日本の歯科業界にはたくさんの資格制度が存在し、その代表格が歯科医師免許・歯科衛生士免許・歯科技工士免許です。
これらの資格は『国家資格』といって、国で認められている認定制度です。
しかしその他にも『協会認定資格』『学会認定資格』など、自身のスキルアップのための資格がたくさん制定されています。
今回はたくさんある資格のうち、歯科助手さん向けの資格『日本歯科医師会認定歯科助手』について、徹底解説しますよ!
*この記事は2022年10月17日に更新しました
1.日本歯科医師会認定歯科助手とは?
2.日本歯科医師会認定歯科助手の業務
3.資格取得に求められること
4.資格のとりかた
5.認定歯科助手の働き方
1.日本歯科医師会認定歯科助手とは?
日本歯科医師会認定歯科助手とは、公益社団法人日本歯科医師会が設けている認定制度で、歯科助手の育成と資質の向上を図り、歯科治療を円滑に行うことを目的に制定されました。
令和3年3月時点では、全国各地47都道府県で306,161人(のべ人数)の方が取得しています。
歯科助手の育成と資質の向上を図り、歯科治療を円滑に行うことを目的に制定された、歯科助手の認定制度です。
日本歯科医師会認定歯科助手資格には、以下の3つの種類があり、人数の内訳は以下のようになっています。
(参照:公益社団法人日本歯科医師会 令和3年度 事業報告書)
- 甲種(資格取得者19,296名)
- 乙種第一(資格取得者160,866名)
- 乙種第二(資格取得者125,979名)
※ 資格取得者はいずれものべ人数とする
2.日本歯科医師会認定歯科助手の業務
歯科治療の内容やそのときの状況に応じて、さまざまな器具をタイミングよく手渡したり、必要なときに材料を準備したり、後始末をしたりといった、歯科診療の介助をメインに行います。
術者が1人で治療を円滑に進めることはむずかしいため、歯科医師や歯科衛生士に協力し、治療の進め方に合わせてサポートしていく、重要な役割を担っています。
3.資格取得に求められること
「歯科助手の心得」「歯科臨床概論」「医療安全」「情報処理」など、多岐にわたる分野の教育を、都道府県歯科医師会(もしくは都道府県歯科医師会が適当と認める機関)で受ける必要があります。
甲種は17項目、乙種第一・第二はそれぞれ11項目についての訓練時間が基準として定められています。
近くの都道府県歯科医師会に確認し、実施時期などの詳細を確認しましょう。
都道府県歯科医師会の一覧はこちら
甲種 | 乙種第一 | 乙種第二 | |||
---|---|---|---|---|---|
項目 | 訓練時間 | 項目 | 訓練時間 | 項目 | 訓練時間 |
歯科助手の心得 | 10 | 歯科助手の心得 | 2 | 歯科助手の心得 | 2 |
関連法規 | 6 | 一般教養 | 4 | 一般教養 | 4 |
歯科用語 | 10 | 保守管理 | 4 | 歯科臨床概論 | 4 |
歯科基礎概論 | 38 | 歯科臨床概論 | 8 | 歯科事情 | 2 |
歯科臨床概説 | 50 | 消毒法 | 3 | 社会保険の概要 | 4 |
消毒法 | 10 | 共同作業 | 16 | 受付の業務 | 4 |
歯牙形態 | 30 | 社会保険の概要 | 4 | 事務関連事項 | 2 |
診療用器械、材料の取扱法 | 30 | 歯科事情 | 2 | 社会保険の実務 | 8 |
歯科保健指導 | 10 | 医療安全 | 4 | 医療安全 | 4 |
清掃保全 | 5 | 産業廃棄物 | 2 | 産業廃棄物 | 2 |
社会保険関係事務 | 48 | 情報処理 | 3 | 情報処理 | 4 |
事務関係事項 | 20 | 総時間数 | 52 | 総時間数 | 40 |
X線フィルムの整理 | 10 | ||||
実習 | 120 | ||||
医療安全 | 10 | ||||
産業廃棄物 | 5 | ||||
情報処理 | 8 | ||||
総時間数 | 420 |
※養成校や地域によっては基準時間を超えて講習を行う場合もあります
4.資格のとりかた
認定資格の種類によって、取得するための条件が異なります。それぞれの条件ついては、以下のように定められています。
① 甲種
- 甲種歯科助手訓練基準による訓練を修了した者(420時間以上)
- 乙種第一歯科助手の資格を有し、3年以上の業務経験を有する者であって、補充研修訓練基準による訓練を修了した者
② 乙種第一
- 乙種第一歯科助手訓練基準による訓練を修了した者(52時間以上)
- 主として診療室内の仕事に従事する者
③ 乙種第二
- 乙種第二歯科助手訓練基準による訓練を修了した者(40時間)
- 主として事務的な仕事に従事する者
上記の講習時間は、訓練基準の目安です。養成校や地域によって、基準時間を超えて講習を行う場合があります。
甲種に関しては、120時間の実習が必要であるため、専門学校などの教育機関で取得する方が多いようです。
現在歯科医院に勤務している方であれば、まずは乙種第一の資格取得を目指す方が多いのではないでしょうか。
5.認定歯科助手の働き方
dStyleでは、実際に日本歯科医師会の認定資格を取得された歯科助手の佐藤利納さんに、インタビューを行いました。
日本歯科医師会認定歯科助手の佐藤さんは、どっぷりとアシスタント業務に入っていた経験をもちながら、現在は、ほぼ受付にて電話応対や会計業務といった患者さん対応をしているそうです。
少しでも来院する患者さんの不安な気持ちを和らげられるように、表情や動きを観察して声かけを行い、よく話を聴くことを心がけているという佐藤さん。
他にも、認定資格を取るまでに大変だったことや、認定資格のメリットについて語っていただいています。
こちらもぜひご覧ください。
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口腔の健康が全身の健康に大きく影響することが新たな常識となりつつある咋今、歯科医療を支える歯科助手の需要も今後ますます増えていくことが予想されます。(参照:【独自取材】「国民皆歯科健診」が骨太原案に-WHITE CROSS)
日本歯科医師会認定歯科助手は、日々の診療のスキルアップとして、自信にも繋がる資格なのではないでしょうか?まずはセミナーや講習会を受けたり、受講生の声を直に聞いてみたりするのもいいかもしれませんね。
応援しています!