「健康」を「財産」へ変えられる歯科衛生士を目指して 第5回 プライマリケア・デンタルハイジニストとは

ここ数年で、日本でもようやく予防にスポットが当たるようになりました。

齲蝕や歯周病をはじめとする、さまざまな疾患の研究の進展とともに、歯科医療のメインテーマが“疾患そのものの治療=キュア”から、“生活習慣の改善まで含めた、疾患の予防=ケア”に完全に移行するのも、そう遠くない未来のことかもしれません。

「健康」を「財産」へ変えられる歯科衛生士を目指して 第5回 プライマリケア・デンタルハイジニストとは

プライマリケア・デンタルハイジニストとは?

  • 患者さんの抱える問題を総合的に把握し、いつでも対処できる
  • 患者さんのパートナーとして、継続的に口腔の健康を管理する
  • 口腔の健康を通じて、患者さんがより豊かで充実した人生を送れるよう、サポートする

    →かかりつけ歯科衛生士!

予防に注目しはじめた日本の歯科医療が、スウェーデンのような「歯科医師によるプロケアと、患者さん自身によるセルフケアのバランスを保つ」「患者さん個人を尊重する」という診療スタイルに少しずつ変わろうとしている今、

私たち歯科衛生士には、プライマリケア・デンタルハイジニスト(かかりつけ歯科衛生士)として、患者さん一人ひとりに応じたオーダーメードの診療プランや継続的な予防プログラムを提案・実行できるようになることが、求められているのです。

患者さんから、パートナーとして信頼を寄せられるようになったなら、どんなに嬉しいことでしょう。

プライマリケア・デンタルハイジニストを目指すのであれば、まずは「歯科医院&患者さん」としてではなく「私(歯科衛生士)&○○さん(患者さん)」というように、
患者さんとの関係性を“個人 対 個人”として意識することからはじめてみると良いでしょう。きっと、患者さんへの向き合い方が変わってくるはずです。

このように、患者さん一人ひとりに“1対1(オンリーワン)”の対応をするということが、すなわち、患者さんのパーソナリティーを尊重するということにつながるのです。

患者さん1人ひとりに“1対1(オンリーワン)”の対応をする

Q.臨床におけるポイントは何でしょうか?

予防でもっとも大切なのは、プロケアとセルフケアのバランスです!

私たちがどれだけ徹底したPMTCを施しても、患者さんがセルフケアの大切さをきちんと理解していなければ、予防は達成されません…。

歯科衛生士と患者さんとの二人三脚で、はじめて予防は成り立ちます。だからこそ、ケアゾーンにおける私たちの役割は、とても大きいのです。

プライマリケア・デンタルハイジニストによるメインテナンスは、Information型ではなくCommunication型、と覚えておくと良いと思います。

口腔内のある一時だけを見て施術するのではなく、患者さんに寄り添い、患者さんの社会生活を含めて変化を追ってあげることが大切です。

次回は「健康」と「病気」について考えていきたいと思います。

「健康」を「財産」へ変えられる歯科衛生士を目指して

第1回 歯科衛生士の世界へようこそ!
第2回 患者さんのニーズについて
第3回 スウェーデンが予防大国と呼ばれるまでに
第4回 予防大国・スウェーデンの診療スタイル
第5回 プライマリケア・デンタルハイジニストとは
第6回 健康観の共有について
第7回 疾患を“治す”から疾患を“生ませない”
第8回 歯科衛生士中心で展開するマネージメント