5月30日、岩瀬歯科商会上野支店のセミナールームにて「一生モノのテクニックを学ぼうSRPのハンズオンアドバンスセミナー」が開催されました。
講師の丸橋理沙さんは関西を拠点に全国で大活躍しているフリーランスの歯科衛生士さん。こちらのセミナーは、3日間にわたって行う、少人数制のハンズオンセミナーです。
前回のアドバンスセミナーにつづき、2日目の今回は超音波スケーラーの実習をメインに行いました。
(前回はこちら:丸橋理沙さんによるSRPハンズオンアドバンスセミナー1日目)
それでは、当日の会場の様子をお伝えします♪
今までの知識と技術の復習
1回のセミナーでは、臨床の現場でできなかったり、わからなかったことを解決できない。
以前やったことをもう一度復習できるように、3回コースにしている。
冒頭に丸橋さんは、このセミナーを3回コースにしている理由を述べました。
まずは、今までに学んだ歯周治療についての講義内容を復習。その後、歯肉縁上・縁下歯石の除去に使用する器械や器具について、普段から丸橋さんが使用しているものを中心に解説しました。
普段、歯肉縁上歯石に対しては、マグネット式超音波スケーラーか、シックルタイプスケーラーを用いて除去しているという丸橋さん。また、歯肉縁下歯石に対しては、ピエゾ式超音波スケーラーとキュレットを用いて除去するとのことでした。
超音波スケーラーの注意点としては、以下のことを挙げました。
- 超音波スケーラーでは、ルートプレーニングが完全にはできない
- 超音波スケーラーは、歯石の位置がわかっているときに有効である
- ピエゾ式超音波スケーラーはチップの先端2mmの部分を歯石にあてなければいけない
- プラークの除去には不向きであること
プラーク除去に対しては、ブラシ類がいちばん!と話し、SUS(ソニック)ブラシや、タフトブラシ、歯間ブラシの有用性について語りました。
その後、エアスケーラーと超音波スケーラーのマグネット式・ピエゾ式の振動の違いや、適切な注水量についても説明。
注水量については、注水しすぎている人が多い!と話し、飛散せず、術野が確保できる程度の注水量をすすめました。
そして、超音波スケーラーを使用する際に、術者が側方圧をかける必要があるかどうか、フットペダルを踏んだときのパワーはどうかなど、各メーカーの超音波スケーラーがもつ特徴についても述べました。
つづいて、インプラント部の周囲粘膜縁下のスケーリングを行っている動画をもとに、超音波スケーラーの使い方やチップの使い分けについて解説。
また、歯科用内視鏡ペリオスコピーシステムを使用した、歯肉縁下スケーリングやSRPを行っている動画を見せ、歯肉縁下歯石がどれほど強固に付着しているかを説明しました。
午前の最後には、復習として、前回行ったシャープニングとSRPの実習を約40分間行いました。
今回も丸橋さんは各テーブルを回り、一人ひとりの手技を確認しながら指導を行っていました。
5種類の超音波スケーラーを比較!
今回のセミナーのメインとなる実習は、各メーカーの超音波スケーラーを比較する実習です。
今回は、以下の5種類の超音波スケーラーを用いて実習しました。
- 株式会社松風「ピエゾン250 LED」
- 株式会社ナカニシ「Varios 970」
- 株式会社モリタ「Solfy F」
- 白水貿易株式会社「スプラソンP-MAX2」
- デンツプライシロナ株式会社「キャビトロンセレクト(SPS)」
まずは、一人ひとりに配布されたキャンドルに描かれている白い線だけを、超音波スケーラーを用いて消していきます。
ゆっくり動かして、的確に白い線を消していくのはとてもむずかしそうでした。
その後、各自持参した抜去歯牙に付着している歯肉縁下歯石を、超音波スケーラーで除去していきます。
キャンドルのトレーニングと抜去歯牙の歯石除去を、5つのメーカーそれぞれの超音波スケーラーを用いて行い、使用感を比較しました。
一通り超音波スケーラーを使用した後は、歯科衛生士さんが歯科医院で実際に使用している超音波スケーラーのテーブルに移動し、顎模型上の歯肉縁下歯石を超音波スケーラーで除去しました。
最後には、抜去歯牙のルートプレーニングも行い、歯根面を滑沢に仕上げ、約2時間半の実習が終わりました。
ひとつの歯科医院で働く歯科衛生士さんたちにとって、各メーカーの特徴を比較できる機会ってなかなかないですよね!とても貴重な体験だと感じました。
まとめ
今回もセミナーの終わりに、受講した歯科衛生士の森井さんに感想をお聞きしました。
各社メーカーの超音波スケーラーを実際に使うことができて、よかったです!
こんなにも多くの種類の超音波スケーラーを使うことは、なかなかできない体験だと思います。個人的に使いやすいと感じたのは、モリタ社の「Solfy F」でした。
初めて使いましたが、いつも使用しているものより歯石が取れやすく感じました!
各メーカーさまざまな特徴をもつ、超音波スケーラー。
チップの当て方を間違えたり、摩耗したチップを使用したりすると、本来の超音波スケーラーの力は発揮されません。
各メーカーの特徴をしっかりと学んだ上で、自分が使いやすいと思う製品を選択できるようになれればと思います!
次回は、受講生による症例発表と懇親会を取材します♪