない場合もあるので、親御さんや本人の反応に気をつけます。
たとえば以下のような会話だと、楽しみながらコミュニケーションをとりやすいです。
- 学校の話
- 好きなもの
- 好きな人
- 家族
- テレビ
具体例
歯科助手:お姉ちゃんと仲良くしてるかな?
患者さん:うん!
歯科助手:いつもどんなことをして遊んでいるの〜?
(家族や遊びのお話へ)
家族で歯科医院に通院している場合は、「こんなことして遊んでるって聞いたよ!」など、会話を繋げていきやすいです。
お子さんにとって歯科医院が怖い場所でなくなるように、やわらかなコミュニケーションを心がけていきましょう。
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心地の良いコミュニケーションは、患者さんの数だけあります。
今日はいくつか具体例を挙げましたが、あなたと患者さんにとって心地良いコミュニケーションを、ぜひ探してみてくださいね。
コミュニケーションが適切にとれている歯科医院は、ただの病院から居心地の良い場所へと変化していきます。
患者さんにとっての歯科医院が、気楽に「次のメンテナンスはいつかな?」と楽しみになるような場所になるように目指していきましょう!
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歯科医院で患者さんとコミュニケーションをとる際は、患者さんのことを想像するのが大切です。
おうむ返しやペーシングなどは、手軽にはじめられて信頼感を得られるので、今日からでもぜひチャレンジしてみてくださいね。
少しのコツで上達!歯科助手のためのコミュニケーション
第1回 受付のコミュニケーション
第2回 患者さんとのコミュニケーション
第3回 実践しやすい会話例