11月17日、東京都内にて第4回NewEra勉強会が開催されました。
NewEra勉強会(深川塾)は、歯科衛生士の深川優子さんが、2006年に立ち上げたmixiコミュニティ「ベテラン歯科衛生士への道」のスピンオフとして開催されている勉強会。
“若手の歯科衛生士、あるいは1人職場で日常臨床等に悩まれているベテランの歯科衛生士が気軽に参加できるよう、敷居の高くない勉強会を開催したい”という主宰者 深川さんの思いから、年に2回、無料または少額で開催しているといいます。
第4回目となる今回は、若手からベテランまで、さまざまな年代の歯科衛生士が、40名参加しました。
それでは、当日の様子をお伝えいたします♪
人生100年時代のアンチエイジングケア
前半は、銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81の坂本紗有見先生。日本アンチエイジング歯科学会の常任理事をつとめる坂本先生は、アンチエイジングケアをはじめるタイミングは「生まれた時から」であるといいます。
また、8020運動で取得されたデータを挙げ、8020達成者の中にオープンバイト・反対咬合の人が一人もいないことに言及。哺乳や離乳食の食べ方も歯並びに影響するため、無歯期の0〜1歳から歯医者に通うべきと述べました。
セミナーでは、無歯期、モグモグ期、カミカミ期、完成期それぞれのステージの特徴や、指導すべき内容、注意してチェックするべきポイントを説明。
また、噛めない口腔内や飲み込めない口腔内の状態について、多くの症例写真と具体例を挙げて解説しました。
つづいて、アンチエイジングに影響する3つの項目について、その特徴とチェックポイントを紹介。
- 唾液
- 咀嚼
- 口腔機能(MFT)
1日1〜1.5リットル排出されている唾液は、「うま味」を感じることでその後22分間、唾液の増加が持続するといい、うま味成分のひとつグルタミン酸が、ドライマウスや味覚障害、更年期障害の抑制に活用されています。
また、咀嚼の項目では、食生活と歯並びについても言及。食器を持たずに食事をする洋食文化の場合、姿勢がうつむきがちになることで大臼歯での咀嚼ができていないこと、食卓の座席とテレビの位置が、偏った咀嚼を促していることなど、明日からの指導に役立つヒントがたくさん紹介されました。
坂本先生は最後に、患者さん自身の「自分の歯は自分で守ろう」という意識を向上させることが重要であるといい、患者さんに受け入れられやすく、ムリなく続けてもらいやすいアイテムとして、サプリメントの活用についても紹介。
その代表としてロイテリ菌と8020菌の違いについて説明しました。
歯科も無関係ではない糖化ケア
後半のセミナーは、銀座セントレ歯科につとめる歯科衛生士 山本典子先生。現在アンチエイジングの世界で研究が進められている三大老化予防のひとつ「抗糖化」について解説しました。
糖化とは、身体の中で消費し切れなかった糖質が体内のタンパク質と結びついて最終糖化産物(AGEs)を作り出すこと。糖化は酵素がなくても起こってしまい、一度反応が起こった物質は元の性質に戻ることはないといいます。
さらに、AGEsが歯に蓄積するメカニズムを解説。糖化の影響でコラーゲンの変性が起きた結果、歯肉の弾力が失われたり、歯ももろくなるといったことが起こり、出血や炎症が治りにくくなるといいます。
山本先生は、糖化を防ぐために歯科衛生士ができることとして、日々の臨床で使用すべき歯磨剤や、保健指導の方法、AGEs生成抑制作用のあるサプリメントについて紹介しました。
また、糖化を予防するには、糖を消化する酵素であるアミラーゼを含む唾液を増やすことが重要という山本先生。
唾液は薬物やカフェインの摂取により分泌が減ってしまうため、チェアサイドで生活習慣について伺ってみたり、口腔内のマッサージで唾液分泌を促進したりすることが効果的だといいます。
最後に山本先生は、先端巨大症について紹介。成人になってから発症する場合、本人や家族が気づかないほど緩やかに進行することが多いといいます。
今回のセミナーでは、先端巨大症の特徴を解説し、口腔内だけでなく顔貌写真を撮影しておくことが重要であると説明。それは、患者さんと長いお付き合いになる歯科だからできることだと締めくくりました。
ディスカッション
セミナーの終わりには、2名の講師によるディスカッションが行われました。ディスカッションのテーマは受講生からの質問を元に決定。会場からはさまざまな質問が寄せられました。
- 具体的な食事指導の方法は?
- サプリをチェアサイドでアプローチする方法は?
- AGEs値が悪いと、他の数値も悪いってこと?
- 歯列について。お母さんに心に響かせるコツは?
- ホントにAGEsはなくならないの?
体験!指で測る、健康・美容の新指標AGEsケア
ディスカッションの後には、アークレイ株式会社のAGEsセンサについて解説。過剰な糖質摂取や運動不足、ストレスなどのさまざまな要因で増加するAGEs。
AGEsが蓄積すると、しわやたるみ、骨粗鬆症、動脈硬化や網膜症、腎症などが起こってしまうといいます。
AGEsセンサは患者さんとのコミュニケーションツールのひとつとして開発された器械。血液や尿などといった検体が必要ないため、待合室などに設置が可能です。
本日のセミナーでは、実際のAGEsセンサが設置され、参加者全員が測定体験を行いました。
現在は美容クリニックなどで活用されているといい、検査結果によってさまざまなワンポイントアドバイスが表示されるため、食習慣や運動などのアドバイスツールとしても活用できます。
セミナーの終わりには懇親会も開催。さまざまなフィールドで働く歯科衛生士が、講義の感想や日々使用しているもの、それぞれの職場の話などの意見交換を行い、終始大盛況の様子でした。
次回の開催は2020年6月21日(日)を予定。ダイレクトボンディングの第一人者である青島徹児先生が、歯科衛生士に向けて歯質のエイジングステージなどについて解説するという貴重な機会。
お問い合わせ・お申し込みはこちら(深川 優子さんへメールする)
この機会にぜひ参加してみてはいかがでしょうか♪