こんにちは。dStyle編集部のSaitoです。
みなさんは、「デンタルエステ」と聞いてどのようなものを思い浮かべますか?
お口まわりのエステ?ホワイトニングのこと?など、曖昧な方も多いのではないかと思います。
そこで、私が自費のデンタルエステを行っていた経験をもとに、詳しくお伝えできたらと思います。
今回は、デンタルエステの人気な施術のひとつ「リップエステ」について、解説していきたいと思います♪
これまでの記事はこちら
part1.デンタルエステとは?
part2.歯肉マッサージ編
リップエステとは
その名のとおり、口唇のエステを行う施術です。他にも、「リップマッサージ」や「リップトリートメント」と呼ばれることもあります。
歯科医院で勤務していると、患者さんの口唇の乾燥が気になることはありませんか?たとえば、治療後や印象後、スケーリング後、PMTC後など。
治療中は開口状態が続くため、どうしても口唇の乾燥を進めてしまいがちです。
そこで、リップケアを行うことで、口唇がカサカサする不快感を軽減させることができます。
デンタルエステを取り入れている歯科医院では、かならずと言っていいほど行われるメニューです。
リップエステの効果
1.患者さんの満足度アップ
リップエステを行うと、口腔内だけでなく、口唇を含めた口全体をメインテナンスすることができます。
乾燥やひび割れなどの荒れた口唇を整えることで、血行の促進にもつながり、口唇に透明感がでます。
そうすることで、治療後に口唇を含めた口全体がきれいになっているため、満足度アップを期待できます。
その他に期待できる美容効果
- 老廃物の除去
- 潤いのある、ふっくらとした口唇になる
- 口唇の縦じわ除去
- 口唇の色のトーンアップ
- リフレッシュ効果
2.リコール率アップ
リップエステは比較的、効果を実感しやすい施術です。
施術後は、「唇の色が明るくなった!」「つやつや、プルプルしてきた!」というように、患者さん自身が効果を目で見て感じられます。
そのため、施術者への信頼感が生まれ、リピート率やリコール率の向上につながることが期待できます。
リップエステの手順
ここからは、実際に行われている施術方法についてお伝えしていきます。
今回お伝えする方法は一例であり、歯科医院によって施術方法はさまざまです。
準備するもの
- グローブ:ゴムの匂いが少ないニトリルグローブ。
- メイクリムーバー&コットン:メイクをされている場合に必要。口唇が荒れている方には、ナチュラルオイルなど。
- スクラブジェル:口唇のディープクレンジング用。
- 精製水&ワッテ:スクラブジェルの清拭用。
- 美容液:口唇トリートメント&マッサージ用。
- ラップ:ホットパック用。口唇に合うサイズにカットしたもの。
- ホットコットン:40〜43℃に温めたもの。
- リップグロス:美容液配合のもの。
1.クレンジング
患者さんがメイクをされている場合は、まず口紅をしっかりと落とします。
メイクリムーバーを含ませたコットンで、口角から中心に向けて拭き取ります。その後、軽くティッシュオフします。
2.ディープクレンジング
- 適量のスクラブジェルを指先に取り、①下唇、②上唇右側、③上唇左側の順に、口唇全体にムラのないように塗布します。
- 薬指、人差し指で、らせんを描くようにマッサージします。口唇が荒れている患者さんの場合は、痛みを感じる場合があるので、患者さんの様子を見ながらソフトタッチで行います。
①、②の順に、下唇は右の口角から左へ、上唇は左の口角から右へ、指を滑らせます。
- 利き手中指で①〜④の順に、左右に口唇をなでるようにマッサージします。
- 親指と人差し指で、上唇・下唇を軽くつまみ上げるようにマッサージしていきます。リズミカルに、タッピングする感覚で行います。
- 口唇の輪郭に沿ってそれぞれ3秒ずつ、3回ほど指圧を行います。
- 人差し指で口角を指圧し、引き上げます。最後に、湿らせたコットンで口唇全体を軽く清拭し、スクラブジェルを除去します。
3.トリートメント&マッサージ
適量の美容液を指先に取り、ディープクレンジングの時と同様に①〜⑥のマッサージをもう一度行います。
マッサージ後、美容液は拭き取らずに残したままにしておきます。
4.ホットパック
小さくカットしたラップを口唇に被せ、その上から40〜43℃に温めたコットンで覆います。そのまま、3〜5分間ホットパックを行います。
その後、被せていたコットンで口唇全体を軽く押さえ、仕上げにリップグロスを塗布します。
口唇は38℃以上でコラーゲンが生成されるため、ホットパックを行うことでふっくらとした口唇に仕上げることができます。
施術のポイント
マッサージの際は、爪を短く丸くカットし、力加減に注意しましょう。
また、ホットパックの際、ラップが患者さんの鼻付近まで被ってしまわないよう、ラップのサイズや位置に注意します。
患者さんが、1枚のラップで密閉している状態に抵抗を感じていたり、息苦しそうにしている場合は、上唇に1枚、下唇に1枚とラップを分けるようにしましょう。
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いかがでしたか?
治療とはまた違った角度で、歯科衛生士という仕事の楽しさを知っていただけたら嬉しいです。
次回は、実際に私が行っていた「デンタルエステを組み合わせた施術」について詳しく解説していきます。
岡村乃里恵「歯科医院で行うリップケア」『DHstyle』、2013年 6月号