今月の Community Dentistry and Oral Epidemiology において、“歯科矯正治療単体では、長期的なう蝕予防に影響を及ぼさない”という論文が発表されました。
こちらは、オーストラリアのアデレード大学歯学部と、豪州人口口腔衛生研究センターの研究チームが発表した論文です。
今回の研究では、南オーストラリアにおいて13歳から30歳までの17年間、DMF歯数の推移が記録された448名を対象として調査が行われました。
(参照:DMF歯数-Quint Dental Gate-キーワード)
その結果、歯科矯正治療を受診した群(全体の3分の1)と、受診していない群の間に、DMF歯数の推移に有意差が見られなかったといいます。
また長期的に見ると、発生したう蝕の大半は、ブラッシング回数が1日に2回未満の対象者において記録されたとのことです。
これに対して、研究チームの Esma J Dogramaci 氏は以下のように述べています。
患者はしばしば、歯科矯正治療により綺麗な歯並びを手にいれることで、う蝕も予防できると信じています。
しかしながら、それは誤解です。研究からわかったのは、歯科矯正治療ではなく、日々の口腔清掃と定期的な歯科検診受診が、長期的なう蝕の予防につながるということでした。
歯に関心がある人がまだまだ少ない日本。そのような中で歯科矯正治療を受診する患者さんは、デンタルIQが比較的高いことが考えられますよね。
矯正治療の長期的な成功のために、
“せっかく歯並びが綺麗になりますので、その状態を維持できるように、日々のブラッシングや定期検診を欠かさないでくださいね。”
と、ヒトコト声をかけてみてはいかがでしょうか。
出典:The University of Adelaide_ORTHODONTICS NO GUARANTEE OF LONG-TERM ORAL HEALTH