日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士(インプラント専門歯科衛生士)ってどんな資格?

日本の歯科業界にはたくさんの資格制度が存在し、その代表格が歯科医師免許・歯科衛生士免許・歯科技工士免許です。

これらの資格は「国家資格」といって、国で認められている認定制度です。しかしその他にも「協会認定資格」「学会認定資格」など、自身のスキルアップのための資格がたくさん制定されています。

今回はたくさんある資格のうち、特に日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士の資格について、徹底解説しますよ!

*この記事は2022年8月8日に更新しました

[目次]
1.日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士とは?
2.日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士の業務
3.認定資格の申請に必要な条件
4.資格のとりかた・費用について
5.認定歯科衛生士の働き方

1.日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士とは?

日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士とは、公益社団法人 日本口腔インプラント学会が設けている『学会認定資格』であり、一般的には「インプラント専門歯科衛生士」とよばれています。

口腔インプラント治療介助およびそのメインテナンスを通し、歯科衛生士の口腔インプラントに対する専門的知識と技術を確保することを目的に制定された、歯科衛生士の認定制度です。

2.日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士(インプラント専門歯科衛生士)の業務

主にインプラント治療の術前・術中・術後の患者さんのケアを任されます。

術前は、TBIやSRPによって患者さんの口腔内の環境を整え、インプラント埋入窩に感染が起こりにくいようにつとめます。

術中はオペのアシストについて、歯科医師をサポート。術後は、TBIやメインテナンスを行い、「インプラント周囲粘膜炎」「インプラント周囲炎」の予防に尽力します。

3.認定資格の申請に必要な条件

認定資格の申請には、以下の条件を満たしている必要があります。

  1. 歯科衛生士の免許証を有する者
  2. 2年以上継続して正会員であること
  3. 3年以上インプラント治療の介助又はメインテナンスに携わっていること
  4. 本会学術大会または支部学術大会に2回以上参加していること
  5. インプラント専門歯科衛生士教育講座を2回以上受講していること
  6. 口腔インプラント専門医又は指導医1名の推薦があること
    (公益社団法人日本口腔インプラント学会認定専門歯科衛生士制度規程より抜粋)

このように、日々の診療でインプラント治療に携わるだけでなく、継続的に歯科衛生士としての知識や技術を高めることが必要です。

全国大会は年に1回、支部大会は各支部で年に1回開催されているため、② の条件を満たしていれば、おのずと④ ⑤ の条件も満たすことになるのではないでしょうか。

4.資格のとりかた・費用について

上記の申請条件を満たせば、認定資格取得に必要な、書類審査とインプラント専門歯科衛生士試験を受けることができます。また、申請時には申請料として11,000円、合格発表後には専門歯科衛生士登録料として21,000円を事務局に支払う必要があります。

書類審査

インプラント部に最終補綴物を装着してから2年以上経過した症例を3症例提出します。

提出する症例には、術前とメインテナンス時の口腔内写真、パノラマX線写真を添付しなければいけません。原則として、最終メインテナンスから1年以内の写真を提出するため、1年以上前の資料しかない症例は、あらためて口腔内写真とパノラマX線写真を撮影する必要があります。

口腔内写真は正面観、左右側方面観、上下咬合面観の5枚法で撮影したものを添付し、撮影年月日(西暦)も忘れずに記入します。

症例報告書は、「症例の概要」「治療に携わった内容」「考察」を1,000字以内で11ポイントのMS明朝体でパソコン入力することと、口腔インプラント専門医1名に査読を受けることが定められています。

申請についての注意事項はこちら
申請書類のサンプルはこちら

インプラント専門歯科衛生士試験

書類審査に通ると、オンラインによる口頭試問を受けることになります。

事前にオンラインでプレゼンテーションに使用する資料の提出があるので、忘れないように注意が必要です。

  • 症例報告書1〜3(10号様式1〜3)
  • 症例写真1〜3(術前・メインテナンス時口腔内写真・パノラマエックス線)

上記2点を事前に規定書式で作成し、PDFに変換して専用サイトにアップロードします。具体的な提出方法については、書類審査後に案内メールが届くのでそちらを確認しましょう。

なお、上記以外に必要な書類がある場合は、追加でアップロードすることが可能です。

提出書類の概要はこちら

試験時間は20分以内とし、試験内容は、事前に提出した症例についてのプレゼンテーションとそれに対する口頭試問です。

資格の更新について

インプラント専門歯科衛生士の認定期間は5年間とされています。

学会所定の更新単位として、5年間で合計50単位以上の単位を取得する必要があります。これには、学術大会の参加について20単位以上、教育講座の受講について20単位以上の単位が含まれます。また、更新手数料として11,000円を事務局に支払う必要があります。

更新単位の詳細はこちら

5.認定歯科衛生士の働き方

dStyleでは、実際に日本口腔インプラント学会の認定資格を取得した歯科衛生士の方に、インタビューを行いました。

インプラント専門歯科衛生士の工藤さんは、インプラント治療に精通した院長先生と出会い、患者さんのメインテナンスをすることで責任感が生まれ、インプラント治療にさらに惹かれていったようです。

他にも、認定資格を取るまでに大変だったことや、認定資格のメリット、メインテナンスの必需品などを紹介しています。

こちらもぜひご覧ください。

認定歯科衛生士FILE #6『日本口腔インプラント学会』工藤彩加さん
「認定歯科衛生士FILE #6『日本口腔インプラント学会』工藤彩加さん」へ

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日本でも、高齢化が進む中で口腔の健康が重視されるようになり、今後ますます需要が見込まれるインプラント。

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