はじめまして、都内の歯科医院に勤務しております松田由紀子です。
歯科助手として働く中で、また、これまでの講師経験の中で、自院での片づけはもちろん、受講生の皆さんに片づけのコツや工夫をお話してきました。
主婦向け雑誌では、限られた物で心豊かに暮らす「お片づけ達人」として取り上げられたことも。
また昨年、これまでの知識確認のために、整理収納アドバイザー2級を取得しました。
(参照:整理収納アドバイザーってどんな資格?)
これまでの経験を活かして、歯科医院で働く皆さんの、片づけに関する疑問やお悩み解消のお手伝いができたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
#01 歯科医院のお片づけプロローグ
私が外部講師としてお伺いする医院様でよく耳にしたのが、
- いつも何かを探している
- 在庫の使用期限が切れていた
- 使いたいものが取り出しにくい
- 技工室の模型が棚に収まらない
- バックヤードが汚い
などというお悩み。
物が多いがゆえに起こる問題が多く、それが原因で院内の片づけが億劫になっているようでした。
ここでは「片づけ」という身近な言葉を使っていますが、片づけとは、元の状態に戻すことをいいます。
その前段階に「整理」、そして「整頓」「収納」がありますが、それぞれの違いをご存じですか?
整頓:必要な物がすぐに取り出せるように置き場所や置き方を決めること
収納:必要な物を取り出しやすく収めること
それぞれの意味の違いを理解し、この順番を守り、定着させることで、きれいな医院が維持できます。
院内の片づけは、一見患者さんのお口の健康に直接関係ないように思えます。
しかし、きれいに整えられた居心地の良い環境であれば、長く通いたくなる医院となり、結果的に患者さんのお口の健康を守ることに繋がります。
片づけで得られる3大効果
また、片づけのメリットはそれだけではありません。片づけで得られる効果には、次のようなものがあります。
- 時間的効果
● 物探しに時間を使わない
● 業務の効率が上がる - 経済的効果
● 無駄な在庫を持たなくなる
● 同じような物を買わなくなる
● ある物を大切に使うようになる - 精神的効果
● 乱雑な環境で過ごすというストレスがなくなる
● 無駄なことや無駄な物が減り、気持ちに余裕がでる
いかがでしょうか。片づけたくなりませんか?
片づけは医院にとっても働くスタッフにとっても、プラスなことばかりなのです。
まずは、整理の3ステップ
「片づけ」といっても、どこから手をつけたら良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
まずは、「片づけ」の前段階、「整理」の手順についてお伝えします。
- 片づけたい場所にある物をすべて出す
- いる物といらない物を分ける
- いらないものを捨てる
物をすべて出すことで、重複している物、使っていなかった物、期限切れの物なども出すことになります。
また、材料の無駄な発注や、過剰在庫も減ります。
出てきた物を見て、今後の買い方の参考になさってください。
片づけられない人の多くは、物を捨てるのが苦手?
では、どうして「整理」をすると、いらない物がたくさん出てくるのでしょうか?
- これ高かったな
- どこも壊れていないし
- いつか使うかもしれない
- 捨て方がわからないな
- いらないけど小さいから取っておいてもいいか
- いただき物だし
など…理由はいろいろですが、物は知らず知らずのうちに増えていきます。
医院に物を入れる(買う/もらう)ことは、無意識で簡単なのに対して、医院から物を出す(捨てる/あげる/売る)ことは、意識や覚悟が必要です。
ですので、捨てることが苦手な方は、医院に物を入れる時点で“本当に必要か”を考えるクセをつけると良いでしょう。
捨てることは新しいことを手に入れるための第一歩、前向きな行動です!
【注】物が多いからといって、棚や収納スペース、収納グッズを増やすのはやめましょう。増やした分だけ物が増えていきます。物が多いと感じたら、まずは整理をしてみてください。
「整理」をして、いる物だけになったら、つぎは「整頓」「収納」です。
それぞれの使用頻度や動線を考えて置き場所や置き方を考え、スタッフ誰もがわかりやすく、取り出しやすく、使いやすく、片づけやすいように、物の指定席を決めます。
ベテランさんはわかっていても、新人さんはどこに何があるのかわからない、長身さんなら届くけど小柄さんは届かない、そんなことがないように、ここで大切なのは「スタッフ誰もが目線」です。
そして、指定席を決めると同時に、在庫の適正量を把握します。
院内各所の整理収納やきれいに見せるコツは、第2回以降でご紹介いたします。
最後に
私も、皆さんと同じ歯科医療従事者です。
医院の規模やスタッフ数は違っても、忙しい日々の診療の合間に片づけの時間を作るのが難しいことはわかります。
ですが「患者さんも働く人も行きたくなる歯科医院」を作り、そこで働けることはとても幸せなことです!
この連載のご縁をいただき、同じ思いの歯科医療従事者の方が増えることを楽しみにしています。