日本の歯科業界にはたくさんの資格制度が存在し、その代表格が歯科医師免許・歯科衛生士免許・歯科技工士免許です。
これらの資格は「国家資格」といって、国で認められている認定制度です。しかしその他にも、「協会認定資格」「学会認定資格」など、自身のスキルアップのための資格がたくさん制定されています。
今回はたくさんある資格のうち、とくに日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士の資格について、徹底解説しますよ!
* この記事は2021年11月24日に更新しました
1.日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士とは?
2.日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士の業務
3.認定資格の申請に必要な条件
4.資格のとりかた・費用について
5.認定歯科衛生士の働き方
1.日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士とは?
特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会が設けている「学会認定資格」で、2021年11月現在、全国各地47都道府県で378名の方が取得しています。
(参照:学会と協会の違いって?)
歯周病の予防と治療の為の専門的知識と技術を有する臨床歯科衛生士を育成し、地域医療に貢献することを目指すことを目的に制定された、歯科衛生士の認定制度です。
2.日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士の業務
主に歯周病患者に対する検査やTBI、SRPといった歯周治療全般を任されます。
メインテナンスでは、長期間にわたって患者さんと関わり、口腔および全身の健康を維持します。
実際に歯周ポケットや骨レベルが改善することや、患者さんのプラークコントロールが向上することにやりがいを感じる歯科衛生士さんが多いようです。
3.認定資格の申請に必要な条件
認定資格の申請には、以下の条件を満たしている必要があります。
- 歯科衛生士の免許証を有する者
- 通算3年以上歯周治療にたずさわった者及びこれと同等以上の経験を有すると認められた者
- 認定歯科衛生士の申請時において継続して2年以上の学会会員歴を有する者
- 年次大会・支部教育研修会への参加が3年間で2回以上である者
- 認定歯科衛生士申請時に教育研修単位が30単位以上の本会会員である者
(特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士制度施行細則より抜粋)
このように、日々の診療で歯周治療に携わるだけでなく、継続的に歯科衛生士としての知識や技術を高めることが必要です。
教育研修単位については、毎年開催される年次大会や支部教育研修会だけでなく、学校歯科検診や保健センターなどの地域歯科医療に参加することでも取得が可能です。
また、日本臨床歯周病学会の正会員の歯科医師のもとで勤務することで、1年間に10単位取得することができます。
取得単位についてはこちら
4.資格のとりかた・費用について
上記の申請条件を満たせば、認定資格取得に必要な、書類審査と口頭試問を受けることができます。
また、申請時には申請料として10,000円、合格発表後には認定歯科衛生士登録料として10,000円を事務局に支払う必要があります。
書類審査
まず、書類審査に必要な以下の書類を揃えて、事務局に送ります。
- 認定歯科衛生士申請書
- 認定歯科衛生士資格審査表
- 履歴書
- 本会指導医または認定医1名の推薦書
- 認定歯科衛生士申請患者一覧
- 本会指導医または認定医の検印を受けた治療に関する資料
- 5症例のポケット診査表
- 認定歯科衛生士認定申請料(郵便振替払込金受領書のコピー)
- 歯科衛生士免許証の写し
⑤ 〜 ⑦ については、6ヶ月以上のメインテナンスまで進んでいる歯周病患者の症例を提出する必要があります。そのうちの1症例は、特殊な歯肉炎患者の症例でも良いようです。
ただし、初診時からメインテナンス、またはSPTまでの期間をすべて担当した症例のみで、治療途中やメインテナンスから引き継いだ症例については認められません。
また、2021年度からは、歯周病の新分類への対応がはじまり、診断名の記載方法が変更されました。
「限局型」か「広汎型」であることと、「慢性歯周炎」か「侵襲性歯周炎」であることを記載した後、新分類のステージとグレードを記載する必要があります。
反対に、これまでにあった「軽度」「中等度」「重度」という分類は、Ⅰ〜Ⅳのステージを記載することで記入する必要がなくなりました。
記載方法の例は、以下の通りです。
広汎型慢性歯周炎 ステージⅢ グレードB
限局型侵襲性歯周炎 ステージⅣ グレードC
提出する症例については、日本臨床歯周病学会が主催する年次大会や支部教育研修会で発表を行うことで、最大4症例まで免除してもらえる制度があります。
(詳細:認定歯科衛生士審査施行細則-特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会)
学会発表にチャレンジする良い機会になるかもしれませんね!
申請書類についてはこちら
口頭試問
書類審査に通ると、後日東京の会場で口頭試問を受けることになります。
提出した症例のうち、一つ目に提出した症例についての発表を行い、口頭試問を受けます。持ち時間は15分で、パワーポイントを使用して発表します。
発表する症例については、口腔内写真と歯周組織検査表に加え、10枚以上のデンタルX線写真またはパノラマX線写真が必要です。
また、病歴および治療経過のコピーを用意する必要があるので、忘れずに持参しましょう。
口頭試問についての、資料のサンプルや注意事項などはこちら
資格の更新について
日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士の認定期間は5年間とされています。
5年間で合計50単位以上の生涯研修単位を取得する必要があり、年次大会には1回以上参加しなければいけません。
更新時には以下の書類を用意し、更新手数料として10,000円を事務局に支払います。
- 認定歯科衛生士更新申請書
- 認定歯科衛生士研修記録簿
- 更新手数料の受領書等のコピー
更新単位についてはこちら
5.認定歯科衛生士の働き方
dStyleでは、実際に日本臨床歯周病学会の認定資格を取得した歯科衛生士の方に、インタビューを行いました。
日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士の沼澤さんは、OHIやSRPによって患者さんの口腔内が改善されることにやりがいを感じ、責任感を持って仕事に取り組んでいます。
また、施術中は患者さんの表情や緊張などに細かく気を配り、安心してもらえるような声かけをしているとのこと。
他にも、認定資格を取るまでに大変だったことや、認定資格のメリット、SRPに役立つおすすめ器具などを紹介しています。
こちらもぜひご覧ください。
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いかがでしたか?
日々の診療のスキルアップとして、自信にもつながる資格なのではないでしょうか?まずはセミナーや講習会を受けたり、受講生の声を直に聞いてみるのもいいかもしれませんね。
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