幅広い知識が得られる!New Generation DH Symposiumが開催

12月8日、名古屋能楽堂にて「New Generation DH Symposium」が開催されました。

こちらは、臨床で活躍する5名の歯科衛生士と、主催者であるフリーランス歯科衛生士 丸橋理沙さんによるシンポジウムです。

6名の講師が、それぞれのテーマに沿って講演するため、幅広い知識を一度に得ることができます。

当日の参加者は約100名。名古屋での開催にもかかわらず、近畿地方や中国地方、さらには北海道、鹿児島と遠方から参加される方も多く、大きな盛り上がりを見せました!

それでは早速、当日の会場の様子をお伝えします♪

会場の様子
会場の様子

歯科衛生士によるカリエスマネジメント/西田朱実さん

医療法人会心会あんどう歯科クリニックに勤める西田さんは、はじめにう蝕の発生要因について解説しました。

う蝕の発生には、さまざまな要因が関連していますが、今回はう蝕原生細菌と唾液、食事内容について着目。

唾液線の開口部付近にう蝕ができた場合に考えられることや、食事だけでなく飲み物にも注意しなければいけないことなど、患者さんに問診すべき内容をわかりやすく紹介しました。

患者さんの生活環境や全身状態は一定でないため、問診内容はメインテナンスごとにアップデートしていく必要があると紹いいます。

つづいて、う蝕リスク軽減のための指導内容や、普段西田さんが行っているメインテナンスについて説明。最後には、CO状態の歯牙が改善傾向にあるメインテナンス患者さんの症例を紹介しました。

歯周治療を進めていく中での悩み/内藤抄織さん

歯科衛生士 内藤抄織さん
歯科衛生士 内藤抄織さん

医療法人仁鈴会祥南歯科・矯正歯科医院に勤める内藤さんは、なにがきっかけでモチベーションが上がるかわからないため、患者さんに対してはできるだけ詳しく現状説明を行い、治療の希望を伺うようにしているとのこと。

講演では歯周病の定義や概要について説明し、歯肉炎と歯周炎の違いや歯周病のリスクファクター、レッドコンプレックスの細菌について解説。歯周治療を行う上で必須となる知識を共有しました。

また、歯周病の新分類についても解説し、従来の分類との違いや新たに追加された項目を説明。

その後、歯周基本治療の流れをおさらいし、慢性歯周炎患者さんの症例を紹介しました。ここでは、歯周病の新分類にあてはめて患者さんの状態をとらえ、ステージとグレードを決定。初診時からメインテナンスに移行するまでの経過や、メインテナンス中のトラブルなど、臨床のヒントになるようなお話が豊富でした!

最新機器を用いたメインテナンス/丸橋理沙さん

午前中最後のシンポジストは、主催者である丸橋さん。今回は、ソニッケアーの紹介をメインに講演しました。

丸橋さんは、電動歯ブラシの中でも「音波式電動歯ブラシ」をおすすめする理由をいくつか説明。習慣化のポイントとして、以下の3つを挙げました。

  • 時短である
  • 操作がしやすい
  • 実感がある

つぎに、位相差顕微鏡で撮影した動画を見せながら、歯石やプラーク内の細菌について説明。活動性の細菌はプラーク中に存在していることから、私たちがTBIを行う必要性をあらためて伝えました。

現在、プラーク付着部位を示す際に、染め出しを行うことが多いかと思います。近年、口腔内スキャナーを導入する歯科医院がどんどんと増えてきていることから、今後は歯科衛生士も口腔内スキャナーを活用する必要があるのではないかと丸橋さんはいいます。

そこで、実際に臨床現場で口腔内スキャナーを使用しながらTBIを行う様子を動画で解説し、活用方法をレクチャーしました。

染め出し後の口腔内をスキャンした画像
染め出し後の口腔内をスキャンした画像

つづいて、ソニッケアーの活用方法について、ブラッシングを管理できるアプリや、泡状のフッ化物をソニッケアーで浸透させる方法などを紹介。歯科医院でそれぞれの患者さんに合ったブラシを処方する「テーラーメイド」の有用性についても説明しました。

お口から糖尿病へアプローチ/中村志保さん

歯科衛生士 中村志保さん
歯科衛生士 中村志保さん

中村歯科医院に勤める中村さんは、まず糖尿病の発症機序について、わかりやすく図で説明しました。

問診票の既往歴で「糖尿病」にチェックがある場合、患者さんに確認することとして、以下の4つを挙げました。

  1. I型・Ⅱ型どちらか
  2. HbA1cとCGRの値
  3. 注射や投薬量
  4. 歯周病との関連について

さらに、糖尿病が口腔内に及ぼす影響について解説。I型・Ⅱ型それぞれの理想的なHbA1cの値や、患者さんへの説明方法も具体的に紹介しました。

講演では、Ⅱ型糖尿病の患者さんの症例を2つ紹介し、初診時は同じような口腔内の状態でも、メインテナンスの受診の有無で予後が変わることを伝えました。

患者さんに喜ばれる自費メインテナンス/小林知里さん

医療法人IDGいちろう歯科に勤める小林さんが勤務する歯科医院では、5年前から自費メインテナンスを行っているとのこと。小林さんはまず、自費メインテナンスを導入した経緯や、保険算定内で行うメインテナンスの限界について話しました。

また、自費メインテナンスの差別化を図るために行ったこととして、以下の4つを挙げました。

  • エアフローによるパウダークリーニング
  • ポリッシングペーストに差をつける
  • 術前の染め出し
  • 歯肉マッサージ

こちらの医院では、30分・45分・60分と、術式の異なる3つのコースを設けており、そのときに必要なメインテナンスを患者さんの希望とすり合わせながら提案しているといいます。

つづいて、自費メインテナンスを行う中でモチベーションが上がった患者さんの症例を紹介。自費メインテナンスを提案するタイミングや伝え方についても併せて解説しました。

インプラント周囲疾患への取り組み/杉江みさきさん

内藤歯科に勤める杉江さんは、さまざまなインプラントメーカーの紹介と、インプラント治療のメリット・デメリット、インプラント周囲炎の概要、原因について解説しました。

そして、患者さんの症例をもとに、普段行っているメインテナンスの流れを一通り説明し、プロービング時の注意点やスケーリングで使用するチップを紹介しました。また、プロービング値が大きい場合は、歯間ブラシをインプラント周囲粘膜下に挿入すると、プラークが除去しやすいといいます。

また、患者さんの器用さやブラッシング状況に合わせて、指導する清掃用具を選んでいるという杉江さん。

インプラント患者さんにおいては、ブラシを歯頚部にあたりやすくするために3列植毛のブラシを1列分切断し、2列植毛の状態にしてTBIを行うといった工夫をしているそうです。

3列植毛の歯ブラシを1列切断したもの
3列植毛の歯ブラシを1列切断したもの

最後に、杉山さんが歯科衛生士として気をつけていることとして、以下の4つを挙げました。

  • 流れ作業にならないようにする→患者さんも一人の人間であることを忘れない
  • 歯科のことだけでなく、プライベートな内容でもコミュニケーションをとる→歯肉の炎症や、プラークコントロール不良の原因が判明することもある
  • 極力痛みをともなわないようにする→歯科医院をイヤな場所にしない
  • 良いところはとことん褒める→モチベーションの向上につなげる

丸橋理沙さん主催スタディグループが始動!

シンポジウムの最後には、丸橋さんよりスタディーグループ『TeamGLWB』発足のお知らせがありました!

2020年より、北海道・北関東・関東・中部・関西・中国・九州の7つのエリアで順次始動する、こちらのスタディーグループ。

各エリアで毎年4回にわたって、丸橋理沙さんや外部講師による講演、会員発表など、盛りだくさんの内容で送る予定です。年に一度、全エリアの会員が集まる総会も予定されています!

現在、各エリアで会員募集がはじまっており、年会費はなんと10,000円!1回あたり2,500円で参加できるという、とてもリーズナブルな設定です。

今後の歯科衛生士界を盛り上げていきたい!そんなみなさん、ふるってご参加ください♪

丸橋理沙さん主催TeamGLWB